絵と暮らす。
と、言われるとなんかやたらと高尚な趣味のように聞こえるし、やたらとブルジョワジーな趣味のようにも聞こえる。
前回の消費家ブログでは美弥子さんの素敵な世界を紹介しましたが、今回は消費家流「絵と近い生活」をご紹介します。
そう、消費家クロシマ、実は絵のコレクター(?)なんですよ。
そんな堅苦しく考えないでください。実は意外なところに画伯はたくさんいるものなのです。
福岡に行った時、たまたまファッションブティックが入っていたビルが丸々閉鎖になるために、一夜限りの閉店記念パーティをやっていた。
福岡の友人に連れられて、そのパーティを巡っていた私の前に現れたのがライブペインティングの実演。
es君(当時たしか学生)がこの絵を5分の1くらい描いていたところに出会ったのだった。
なぜかこの絵に妙に惹かれた私。
酔っ払っていたのも手伝って、交渉したのだった。
「ねぇねぇこの絵が出来上がったら私に譲って」
快諾した彼は、出来上がった時に綺麗に梱包して私に送ってくれた。
その時の交渉代金はほんの2万円。(すみませんes君…)
今でもお気に入りで玄関に板のままのこのアクリルの絵を大事に飾っている。
これは今年届いた作品。
アートディレクター業のれもんらいふの千原徹也さんが趣味の絵画の個展を開催。
たまたまお呼ばれした私はそこで飾ってあった、このアートというか詩というか…不思議な世界に引き込まれてしまったのです。
実はこれは4枚の連作だったのだが、4枚は買えず…2枚購入。
描いてある英語のポエムも可愛いく、思わず引き込まれてしまうドットと目のアブストラクトな世界。
丁度何もなくて殺風景だった、ダイニングの壁。
白に白なので重たい印象にもならず、コリャコリャとゲット。いい塩梅で収まっています。
これだって両方合わせても数万円の投資。
黒い額縁に入った風景写真(2枚)は舞山秀一さんというファッションフォトグラファーの作品。
ファッションフォトも撮りながら、自分のライフワークの写真もたくさん個展をされている。
笑うと目尻が下がるチャーミングな彼。
動物園にいる動物の写真がすごく素敵なフォトグラファーなのですが、この写真はたまたま私の住んでいる湾岸エリアの風景で、その親近感と乾いた世界観に惹かれて個展で購入。
(上のお花も写真も確か女性のカメラマンの方のものを以前に投資したもの。ブルーの透明感が素敵じゃないですか?)
どの絵もそんなに大きくないし、身近に置いておける感じがいい。
やっぱり今の生活にはこういうデザインと抽象画との間くらいの感じのものがフィットする。
家に帰ってきた時に何気なく目に入るアート君たち。
それでいくばくか体温も下がり、私の気持ちも休まるのだった。
皆さんも、家で周りを見回してください。
今の日本の住宅事情は激変した。
家具はほぼ作り付けのクローゼット。
昔のように壁面がタンスで埋まっているということも減っている。
スペースは意外とあるものなのだ。
ローチェストの上にちょっと立てかけるだけ。
玄関の上がり口。
そしてベッドの上の空いたスペース。無駄な額装も省いて、絵そのままを壁にかけちゃう。
そんな、気軽な気持ちでもアートスペース。
これがとても今気分。
あなたも街でちょっとのぞいた個展とか、
友達が描いたスケッチとか、
はたまたお嬢さんの描いたいたずら書きでも!
絵には貴賎はない。
好きなもので手に入るものならなんでもアート。
そして投資した絵描きさんが将来とても有名になるのでは? と取らぬ狸の皮算用まで!
そんな感覚で絵と近い暮らし、してみてくださいな。
(編集追記)
村上周さんと寺井ルイ理さんはちょうど東京で個展をやるらしい。(番宣かっ!)
初出:しごとなでしこ
黒島美紀子 MKシンディケイツ代表
消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。