カレーおじさん\(^o^)/大注目!
カレー×台湾の屋台メシ「魯肉飯」
最近増えてきているおしゃれカレー女子に大人気の渋谷「ケニックカレー」。そしてカレーマニアなら誰もが知る行列人気店である大久保「SPICY CURRY 魯珈〜ろか〜」(以下、魯珈)。
このふたつのお店の共通点といえば「カレーと魯肉飯(ルーローハン)を合わせる」という点です。
魯肉飯とは豚肉を甘辛く煮たものをご飯にかけて食べる台湾の屋台メシ。これとカレーを合わせるという発想は、一般的には違和感を覚えるものかもしれませんが、食べてみると非常に相性の良い料理です。
最近では全国的に魯肉飯を出すカレー屋さんが増えてきているのですが、その先陣を切ったのが「ケニックカレー」であり、そして流行らせたのが「魯珈」ではないかと個人的には思っております。
今回はその両店のファンである僕がお願いして、両店の店主さんに対談していただきました! それぞれどのようにしてカレーにたどり着き、また、魯肉飯を合わせるようになったのか、そしてこれからの展望など、両店のファンの方はもちろん、カレー好きの方は必見の対談ですよ!
相性抜群! カレーと魯肉飯の組み合わせ誕生には意外な裏話が…
カレーおじさん\(^o^)/(以下、カ):まずはお二人、今日が初対面となるわけですが、お互いのお店のことはご存知でしたか?
「魯珈」店主 齋藤絵理さん(以下、魯):はい! 私はケニックさん食べに行ったことあります。美味しいですよね!
「ケニックカレー」店主 小菅ケニック健一さん(以下、ケ):ありがとうございます。僕も魯珈さん気になっていて何回か行ったんですが、毎回すごい行列で諦めてしまって、まだ食べてないんですよ。
カ:どちらも人気店ですし、どちらもカレーと魯肉飯を出すお店ということで、当然ご存知ですよね。僕はどちらのお店も大好きなのですが、どのようにしてカレーと魯肉飯を合わせるという発想に至ったのか気になりまして。
そしておふたりとも非常に個性的で魅力的な方なので、これを機に仲良くなっていただければということと、それぞれのお店の客層が結構違うので、それぞれのお客さんがそれぞれのお店に行き来するようになったら楽しいなという、そんなこんな色々考えて、対談を企画させていただきました。
まずはその魅力的なお二人が、それぞれどのようにしてカレーのお店をやるようになったか話していただけますか?
ケ:僕は大学卒業後に専門学校に入り、デザインの勉強をしていたんです。当時自分が小料理屋の跡地に住んでいたんです。そこが専門学校時代の仲間達のたまり場のようになっていて、その仲間達に振る舞っていたのがキーマカレーだったんです。
その後デザインの仕事も軌道に乗っていったんですが、ある時ネタ切れにおちいりまして。そこで何か新しいこと始めようかなと考えた時、今までの自分のベースが人を集めることだったり、食だったり、そういうものにあるのを思い出し、ちょうどそのタイミングで友達が週1で借りて営業していた渋谷のバーが昼間空いているということを聞き、ならばそこを間借りしてカレー屋をやってみようかなと思ったのがきっかけです。
カ:最初からカレー屋をやろうというわけでもなく、場所も決まっていたわけでもなく、導かれるようにして今の場所でカレーを出すようになったということなんですね。
ケ:そうですね。お店をオープンしたのが2014年の6月なんですが、その時から今も続いてカレーなどの料理のみならず、面白いモノを生み出したいという気持ちはあって、色々なグッズを作ってみたりもしています。
魯:私は両親がカレー好きだった影響もあって物心ついた時からカレー好きで、高校生の頃に「将来カレー屋になるんだ!」ということを決意していました。と言いつつ、大学時代はなぜかカレー屋ではなくて「鬍鬚張魯肉飯」でアルバイトしていたんです。
その時に「いつかカレー屋を開いた際には、この魯肉飯も一緒に出そう!」と思いついて。と言いつつまた、大学卒業後は何故かダンサーとして食べていこうと考えて、そちらの道に進むことになるんですが…
ケ:え!? ダンサーだったんですか!?
魯:はい(笑) アーティストのバックダンサーをやらさせてもらったりもしていたんですが、それだけで食べていくのは難しいなと気づき、やっとカレーの道に入るんです(笑)。
どこか良い所はないか探していた時に見つけた「エリックサウス」で7年間、カレー作りから店の運営など色々と勉強、修業させてもらって、2016年12月にやっと魯珈をオープンさせました。
カ:お二人ともアーティストなんですよね。ケニックさんはデザイナーだし、魯珈さんはダンサーだし。だからこその自由な発想でカレーと魯肉飯を合わせようというアイディアが生まれたんだと思うんですが、カレーと魯肉飯を合わせようと思ったきっかけとしては、今魯珈さんから大学時代に思いついたという話が出ましたが、ケニックさんはどうしてこの二つを合わせようと思いついたのですか?
