加齢によって20代のころより肌が乾燥しやすくなるのはもちろんですが、間違ったお手入れによる乾燥もあるはず――。30代の肌を多く診ている人気皮膚科医に取材して、乾燥してしまう理由を探ります。
「ずっと使っていた化粧水がもの足りなくなり、超しっとりタイプに替えました。でも今度はベタつきが気になって。ちょうどいい保湿って、なんだろう?」(営業・31歳)
30歳からは保湿美容液を使って!
お話を伺った人
慶田朋子先生|銀座ケイスキンクリニック院長
東京女子医科大学医学部卒業。スキンケアにも最新の美容医療にも詳しい。著書に『365日のスキンケア』(池田書店)がある。
高瀬聡子先生|ウォブクリニック中目黒総院長
慈恵会医科大学卒業。最新作『ゆる美容事典「ほどほど」「ズボラ」で美肌を手に入れる』(講談社)など、著書多数。コスメの開発も手がける。
化粧水&乳液でOKは20代まで、と心得て
「化粧水と乳液だけのシンプル2ステップでOKなのは、肌の乾燥やトラブルが少なかった10〜20代まで。30代になったら、悩みに合わせた美容液をお手入れに組み込みましょう」とは、高瀬先生。化粧水は主に水分を補給するものであり、乳液やクリームは肌に油分を与えてやわらかさを出し、潤いでフタをするためのもの。美容液は、悩みに合わせた美容成分を肌に投入するものです。乾燥が気になるなら、潤いを抱え込む成分が入った保湿美容液をプラスすれば、しっとりみずみずしい肌をキープできます。
もちろん、化粧水や乳液、クリームにも保湿成分は配合されていますが、それぞれアイテムとして目的が異なるので、一般的に配合量は少なめです。化粧水でたっぷり水分を与えて乳液やクリームで守っても、すぐ乾いてしまう…という人は〝潤いを抱え込む力〟が不足しているので、保湿美容液を塗ると、乾燥の改善を実感できるはず(もうひとつ、つける量が原因で肌が乾いていることもあります。詳しくは次のページに)。
具体的に保湿成分とは、一般的に「アミノ酸、ヒアルロン酸、セラミド、コラーゲン、多糖類など」(慶田先生)
ほかに植物由来の保湿成分などもあります。乾燥以外にシミやたるみも気になる、という人は、保湿+美白、保湿+ハリ、など複合効果を備えた美容液をセレクトして。もちろん、時間予算に余裕がある人なら、美容液を複数使うのもOKです。
クリームやオイルを塗っていれば大丈夫?
ちなみに、保湿というと美容オイルというイメージをもつ人も多いようですが、慶田先生、高瀬先生ともに、美容オイルだけに頼ることには不賛成。「少し専門的になりますが、保湿には、油分の膜で覆って水分の蒸発を防ぎ、肌をやわらかくする「エモリエント」と、潤い保持成分を与えたり潤いをつくり出すよう働きかける「モイスチャライズ」というふたつの手法があり、モイスチャライズのほうが積極的な保湿ケアといえます。保湿美容液にはモイスチャライズ効果があり、美容オイルは基本的にエモリエント効果のみ。クリームには双方の効果があります。クリームで足りない人がさらにオイルをプラスしたり、香りを楽しんだりという使い方はいいのですが、美容オイルに保湿力を過度に期待するのは考えものです」(慶田先生)
30代女子の朝と夜、基本のスキンケアの手順を上にまとめてみました。保湿などの美容液に加え、夜は洗顔後に拭き取り化粧水や酸が入った美容液などの角質ケアをプラスするのもおすすめ。角層が整ってバリア機能が高まり、さらに乾燥を防ぐことができます。
お手入れの基本ステップ
朝|洗顔→化粧水→美容液→クリーム
夜|クレンジング→洗顔→(角質ケア)→化粧水→美容液→クリーム
おすすめアイテム|ポール & ジョーのトリートメント
保湿をベースに、3本それぞれの美肌効果がプラスされた美容液。ブラックは引き締め、ブルーは毛穴ケア、レッドはもっちりハリを与える効果が。ポール & ジョー(上から)ブラック トリートメント、ブルー トリートメント、レッド トリートメント 各15ml ¥4,000
<結論>
化粧水と乳液の2ステップでは、潤い不足。30代には、保湿成分や美容成分が凝縮された美容液が欠かせません。
Oggi11月号「30歳からの正解保湿」より
メイン画像/Shutterstock 撮影/西原秀岳(TENT) 構成/大塚真里 再構成/Oggi.jp編集部