【目次】
・【食あたりの症状】牡蠣、肉ほか、食べるものによって現れる時間は違う?
・【食あたりの症状】病院に行くべきか、自力で治すべきかのジャッジはどこで?
【食あたりの症状】牡蠣、肉ほか、食べるものによって現れる時間は違う?
重症の場合には消化器症状の他に、発熱や倦怠感、関節痛などの全身症状を引き起こし、頻回な下痢や嘔吐のために脱水症状に陥ることも少なくありません。
一般的には、「牡蠣のノロウイルス」、「肉のO157」などが有名
食当たりの原因となる病原体は数多く存在します。
病原体はそれぞれ生息しやすい食品や、体内に侵入してから症状が現れるまでの時間(潜伏期間)、症状などに差があります。
思い当たる食事をしてから発症までの時間が診断の手掛かりにすることもありますので、代表的な食当たりの病原体と、それぞれの原因となる食品・潜伏期間・症状を覚えておきましょう。
病原体 原因となる食品と潜伏期間、症状
・ノロウイルス(牡蠣など):24~48時間/嘔吐・下痢
・カンピロバクター(肉類):2~10日/下痢・腹痛・発熱
・サルモネラ(肉類、卵):6~48時間/下痢・高熱
・腸管出血性大腸菌(肉類、野菜):4~8日/下痢・血便・腹痛
・腸炎ビブリオ(魚):10~20時間/高熱・下痢
・黄色ブドウ球菌(おにぎり):3時間/嘔吐・下痢・腹痛
【食あたりの症状】病院に行くべきか、自力で治すべきかのジャッジはどこで?
下痢や嘔吐など、つらい症状を引き起こす食あたり。苦しい経験をしたことがある人も多いでしょう。
これらの症状は、胃や腸に生じた炎症が鎮まれば自然と治ることが多く、重症な場合を除いては発症から3日ほどで改善していくことがほとんどです。
このため、病院へ行かず、市販薬を服用したり、ゆっくり休むことで自力での回復を目指すという人も多いのが現状です。
しかし、食あたりは症状が強くなると脱水状態に陥って入院が必要になったり、思わぬ合併症を招くタイプもありますので、軽く考えるのは危険です。
次のような症状が見られた場合は、危険な食あたりの可能性がありますので、早めに病院を受診するようにしましょう。
病院に行ったほうがベターだと思われる症状
・38℃以上の高熱が2日続いている
・下痢や嘔吐が一日に10回以上ある
・吐き気が強く、水分が摂れない
・尿量が減ったり、尿の色が濃くなっている
・便に血が混ざっている
また、自力で治す場合でも注意すべきことがあります。
食あたり時に下痢止めを飲むのは避けて
下痢がひどい時に、市販の下痢止めを飲む習慣がある人もいると思います。
ですが、食あたりのときに下痢止めを飲むと、便とともに体外へ排出されるべき細菌やウイルスが体内に留まる状態となり、かえって症状が悪化することがあります。
腹痛のための鎮痛薬なども、ただでさえ炎症が生じている胃の粘膜を荒らしたり、消化管の運動を妨げて吐き気を引き起こすようなことも少なくありません。
薬が必要と思う場合は、安易に自己判断で市販薬を飲まず、病院を受診して症状に適した薬を処方してもらうと安心です。
また、食あたりのときは下痢や嘔吐によって体からは思いもよらない大量の水分が失われている状態となっています。
吐き気がある場合でも電解質の含まれた経口補水液などを少量ずつ口に入れ、脱水状態に陥らないように注意しましょう。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。