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納得する「なりたい自分」の見つけ方
世の中には“顔のバランスの定義”や“黄金比”なども存在していますが、それがなりたい自分のイメージに当てはまることは少ないです。結局は美容整形後、鏡で自分を見るたびに、いい感じだな、好きだな、気分が上がるな、と思える顔が自分のなりたい顔です。そのような時に一番わかりやすい自分のイメージとしては、自分の好きな女優やアイドル、モデルなどの芸能人が当てはまるのではないでしょうか。
多くの人が自分と似てる傾向を持つ芸能人を好きになることが多いです。たとえば、患者さんの中である女優さんが好きだとすると、その患者さん自身がその女優さんに輪郭やメイク、服装など雰囲気が似てることもあります。また、以前、ある芸能人に似ていると言われて、その芸能人を好きになり、自分の模範として注目することもあります。このように好きな芸能人などを思い浮かべて、自分の好きなタイプをしっかり分析、イメージをまとめていくのがおすすめです。そしてその芸能人のベストショットなど、好きな顔をピックアップしてカウンセリング時に持っていくと、ドクターにもイメージが伝わりやすいです。
最近ではInstagramで好きな顔を保存して、まとめて見せてくださる患者さんも増えました。するとご自分では無意識なのかもしれませんが、大体、似た感じの人をピックアップしていらっしゃるんです。患者さんがピックアップしてきたいくつかの写真を見てみると、たとえば、目は切れ長で鼻はストレート、丸顔など、無意識にご自身の好きな系統を選んでいます。抽象的なイメージしかない人には、このようにイメージをまとめてきてくださると、一緒に分析していって、その人のイメージにあった顔をドクターも提案しやすいかと思います。
好きな顔がわからないなどイメージが曖昧な人も、シミュレーションしている中でこれは絶対にイヤ、これは残したいなどの希望が出てきます。このような場合も、一つ一つ確認作業を行って一緒にイメージを固めていきます。
なりたい自分=加工アプリで加工した自分
昔はなりたい顔として人気の女優さんの名前をあげる人も多かったのですが、最近多いのは加工アプリで加工した自分の顔を持ってくる患者さんです。加工アプリで撮影したこの顔になりたいと希望する方が増えています。
特に若い人は、誰かになりたいのではなく、自分をキレイにアップデートしていきたいという人が増加しています。以前は自己肯定感が低くて誰かになりたいから整形をしている人が多く見られたのですが、最近は自分のことが好きなため、自分をベースに加工アプリできれいになった顔になりたい人が増えたのだと感じています。
また、SNS上での加工した自分に、実際の自分も近づきたい、なりたいという願望も美容整形の後押しをしています。このようにYouTubeやInstagramなどで個人が中心となり発信できるようになったことから、なりたい自分のイメージ、価値観についても変化が起きています。
なりたい自分をイメージするうえで一番大事なこと
イメージするうえで一番大事なことは、術後に自分の顔を見て気分が上がるかということと、長い目で見てその顔が好きであるかということです。
希ですが、若気の至りなどで鼻をイソップのようにするなど、現実にはいないような顔を希望される方もいます。違和感があってもそうなりたいと言われますが、将来のことを考えて、一度高くしすぎた鼻はもとに戻せないので、本当に大丈夫? としっかり考えてもらえるようにしています。
整形した直後だけでなく、5年後、10年後、20年後も自分がその顔を好きであるか、一生その顔と付き合っていけるのか、ということを立ち止まって想像することはとても大事になっていきます。
なりたいイメージが難しいと言われた場合どうする?
患者さんになりたいイメージを固めてきてもらったものの、そのイメージを実際に叶えるのが難しいと判断した場合、先ずはどこが似合わないのかなど、しっかりコミュニケーションをとって説明します。その中で、その顔になるためにはプラスで整形しなければならない部分もあるということを提案して、費用やダウンタイムを更にかけて、それでもなりたいかということを患者さんに選択してもらうことが多いです。
それによって、鼻だけ整形するつもりだったけれど、全顔を整形する人もいますし、逆にワンパーツだけでイメージとは異なる形で完成させていく人もいます。それは人ぞれぞれの選択なので、カウンセリング時にしっかり相談して、自分の芯をしっかり持って納得して選択していくことも、なりたい自分を見つけていくポイントです。
なりたい自分になるために挑戦しやすい施術とは
初めての場合、イメージを固めても不安な人は多いものです。そのような人にとっては、目の埋没施術が一番挑戦しやすいでしょう。難しい形ではなければ自分の理想に近い目になりやすいのと、糸で行うのでダウンタイムも少ないのがその理由に当たります。そして万が一気に入らなければ、糸を抜いてもとに戻せるのも大きいです。初心者には人気の施術となっていて、幅広い年齢層の方が来院しています。目を変えることでお顔全体の雰囲気の大きなイメージチェンジにつながるのでやってよかったというお声を多く聞きます。
美容外科だと、戻せるものと戻せないものがあります。なりたいイメージを固めていく中で、施術後だけでなく5年後、10年後を含めたメリット・デメリットをドクターに説明してもらい、理解したうえでその顔になることを決断するのがおすすめです。
美容外科医 塩満恵子(しおみつ・けいこ)
大手美容外科院長を歴任し、2022年8月より渋谷に美容クリニックを開院。形成外科出身の確かな技術力と丁寧なカウンセリングに定評がある。日本語・中国語・英語の3ヶ国語を操り、プライベートでは2人のお子さんを育てるエレママ。