表参道・骨董通りにニューオープンしたセレクトショップ『PUBLUX(パブリュクス)』
働く女性の多くは、日頃から自分を少し隠して生きていると思う。隠しているというとしたたかにも聞こえるけれど、そういう意味ではなくて。
「会社にいる時の自分」と「本当の自分」を器用に使い分けているというか。やっぱり、社会性を考慮すると、素の自分を無防備にさらけ出すっていうのは、ちょっと…ね。
本当の自分はそんなじゃない。
けれども、“普通という戦闘服”を身にまとって、アノニマス(どこにでもいる人)を演じる。
本当は……アニメ大ファン!
本当は……ヘソピー、金髪ロッカー!
本当は……歴女!
本当は…
“自分の素”あけすけにさらけ出すと、きっと異端児扱いされてしまうだろうから…。フツーを装い、都会のビルの谷間を仮面を被って闊歩しているのだ。
でも、それでいいのかもね。
これが、我々オンナたちが(いや、オトコもかも)現代社会というジャングルを最大限、効率よくサバイブするために有効なんだもの。
でもね、でもね。
つい最近、新聞で見た1986年と2019年の入社式の風景写真。
1986年当時の女性の服装はバラエティに富んでいて、みんなそれぞれにキラキラと個性を主張していた。
一方、2019年の今といえば…。髪型、ストッキング、スーツの色と形、パンプスのヒールの高さまで、皆同じ。アノニマスが過ぎるよ。。。。泣
女子たちよ! 時には自分を解放せねば!
閑話休題。
「面白いファッションの店がオープンする」との情報を聞き、行ってきました。
なんだこりゃ? 木が鬱蒼と生え、黒いガラスに囲まれている。ウィンドウも何もない。
全然お店の中が見えないんですけど?????? でもただならぬオーラに溢れてる。
やたら、床にかかれたロゴのデザインがオシャレだ。けど、読めない。。。笑
ここは表参道、骨董通りにオープンした『PUBLUX(パブリュクス)』。れっきとしたセレクトショップだ。
店名の由来は…
ストリートカジュアルとリュクスなエレガンスを両方兼ね備える店。そんな想いをこめてディレクターが命名したのだそう。
むき出しのコンクリート、モルタル貼りの床。ストリート感覚かと思えば、アールデコっぽいタイルでレトロでエレガントな空間も。
私のお気に入りはこの、ハンギングラック。淡いピンクがかった白に黒のフレーム。形は有機的でどこにもないフォルムでかたどられている。
服の掛かったラックに遮られた鏡の縁がふんわりと光を放ち、柔らかく服たちを照らして奥行き感を醸し出している。
カッコイイ!
買い物するなら贅沢な空間がいちばん!
テーマは“TOKYO、LONDON、NEWYORK”。
最先端の三都市のヒップなモード最前線を実現した、ファッション好きのための店。
決してみんなが知っているようなブランドだけでなく、掘り出し物的な“発見する楽しさ”、まだまだ小さなブランドを“応援する楽しさ”。
ディレクターがそんなブランドを世界各地から見つけてきてくれている。中にはロシアのデザイナーブランドも!
オリジナルアイテムのクオリティの高さも必見!
オリジナルといっても、カーディガンとか、タートルネックとか、プリーツスカートとか、、、一般受けするデザインのものはほぼなくて。
パブリュクスのオリジナルは、ほどほどにモードやトレンド、そして希少性の高いデザインを追求。
見てください、これ。
オリジナルで一番人気だというワンピース。大きめのチェックが春らしいカラーでとても可愛い! テレンとした素材もカジュアル過ぎず都会感溢れてます。こんな華やかなものがオリジナルだなんて。
既成概念を破って取引先とのアポにこれで行ってみようかな。話、弾みそう!
こちらの合繊の黒のトレーナーパンツもオリジナル商品。とてもスタイリッシュで体にスルッと馴染む。パンプスを合わせたらとても都会派なマニッシュビューティ。私も早速購入、絶賛ヘビロテ中です。
このコーデュロイドレスの裏にも繊細なレースが施されている。見えないところだって、リッチ(それなのにお買得プライスにびっくりする!)
特別に作ったというパブリュクス特有の美しいフォント。それを使ったTシャツからなら入門編としては楽チンかも。
このロングティーはドレスとしてというより、デニムと合わせて着てもらいたいな。素材はレーヨンでツヤトロな着心地もいい!
カジュアルなんだけれど女らしく、身体に沿ったドレープが可能。脇のスリットもほどよくセクシー♬
真空パックに入ったTシャツ。スタッフ全員で空気を抜いて丸めた真空パックの包装がちょっとのこだわりを演出。
これはヴィンテージのヘアピン。ディレクターがアンティークマーケットで根こそぎ集めてきたそう(笑笑)
こんなデザインを普段のコーディネイトに取り入れるだけで、ちょっと違う自分が演出できる。
このパールネックレスこそが、“アノニマス”を求める社会への逆襲、だね。
パールの素材感ですでに“お嬢様”を装えるのに、よく見るとリップとサングラス。カッティングエッジだ!
熱く思いを語って下さった、プレスの大桃さん。スリムなデニムパンツの上に巻いたチュールのスカートが、かえって女らしい。
ここの服なら、“特別な自分”を装える気がする……。
欲しいもの、いっぱいあるぞ……。
実はオシャレが大好き、、、なのにフツーなフリしている、そこのアナタもちょっと興味出てきたでしょ?
「トレンドだから買う」という行為をやめてみる
冒頭の話に戻ると、“今年のトレンドだからこのスカートを買っておこう”…という買い物行動は、決して“ファッションが好き”がとる行動とは違うわけで。
ファッション好きならトレンドは参考にはしても、まずはその人なりのファッションへのデザインディレクションがあって当然。
これだけ安くでベーシックアイテムが揃う今だからこそ、“あと一つ”は背伸びしてでも少し面白いものを取り入れたい。
社会に属している時の“普段の私”とは一味も二味も違う、“特別な日の私”。それはアノニマスから脱した、自分だけの主義主張。
“毎日を生き延びるための戦闘服”ではなく、“自分を喜ばせるための媚薬”的な服を買いに行く。そんなとき、『PUBLUX』にはきっと、力になってくれるはず。
お店の内装でまずテンションが上がり、商品を手に取って一歩先行く自分の姿を想像し、スタッフとの会話でさらに先の世界を見る…。
あぁ、私、ファッションが好きなんだ。
そんなふうに原点回帰させてくれる稀有な店。
みなさんも“自分を喜ばせる”、“自分を変える”、そんな買い物をしに、訪れてみない?
黒島美紀子 MKシンディケイツ代表
消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。