ケ:まず魯肉飯を作るようになったきっかけから話すと、人生に迷っていた時期に、あちこちの国に行き来していた先輩がいまして、その影響で海外へ旅しようと思い立ち、あまりお金もなかったので安く行ける台湾に行ったんです。その時先輩に課せられたルールがあって、宿に泊まっちゃダメとか、飲食店に入っちゃダメとか、そういうのを守りながら、電波少年みたいな感じで放浪していたんですよ。
魯:宿泊まっちゃダメって!? 飲食店も!? それ守ったんですか? どうやって?
ケ:はい。とりあえず台湾で自炊すれば良いと思ってガスコンロ持って行ったんですよ。でもそれ空港で没収されて(苦笑)。
カ:ええーっ!? いきなり大ピンチ!
ケ:もう終わったな…と(笑)。でも、 どうするかなと考えながらも半分ヤケになって台南に行ったんです。で、台南にあった大学のグラウンドに野宿することにしたんです。
魯:すごすぎます!(笑) でも料理は?
ケ:飲食店は入っちゃダメというルールだったんですが、外の屋台ならOKだろうということで、その辺にあった屋台で色々と食べていたら、魯肉飯がとても美味しくてハマったんです。それで通ってたらそのお店の主人と仲良くなって、手伝うからって作り方を教えてもらったんです。それが魯肉飯を作るようになったきっかけで。
カ:すごいドラマチックな魯肉飯との出会いですよね(笑) その魯肉飯と、友達に振る舞っていたキーマカレーを合わせたきっかけはどのようなものだったんですか?
ケ:そこから時を経て今のお店を始めるちょっと前なんですが、交流のあった渋谷のデスペラードっていう洋服屋のオーナーにお店を始めるという話をしたら、だったらこの店の庭で2週間カレー出してくれないかという話になり、それも面白そうだなということで2週間限定のカレー屋を店の外で始めたんですよ。
その時にどうせなら毎日違うカレーを出してやろうということで、色んなカレーを出していたんですが、ある時ネタ切れになって。どうしようかなと思った時に、台湾で覚えた魯肉飯も八角などのスパイス使うし、カレーみたいなもんだろ!ってことで、カレーとして出すことにしたのがきっかけです。
カ:面白い!(笑) お店を始めたのも、カレーと魯肉を合わせるようになったのも、ネタ切れで追い詰められたのがきっかけなんですね!(笑)
それぞれがまったく違う所からそのアイディアを思いついていたっていうのも非常に興味深いんですが、カレーと魯肉飯を合わせるって、今でこそ出しているお店が多いですが、当時はそれぞれ珍しかったと思うんです。反響はいかがでした?
魯:最初の頃はお好きなように食べてくださいって感じだったんですが、お客様から「これ、混ぜると美味しいね!」って言われて、自分でも混ぜて食べてみたら確かに美味しくて、そこからはお客様にお出しする際に「途中から混ぜてみてください」って伝えるようにしています。
ケ:うちは毎日魯肉飯があるわけではなくて、週に1日だったりするんですが、魯肉飯がある時はやっぱり圧倒的にあいがけのお客さんが多いですね。普段は単品のお客さんも結構いるんですが、魯肉の日は何故かいつもあいがけが増えるんです。やっぱり合うんですよね。
カ:そうなんですよ! カレーと魯肉飯ってすごく合うんです。
2018年、両店のトレンドはずばり「中華系カレー」
カ:そんな発明ともいえる発見をされたお二人なわけですが、今後新たにカレーに合わせてみようと思っている食材や料理ってありますか?
ケ:うちはダイエット中の女性客も多いので、ご飯の代わりに豆腐にしたりもできるんですが、それをさらにつきつめて、野菜に変えられるようにしてみようかなとも考えているんです。
カ:野菜ですか!?
ケ:はい。ラーメン二郎ってあるじゃないですか。あそこみたく、キャベツともやしを合わせたらカレーとも合うし、ヘルシーかなって。二郎はヘルシーではないんですが(笑)
カ:つまりカタカナのヤサイってことですね!(笑) ※ラーメン二郎ではトッピングの野菜はヤサイとカタカナ表記する
ケ:そうですそうです(笑) 自分が糖質制限ダイエットで痩せたこともあって、ノーライスで豆腐とは違うものも出したいなと。
魯:私は魯肉飯の代わりを考えています。鶏肉飯(チーローハン)っていう、これも台湾の料理なんですが、豚の魯肉だけではなくて、もうちょっとさっぱりと食べられる鶏肉飯もどこかで出せたらなぁと。
カ:うわー! それも食べたい!
魯:あとは他の食材というわけではなくてカレーなんですが、今年は中華系のカレーももうちょっと出していきたいなと。
カ:来ましたね! 僕も今イチオシの中華カレー!
