桜の開花が報じられるとそわそわします。なぜなら浅草は、桜を眺めながら散歩するのにもってこいの街だから。
今回は、浅草の桜スポットをぐるっとめぐりつつ、おいしいものをつまみ食いしていくもぐもぐ花見をご紹介します。
もぐもぐ花見へ、いざ!
スタートは、東京メトロ銀座線から直結しているデパートの『松屋浅草』(MAP1 ※マップは記事の最後にあります)。地下1階の食品フロアには、パンやお惣菜などなんでもあるのですが、ここで揃えては浅草に来た意味がない!
『浅草松屋』で私のおすすめは、1階にある『満願堂』。『芋きん』で知られるお菓子メーカーです。鹿児島県産のさつまいもを使った素朴な芋あんを、うす〜く焼いた小麦粉でおおったシンプルな和菓子の『芋きん』。江戸時代に栄えた浅草吉原でも、花魁や太夫の心をとらえたのだとか。目の前で職人さんがリズムよくひっくり返しながら焼く様子を見るのも楽しく、1個から買えます。浅草寺近くの本店では芋きん風味のソフトクリームも売っていて、これまたおいしい。
『松屋浅草』を出たら、境内に立派な桜の木がある浅草神社へ向かいます。ちなみにこの時期の仲見世通りは、桜の飾りつけでとっても愛らしい。ひとごみが大丈夫なら、ぜひ通ってみてください。
『浅草神社』にお参りをすませたら、浅草寺の裏手にある『あんですMATOBA』(MAP2)へ向かいます。ここは老舗の『的場製餡所』が営むパン屋で、30種類以上の豊富なあんパンが名物。こしあん、つぶあん、白あんなどといった定番のほかに、ずんだあん、ピーナツあん、抹茶あんなど。あんこ好きは狂喜乱舞するスポットです。
季節の商品もあって、春はもちろん『さくらあんぱん』。
でも! 私がおすすめしたいのは、ここの『食パン』と『コロッケサンド』なんです。食パンはすこし大ぶりで、もちもちふわふわ。ソースがたっぷり染み込んだコロッケサンドは、ふた切れ入りで大満足のボリューム。
パンを買い込んだら、『浅間神社』に向かいます。途中、大人気のパン屋『粉花』や『菓子工房ルスルス』の前を通過しますが、その話はまた今度。『浅間神社』は浅草にいながらにして、富士山に登ったのと同じご利益が得られるそう。小ぶりの境内はすっきり整備され、いつ訪れても気持ちがいいです。
ちなみに、その目の前にある『一葉桜小松橋通り』も、約800メートルにわたって桜が楽しめるスポット。4月中旬ごろに、薄い赤の八重桜が咲きます。さらに遊具で遊ぶ子どもたちで賑わう『富士公園』にも桜がたくさん植えられ、春のこのあたりはピンクに染まります。
続いて、大学芋屋の『千葉屋』(MAP3)へ。みつたっぷりの『大学芋』と、さつまいもをうすーくスライスして揚げた『切り揚げ』、あとは素朴な『ふかし芋』もあります。注文するときにお願いすれば竹串も分けてくれるので、人数分いただいていきます。
そして、千束通りの『竹松鶏肉店』(MAP4)。明治時代から続く鶏肉専門店で、調理前の新鮮なお肉と惣菜を売っています。名物は、手羽先を使った『なか焼き』だそう。私が好きなのはシンプルな焼き鳥と唐揚げ。焼き鳥は1本から、唐揚げは100グラムから買えます。
そのまま千束通りを北上。通りにはドラッグストアやコンビニもあるので、カイロやお酒類など、足りないものはここで買うのが吉。馬道通りとぶつかったら、桜並木が続く『山谷堀公園』はすぐそこ。
およそ700メートル、桜と東京スカイツリーを眺めながら歩くことができます。このあたりは観光客は少なく、近所のひとや犬を散歩するひとがちらほらいるくらい。なんとも平和な時間が過ごせます。
ちなみに「山谷堀」という地名の由来は、もとが水路だったことにあるそうです。江戸初期に荒川の氾濫を防ぐためにつくられたとされ、新吉原遊廓を目指す客が、船を使って往来。界隈には船宿や料理屋が並び、「堀」と言えば「山谷堀」を指すほど有名だったのだとか。今でもこのあたりには“橋”のつくスポットがあちこちにあってし、“土手の○○”と呼ばれる老舗の店もあります。
公園を道なりに進むと、『山谷堀橋』と書かれた柱があります。この脇にある『川辺肉店』の手作り焼き豚も、ぜひ味わってほしい。
紅白の日差しよけがかわいい。ショーケースには豚肉を中心に新鮮な肉や、惣菜もあります。
こんな感じで、量り売り。『竹松鶏肉店』といい、ここといい、浅草は量り売りの小さな商店がまだまだ残っていて、嬉しくなります。
さて、買い出しは終了! あとは桜を満喫しながら散歩とおいしいものを楽しんでください。
『川辺肉店』を出て、目の前の横断歩道を渡り、そのまま山谷堀公園を進みます。目の前にはずっと東京スカイツリーと桜。
そのまま進んだら、隅田川添いに伸びる隅田公園に抜けます。おすすめは、桜橋を渡って墨田区側へ行き、ランナーで賑わう川沿いの小道を歩くコース。
桜の時期は場所取り合戦が繰り広げられる花見スポットで、地元の青年部などがビールの屋台を出しています。ベンチもあるのでひと休みするもよし、陽気な酔っ払いを横目に歩くもよし。そのまま1キロほど歩くと、アサヒビールのふもとに到着(余談ですが、このビルの中にあるバーで飲める生ビールもおいしい!)。浅草駅に続く吾妻橋へ。
歩き足りない、桜をもっと見たい! というひとは、台東区側の隅田公園をさらに歩きましょう。満足したひとは、ここでゴールです。
そうそう、夜まで浅草で過ごせば、桜色の東京スカイツリーを楽しむこともできますよ。こちらは言問橋からの眺め。
以上、浅草の桜と桜と一緒に味わいたいおいしいものでした。
マップにあるピンクのドットが桜スポットです。ゆったり歩いて4〜5キロほどでしょうか。浅草の春を楽しんでくださいね。
【浅草MAP】
<前回の記事>
▶【浅草】地元女子がご案内! 雷門や東京スカイツリーをバックに撮影するスポットはココ
▶恋愛、仕事のご利益も! 浅草で個性豊かな神さま巡り散歩
初出:しごとなでしこ
ニイミユカ
兵庫県出身、浅草在住。編集者・ライター。アウトドアやスポーツなど、アクティブなジャンルをメインに活動中。この連載コラムではイラストも手掛ける。instagram:yuka_nim