商業マーケティングコンサルタントの黒島美紀子です。
私の仕事は、消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶこと。
今まで数々の買い物をしてきましたが、最近ふと思うことがあります。
買い物はひとりですることが多くなった…。
小さい頃は母と、中学時代は友達と、高校に入ってからは彼氏と。
しかし、社会人になって忙しい毎日に追われるようになってからの買い物は圧倒的にひとりが多くなった。
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そんな私に、大きなニュースがふたつ同時に舞い込んできた。東京は六本木、都会のど真ん中にできた「バーニーズニューヨーク」と「ユナイテッドアローズ」の新しい店舗のレセプションパーティだ。
新しい店舗の前で。左はバーニーズニューヨーク、右はユナイテッドアローズ。
まずは、「バーニーズ ニューヨーク」。
六本木の落ち着きあるエリアの夜のイルミネーションが、一層輝きを増すかのようにできたそのお店は、見るだけで作った人の想いが伝わる華やかなお店だった。
ニューヨークのアッパーイーストサイドのパーティシーンを彩る、ハイソサエティな男女。肩肘はらずシンプル、に見えるけど、実は素材にもデザインにも気を配ったルックでカウンターバーで寛ぐオトコたち。その脇に佇むオンナはもちろん、オトコの目線を惹きつけるエレガントなドレスにヒール。夜な夜な繰り広げられるオトコとオンナの恋のから騒ぎ。
そんなシーンが一瞬で浮かぶ、真っ白の大理石で埋め尽くされた店内。入り口の天井には大きな松の盆栽が!(本物?)
そしてフカフカの絨毯と真ん中には皆を誘うがごとくの、エレガントな曲線の階段。
ハイブランドのピンヒールやヴィンテージバッグ、ギフト用のフラワーまで揃うレディスフロア。コンサバベーシックなトレンドに迎合しない、あくまでもトップモードを集めた品揃え。一階のレディスでは美しいシャネルやエルメスのヴィンテージバッグからアーティなペイントのほどこされたデニムまである。
そして二階は広々としたメンズの園。
厳選されたトップモードのカジュアルと、あくまでも上質にこだわったジャケットなどが揃う。
メンズのコーナーの横にあるコンテンポラリーなシャンパンバー。
彼の洋服選びにちょっと飽きたら、ハイスツールにちょっと腰掛けて、一杯飲んでひとやすみ。そんな妄想を描きながら、シャンパンを頂きつつ。
お店の真ん中にエレガントに曲線を描く階段を下りながら、気分はすっかりニューヨーカー。(実際には、ニット帽にバックパックのコダマ君にエスコートされてたのだが…)
来賓が次々と御婦人を伴って登場するパーティで、美しいバイオリンの調べが響く…
リラックスした都会の大人のワンダーランドでした。
翌週も「ユナイテッドアローズ」のレセプションで六本木へ。
「我々は今、これでよいのか?」と切に問いかける長いメッセージが添えられた案内状が届いたので、…どんなものが出来上がってくるのか、大きな期待を抱きながらお店へ。
六本木ヒルズの中に大きく二層を構えた新生ユナイテッドアローズのレセプションには、まだ18時になったばっかりだというのに、どんどん招待客が溢れていた。
ご招待くださったサジちゃんが、「まずは」と連れて行ってくださったのは二階のメンズフロアでした。
まさにユナイテッドアローズが創業からこだわり続けてきた「トラッド」、創業から大切にしてきた「モノやコト」の集大成。
いたるところにアートが配された店内に、メガネの部屋。レイングッズの部屋。ネクタイの部屋。トラベルキャリーの部屋。こだわり男子たちが大切にするモノたちに、均等にお披露目の機会を与えたようなフロア構成は、小さな部屋がいくつもあってどの部屋を覗いてもワクワクしてしまう!
そして更にびっくりしたのは、クラシックな大きなお店の中に急に現れる静かな和のたたずまい。 中にはお着物を飾っているかのように、おあつらえジャケットが鎮座する。はたまた、窓越しに職人さんの丁寧な仕事を堪能できるリペアサービスやら、専門の椅子に座っての靴磨きやら! こだわりの多い、口うるさいメンズ客の注文に黙々と応えてくれそうな仕組みがいっぱいで、女子も見ているだけで気持ちが上がる。
▲レディースフロアも素敵なラインナップ。
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どちらもメンズがグッと充実、久しぶりに「素敵な誰か」と一緒に買い物に行きたくなるようなお店でした。
彼のジャケット選びに付き合い、細かい採寸を脇で見守る。
中に合わせるカラーニットの色を、店員さんのアドバイスを聞きながら、お見立て。
気分良く買い物を終えた彼は、レディスフロアで私が思わず手をのばしたバッグを「君も買えば?」と後押し。そんな上質な日常を妄想できるひとときでした。
原点回帰。
『ファッションのお買い物』に前より興味が薄まってきている世の中だからこそ、バーニーズもユナイテッドアローズも、その原点や起点だったやりたいことに絞って提案してきた!
「ファッションなんて」とちょっとバカにしかけてた私たちへの逆襲だ。
六本木を訪れた際は、このふたつの店舗にぜひ立ち寄ってほしい。しかし、不肖、消費家クロシマも思わず躊躇う「ハイエンド」。みなさんもおサイフはパンパンにして行った方が良いですよ~(笑)
もとい。ふたりで行って、彼におねだりしちゃう。これが本当で正しい、”六本木ショッピング”なのかもしれませんね。
初出:しごとなでしこ
黒島美紀子 MKシンディケイツ代表
消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。
数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。
また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、
消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。