兵藤千尋さんの「海と暮らす」お家のこだわり
大活躍のスタイリスト・兵藤千尋さんが、湘南エリアへお引っ越し。都会の喧噪を離れて、いつも波の音が聞こえてくる日常で手に入れた生活、イチ早く見せてもらうことにしました。前編はこちら!
兵藤千尋さん
服飾系専門学校を卒業後、『Oggi』を中心に多方面のメディアで活躍中。誌面で見せるきれいめなスタイリングに、どことなくキレのよさが漂う、生粋の辛口マニッシュ志向。そのセンスだけでなく、気配りの行き届いた妥協のない仕事ぶりにも厚い信頼が。スタイリスト歴は今年で15年目。プライベートでは旦那さんとふたり暮らし。
「気持ちよく暮らすこと」を第一に始めた海辺の新生活
移住してみて、何よりうれしいのは、自然がいつも身近にあること。家を出たら、まず深呼吸してから緑や土のにおいをかいだり、川沿いを歩きながら魚の様子を観察してみたり、(海が近いので黒鯛やエイが泳いでいることも!)帰りにふらっと海に寄って夕陽が沈むのを眺めたりするのが日課になりました。
2年ほど探して辿り着いた新居は、理想的な物件で、強度が高い鉄筋コンクリート造、広さも十分あって家そのものが持つ雰囲気がいい。自分たちが暮らす姿が想像できたので、内見後に即決しました。以前の家主がきれいに住まわれていたので、そのまま使えるところはなるべく残しつつ、より自分たちらしい生活が送れるように…と、夫の旧知の建築家・田中裕之建築設計事務所にリノベーションを依頼。残した箇所と改修した箇所が違和感なくなじんで、もはや元々どんな状態だったのか、今ではもう思い出せないくらいです(笑)。
ひとまず落ち着いたもののこれで完成ではなく、キッチンの壁面をタイルにしたり、ベランダや外壁の修繕をしたり、今後の計画は盛りだくさん。暮らしながら少しずつ変えていく予定です。後編となる今回は、そんなリノベーション後の自宅の一部をお見せしたいと思います。『こんなおうちもあるのね』と温かい目で見ていただけたらうれしいです。
今のところ、この移住は自分にとってプラスなことばかり。ですが、あえてマイナス面を挙げるとしたら…自然が豊かなぶん、虫が多いこと。都内に生息しているものとは大きさも種類も違って、図鑑でしか見たことないような虫もいれば、玄関の扉を開けたら大きなクワガタがいたことも! 私自身は平気ですが、苦手な人には多少厳しい生活かもしれません(笑)。
1|LIVING
まるでサンプル音のような鳥の鳴き声が聞こえたり、庭にリスがやって来たり…大きな窓のおかげで家にいても自然の中にいるような感覚。夫のレコードを収納するために棚を造作してもらったのですが、結局収まりきらず反対側にも既製の棚を設置しています(笑)。
2|DINING
食事はもちろん、お茶したり読書をしたり、就寝時以外はほとんどここにいます。この定位置にいると妙に落ち着くんです。近所に暮らすテキスタイルデザイナーの友人にソファクッションをオーダーして、完成を心待ちにしているところ。
3|ENTRANCE
高さ2.5m以上の玄関扉と、光がやわらかく差し込むブロックガラスが気に入っています。隅に置いてある古いアフリカンスツールは、引っ越してから新調した家具。清澄白河にある〝stoop〟で購入しました。
4|STAIRS
白くて太い手すりとしっかりと厚みのある踏み板が特徴の階段は、3階建ての我が家のシンボル的存在。高所恐怖症の私は、常に新鮮な緊張感を持って昇降しています…!
5|KITCHEN
引っ越してから外食する機会が極端に減り、自炊が増えました。新鮮な食材が安く手に入るし、何よりおいしい…!と言っても台所に立つのは料理が上手な夫ばかり(笑)。キッチンはシンプルで使いやすくコストも抑えられるので、業務用のものを選びました。
6|MY ROOM
仕事でスタイリングを組むときのようにカテゴリーごとに配置をしたくて、壁面には可動棚を設置。自立しないバッグが多いので、フック付きのフェイスアウトハンガーを2段つけたのですが、これが本当に使いやすくて気に入っています。どこに何があるか一目でわかるので、格段にコーディネートしやすくなりました。
元々押し入れだったスペースの扉を取っ払って靴棚に。大好きな籐のかごバッグは、バッグとしての出番が少なくなっても収納として活用すれば半永久的に使えるので、大切にしています。床に置いているかごは、夏のサンダル入れに。
7|MY FAVORITE
元々持っていた丸テーブルに合う椅子を探していたときに、ヴィンテージ家具屋〝moto furniture〟で見つけた〝カイ・クリスチャンセン〟。横から見たときの肘置きから脚に向かう角度が気に入って。黒レザーとローズウッドの組み合わせも、なんだかひかれます。
テーブルランプ〝レ・クリント〟は、こっくりとしたグリーンのガラスがきれい。壁に映し出されるシェードの影も特徴があり、圧倒的な存在感もいい。
2024年Oggi9月号「『海と暮らす』おしゃれ移住記」より
撮影/須藤敬一 ヘア&メイク/神戸春美 構成/大椙麻未
再構成/Oggi.jp編集部