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『ライオンのあとで』
作:ロナルド・ハーウッド
訳:出戸一幸
演出:高橋昌也 前川錬一
キャスト
黒柳徹子
桐山照史(ジャニーズWEST)
大森博史
阿知波悟美
【東京】EXシアターホール
10月15日(月)まで
【大阪】森ノ宮ピロティホール
10月17日(水)~21日(日)
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桐山さんのストイックな役づくりについても明かされた囲み記者会見前半。後半では、キャストの仲のよさが伺えるエピソードも。
―皆さんで支えあってという雰囲気がありますけれども稽古以外で何か交流ってあったんですか?
黒柳:皆でおそば食べたね。お稽古やってたのが森下町のほうだったんです。そこにお蕎麦屋さんがあって。そのお店がなくなっちゃったと思ったら1階でやってたのが6階に移転してただけだったんです(笑)。そこに行って、皆でおそばを食べて、とてもおいしかったです。
―徹子さんのチャーミングさが舞台の中でも出ていますが、皆さんがご存知の黒柳さんの何かエピソードはありますか?
阿知波:チャーミングなところですか?
大森:黒柳さんはチャーミングだらけだからなぁ。
桐山:そうですね。
阿知波「徹子さんのアドリブは、役との境目がないくらい自然でわからないんです…」
阿知波:今日記者の方は御覧になってましたよね? 白いマントをかけるシーン。アドリブで「どうしてこんなにズルズルするの? しっかりやんなさいよ、ちょっとあんた!」って言われたから、立ち上がったら「もう大丈夫!」って言われて…(笑)。
黒柳:なんなのこんなズルズルして!って。
阿知波:セリフかアドリブかの境目がないですよね。
黒柳:ちゃんと書かれているものを、アレンジして面白くしてやろうって大胆なことは滅多に思いません。作家以上に面白いこと言えないですから。ただ、そういったマントのボタンがいつまでもグズグズしているのは「ちゃんとつけときなさい!」くらい言ってもいいだろうと(笑)。
桐山:自然でしたね。
阿知波:でもサラ・ベルナールが言ったように見える言い方をなさるからわかんないんですよ。本当に言ってるのかセリフなのか。
―クスッというところがありましたよね。
黒柳:ずいぶん皆さん笑ってくださるから。あんなことで笑っていただけるのかと。
―このシリーズの中では毎回そうですが、セリフの量も莫大ですね。
黒柳:大森さんのセリフの数がねえ。数というよりも行で言ったほうがいいわね。もうページめくってもめくっても大森さんという感じで、ね?
大森:半々ですよ。黒柳さんもそうとうありますよね。
黒柳:まあね。
阿知波:(黒柳さんは)すっごいお勉強なさっていて、楽屋からずっとお声が聞こえています。
黒柳:それはテープレコーダーの声ですよ(笑)。
阿知波:でもずーっとそれを聞いて勉強してらっしゃるから。ずっと、何時間も。
徹子、90歳までは舞台に立つ!
―でもそれだけライフワークのようになっている中で、本当にでも今回がファイナルというのが残念だなと思うんですが。
阿知波:ひと区切りですよね!
黒柳:よくわかんないんですけれどね。ここで一旦ひと区切りということで「ああ、そういうもんだろうな」と思いました。でもまあここにこういう劇場もあるし、何でも芝居ができたらいいし、できるだろうと思ってる。まだまだ、まあ100歳まではやろうとは思いませんけどね。
桐山:やりますっていうのかと思った。
黒柳:ふふふ。
―やりましょう。
黒柳:この間テレビで100歳の人見ていたら、これはなかなか大変だなって思ったからね。でも、もうちょっといけるので90歳まではね。「幸せの背比べ」っていう作品のおばあさんが92歳だったんですよ。92歳でその役やれますか?って言われたのよ。「えー! あんなすごい量のセリフ言えるかな」って。だからもしできたら92歳で顔にもいろんなもの付けたおばあさんの役なんですがそのときもいろんなもんつけるとは思うんですがそれでやりたいなと思っているので(共演者に向かって)またご一緒できたら。
阿知波:ぜひぜひ。
―今回のお芝居の中で年を取ることや軌跡について考えさせられる舞台だなと感じたのですが、ご自身ではどのような舞台だなと感じてらっしゃいますか?
黒柳:サラ・ベルナールという私が演じた女優自体が本当に変わっている人。人生を読んだら1冊の本を読んだだけでも彼女はすごい人だとわかるんです。そういう人を演じる面白さがあります。舞台に出ているときは台本どおりですから、普段からそんな人間ではないんですよ。だけれど彼女の場合はかなり変わっていたみたいでね。そういう人をやれたというのは本読んだだけで面白いですよね。すごくうれしいです。
―黒柳さんの演技を見て勇気がわく方も多いのでは?
黒柳:芝居見ていただいて勇気がわくとか元気が出るとか、自分もあんな年になっても何とかなるんだって思っていただくことに、いちばん舞台をやる意味があると思うんですよ。自分の芝居がしたいというのもあるんですがそれ以上にそういった皆さまへの影響があればこんないいことはないと思います。
―三遊亭円楽さんも初期のがんだったと公表されましたが。手術もすぐされて復帰されるとご本人はおっしゃられているみたいですね。
黒柳:え? そうなの。よかったですね、元気になってまたたくさん喋っていただきたいですね。いつも見てるんですよ、日曜日の。子供のころから落語が本当に好きなの。子供のころ、親がN響(NHK交響楽団)のコンサートマスターをやっていたので、バイオリン室があったんです。お客様がいらしているときに私がバイオリン室で落語を聞いてたんですよ。笑いながら「おっかあ」なんて言ったらね、「あんた、お客様がいらしているときに本当にそういうのやめてね」って母に言われたんです。そして、お客様からなんかいただいたときにも「こいつはかたじけねぇ」なんて私が言うもんだから「やめて、やめて。だから嫌なのよ」って(笑)。それくらい落語がずっと好きなんです。だから落語家の方のおっしゃることは、すごく興味を持って見ています。それからね、面白くなかったら笑わないです。
―いよいよ初日ということで意気込みをお願いします。
黒柳:そうですね。六本木にこんないい劇場ができて、この劇場にちょうどいい人数で、このお芝居ができて本当にラッキーだなと思います。そして30年間ずっとやってきた中で、演出家の方がふたりお亡くなりになったんですが、こういうふうに長年にわたって舞台をやれることは喜ばしいです。今回も本当にいいメンバーとご一緒できましたが、芝居ではそういうことがとっても大事で。仲よくなかったら面白さが表に出ないですからね。その点ではすごく恵まれているなと思いますし、芝居そのものもいいので、ぜひ皆さまに来ていただいて、笑ってもらえればと思います。どうもありがとうございました。
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