元貧困女子ファイナンシャルプランナーの石川福美(いしかわふくみ)です。
人生は予測不可能なことの連続。一寸先は貧困女子…そうならないための、自分の身をかしこく守る力が、今の時代を生きる私たちには必要です。
iDeCo(イデコ)、個人型DC…最近耳にすることが多くなったこの言葉「確定拠出型年金」を意味します。前回は、この「確定拠出型年金」の制度が新しくなることについてご紹介しました。今回は実際に「確定拠出型年金」に加入する際のメリットやデメリットについてお話ししていきます。
では実際に加入する際に知っておきたい決まりやメリット、デメリットについて見ていきましょう。
個人型企業年金について
掛金:5,000円〜23,000円(※国民年金の第1号被保険者は68,000円が上限)
掛金変更:一年に一度だけ変更が可能
金融機関と運用商品:自分で選びます
→これはメリットでもあり、デメリットでもあります。
自分で選べる自由性はいいことですが、金融知識がなく運用が初めて!という方にとっては、いきなり選べと言われても困ってしまいますよね。なんとなくで決めて元本割れ・・なんてリスクもあります。運用商品を選ぶときのポイントについては次回でお話しますね!
確定拠出型年金のメリット
大きなメリットは税制優遇が受けられることです。具体的に3つの優遇が受けられます。ひとつずつ見ていきましょう。
【掛金の全額が所得税や住民税の控除の対象となります】
みなさんがお給料として稼いだお金の額によって、所得税や住民税など、納める税金の額が変わってきます。日本は累進課税制度ですので、お給料が多ければ多いほど、納める税金は高くなります。この稼いだお給料から、確定拠出型年金への掛金分を引いた金額で、所得税や住民税を計算してくれるので、その分納める税金が少なくなるということになります。
―たとえば、
課税所得が300万円、確定拠出型年金の掛金が月2万円のAさんの場合
Aさんの所得税の税率は10%です。本来であれば、30万円の所得税を納めなければいけません。《300万円×10%=30万円》
しかし、Aさんの場合確定拠出型年金の掛金が月2万円、つまり年間24万円を300万円から引いて、税金の計算ができます。
《300万円-24万円×10%=27.6万円》
なんと24,000円も税金が少なくなりました!
さらに住民税は一律10%ですので、Aさんの場合本来30万円であった住民税《300万×10%=30万円》が、27.6万円《300万円―24万円×10%》に軽減されます。
Aさんの場合、所得税と住民税あわせて年間48,000円を節税することができるのです!
【運用期間中の売却益が非課税になります】
運用して増えたお金、つまり利益分に対しては本来、税金を納めなくてはいけません。これが全て非課税で受け取ることができるのです。これによって、運用益が減ることなく、そのまま再投資に回すことができます。(複利運用が可能)
※複利運用についてはまた別の機会にお話ししますね。
【受取時にも税制優遇が受けられます】
一時金で受け取る場合は退職所得として「退職所得控除」が受けられます。年金として受け取る場合は雑所得として「公的年金等控除」が受けられます。これはみなさん60歳以降のお話なので、ここでは詳しい説明は省きます。
確定拠出型年金のデメリット
【60歳まで引き出すことができません】
※さらに加入から10年が経過していることも条件となります。
【途中解約ができません】
何十年に渡り、流動性がないということは大きなリスクになります。例えば、ご独身のうちは自由に使えるお金が多くても、ご結婚しお子様が生まれたり、親の介護が始まったり、長い人生の中でライフプランの変動があった時に引き出すことができないというのは痛いですよね。このように途中で積立が難しくなった場合、積立をストップすることはできます。しかしその間にも口座管理手数料などの費用は発生していますので、資産が目減りする可能性が高くなります(手数料負けリスク)。
【運用による元本割れリスクが発生します】
立派な運用ですので、もちろん運用結果がマイナスになるリスクがあります。将来受け取る金額が、自分がこれまで拠出した金額より少なくなってしまうことを“元本割れ“といいます。このように運用リスクと聞くと少し怖いなと感じてしまう方も多いかもしれません。もちろん運用ですので、このリスクは切り離すことができませんが、大切なポイントをしっかり押さえて上手に運用すれば、それほど怖がる必要はありません。
次回は実際にこの確定拠出型年金で運用をスタートする際に気をつけておきたいこと、大切にしたいポイントなどをお話していきます。
初出:しごとなでしこ
ファイナンシャルプランナー 石川福美
貧困女子出身のアラサーファイナンシャルプランナー。定期的に開催している女性限定セミナーや、各メディアなどで、自身の経験からくる効率的な将来対策・万一のリスク対策の必要性について、多くの女性へ向け発信している。さまざまな金融商品を組合せることによって、“今の充実”と”将来の安心”のバランスを考えたライフプランニングを目指す。株式会社クレア・ライフ・パートナーズ所属。