ケ:そうなんですか!? 実は僕も中華っぽいカレーを考えていたところなんです。辛いだけはなくて痺れがあるようなカレーを。
カ:麻辣カレーですね! 是非やってください! やっぱり中華カレーきてるな!\(^o^)/
カ:あともうひとつそれぞれのお店で気になっていることがあるんですが、まずケニックさん、バイトの女の子が可愛い子だらけなんですが、どうやって見つけているんですか?
ケ:基本的には元々お客さんだった人をスカウトしています。お店始めた頃は全然お客さん来なくて、友達にモデルさんとか発信力のある人達がいたので、その友達に割引するからSNSとかで宣伝してよってお願いしていたこともあり、初期からそのモデルの子のファンだったり友達が来てくれることが多くて。
モデルさんだと仕事の関係で急に休まないといけないとかでバイトも探しにくいという話になり、だったらうちで働けば良いよと。仕事の内容はわかっているから急に休んでも良いしということで。それでその子の友達のモデルとかがさらに働いてくれるようになったりして、今に至ります。
カ:なるほど。可愛い子が可愛い子を呼ぶわけですね。実際ケニックのお客さんの美女率異常に高いですからね。
魯:やっぱり全然客層違いますね。うちは大衆食堂みたいに男性ばかりで席が埋まることも多いですから。
カ:それはやっぱり絵理さんの魅力もあってこそだと思うんですが、あれだけの行列を一人で調理から接客まで全て担当するのは本当に大変だなぁと思っているんです。やっぱりこだわりがあるんですか?
魯:そうですね。お店を運営していくにあたって、人件費ってかなりかかるものなんですが、自分一人ならかかりません。そうして人件費を削ることによって浮いたお金を料理の原価にまわして、できるだけ良いものを安く食べてもらいたいっていう想いがあるのと、元々料理も好きだし接客も好きなんです。どっちも自分でやりたい、自分の目の届く範囲で、自分が全て納得できるお店にしたいっていう想いが強いです。
ケ:それわかります! 僕も調理に関しては絶対に自分でやるんです。一時期人に任せてみようかと試したこともあったんですが、どうしても納得できなくて調理に関しては最初から最後まで自分でやる形に戻しました。
うちは一人ではちょっとお店が回せない広さということや、そのモデルの子達が新たなお客さんを呼んでくれるのでむしろ人件費以上の集客につながったりすることもあるから接客は任せているんですけどね。商売的に考えたらちょっと高くても、できるだけ良い材料を使って出したいっていうのは同じです。
カ:うんうん。そうですよね。どちらのお店も調理技術はもちろんなんですが、素材が良いからこその美味しさだなっていつも思っています。通常の飲食店の平均から考えたら異例の原価率だとも思います。だからこその美味しさなんでしょうね。では最後に、この記事の読者の皆さんへ何かメッセージをお願いします!
ケ:今年は新しいこと始めようと思ってます。カレーと何か他の面白いことをつなげていけたらと。今はまだ準備段階なんですが、詳細はSNSをチェックしていてください!
魯:お陰様で行列になっていることも多いんですが、日によってはほとんど並ばずに入れることもあります。諦めないでまずはお店の前まで来てもらえたら嬉しいです。もしうちに入れなくても、大久保には美味しいカレー屋さんいっぱいありますので!(笑)
デザイナーだからこその発想と人脈から生まれる面白さや楽しさ。それが「ケニックカレー」の魅力。
元ダンサーだからこその体力と主役(お客さん)を引き立てる為の心づかいから生まれる手の込んだ味と満足感。それが「魯珈」の魅力。
僕はそう思っています。美味しいのはどちらのお店も言わずもがなですし、どちらも既に大人気店ですが、並んででも食べる価値のあるお店です。
今回対談していただいたことにより、僕自身もますます両店が好きになりました。
そしてこの対談で意気投合したお二人を連れてその後も皆でカレーを食べに行ったのですが、両店による企画アイディアの相談も始まっておりました。なんとも楽しみ!
カレーと魯肉飯のパイオニアともいえる、「ケニックカレー」と「魯珈」。
まだ食べてない方は是非食べに行ってみてください!
<店舗情報>
「ケニックカレー」
住所:東京都渋谷区道玄坂2-25-7 プラザ道玄坂 5F
営業日:11:30〜16:00、水休
「SPICY CURRY 魯珈〜ろか〜」
住所:東京都新宿区百人町1-24-7 シュミネビル 1F
営業日:月・水・金/11:00〜16:00、火・木/11:00〜15:00 17:00〜20:00(それぞれ売切次第閉店)、土日祝休
初出:しごとなでしこ
AKINO LEE カレーおじさん\(^o^)/
ヴォーカリスト、パフォーマーとして自身の活動の他、様々なアイドルの作詞作曲振付プロデュースを担当。ヴォイストレーナーとして後進の育成にも力を注いでいる。音楽ライターとしても各種雑誌、ムック本などで執筆を担当。また、カレーおじさん\(^o^)/としても知られ、年間平均900食以上のカレーを食べてきた経験と知識を活かしてTVや雑誌など各種メディアにおいてカレーについて語っている。
http://www.akinolee.tokyo/