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LIFESTYLE

2022.11.26

炎上は何も起こっていないのと一緒! 今こそLOVE&PEACEの意味を問いたい【働く私にMusik・高橋優】Vol.2

J−WAVEの人気ナビゲーター・サッシャさんが旬のミュージシャンと対談する音楽連載。Web限定版、今回のゲストミュージシャンはシンガーソングライターの高橋 優さん。等身大の言葉でつづられるメッセージ性にあふれた歌詞で、私たちリスナーの心を熱くする高橋さんが約2年ぶりとなるオリジナルアルバム『ReLOVE & RePEACE』をリリース。第2回は最新アルバムの裏話について。

【働く私にMusik】日常を取り戻しつつある今だからこそ叫びたい! あなたにとってLOVE&PEACEとは?

高橋優さん

◆Guest Musician:高橋 優

たかはし・ゆう/1983年生まれ、秋田県出身。シンガソングライター。2010年7月にシングル『素晴らしき日常』でメジャーデビュー。’15年にはメジャーデビュー5周年を記念した初のベストアルバム『高橋優 BEST 2009-2015『笑う約束』』をリリース。また’16年より、コロナ禍になるまで毎年9月に地元・秋田にて開催していた野外音楽フェス「秋田CARAVAN MUSIC FES」を、今年は3年ぶりに開催した。現在、2年ぶりとなる8thオリジナルアルバム『ReLOVE & RePEACE』が好評発売中!

『ReLOVE & RePEACE』に込めた想い

サッシャさん(以下、S):ここから、発売中の最新アルバム『ReLOVE & RePEACE』の話をお聞きしていきますね。やっぱりアルバム制作にあたって、コロナ禍が影響している部分はありますか?

高橋 優さん(以下、T):そうですね。特に、ここに1〜2年みんなが敏感にいろいろなことに反応するようになった気がしています。少しほかからはみ出ただけで、全員が指差して「はみ出してる!」って言わなきゃいけない空気感というか。そういう環境に身を置くって、相当なストレスだと思うんです。よく睡眠が足りないと、人の小さいことが許せなくなったりしますよね。世の中があまり眠れていない状態というか、休まっていない状態なのかなという気がして。だからって、「みんな笑顔でいこう!」ってキレイごとを並べた曲をつくりたいわけでもなく。そもそもLOVE&PEACEってどういうことなのかってことを言いたい。簡単に答えを出さないほうが面白いというか。「ねえ、どう思う?」って問題提起をしたかったんです。

S:みんなが揚げ足取りをし始めた。今の時代、声高に叫ぶことが難しいですよね。

T:そうですよね。叫んだら叫んだで炎上したりしますもんね。でも、結局、あの炎上って何も起こっていないのと一緒だなって僕は思います。

S:何も起きてないのと一緒というのは?

T:スマホとか画面の中だけで炎上しているというか。炎上に参加している人の中に、本当に頭をかきむしりながら、問題を解決しようと動いている人って、どれくらいいるのかなと思います。ランニングしながらとか、おいしいものを食べながら呟いているのかな… とか想像すると、本当にやるべきことってなんだろうって。みんなが平和でいられることって、じゃあ何? ということを今、僕はちょっと再び問いたい。

LOVE&PEACEって、いろいろなところで使い倒されてきた言葉ですが(笑)、再びライブがよしとされるかもしれない世の中になってきた2022年というタイミングに、再び愛とか平和について「あなたはどう思っているの?」と。これはアルバムに入れた『あいのうた』をつくっているときに思ったことです。

S:『雪の筆跡』は、すごく思い入れのある曲と聞きましたが。

T:僕の個人的な推し曲です。秋田で生まれ育って、大学進学で札幌にまで行ったのに、雪の曲を表に出したことが一度もないことに気づいて。いつか故郷を連想できるような雪の歌をつくりたいと思っていました。世の中に雪の名曲ってたくさんありますよね。そういうのを聴いていると、雪って神秘的なイメージだったり、キレイで美しい景色を思い起こすと思います。でも、北国の人間から言わせてもらうと、雪がキレイな状態というのは人がいないところに積もった雪なんですね。人がたくさんいるところの雪って、人に踏まれるから茶色くて汚いんですよ。除雪したら土と一緒にめくれたりもしますし。決して真っ白ではないんです。そういう現実というか、僕が見てきた雪の話をしたいなと思ったときに、汚れている雪のほうをたくさん見てきたなあと。でもそれは、雪が汚いという意味ではなくて、人が生きた証だと思ったんです。

S:そこに命があるという証だと。

T:そうなんです。たとえば手紙を書くとき、書き損じて消したりというのを繰り返していると、ちょっと黒ずんできますよね。そういうのを見ると、何回も書いたんだろうなっていうところに人柄が垣間見えたりして。

S:確かに。メールだと消した形跡はないですからね。

T:消した形跡は汚れているように見えるけれど、そこにも人柄が見えるってなると、さっきの雪の話と重なって。その汚れが汚いからって破り捨てるって時代になってきている気がするんですけど、その汚れの中に実は人間味を感じたり、人柄が出たりするんじゃないかなと。人の生きた証って、そうやって残っていくのかなと思いました。

S:確かに、ここの文章をこういうふうに書きたかったのかなって読み解くのも面白いですよね。

T:そうなんです。実際に書いてある内容がたいしたことなくても、そこにたくさんの消し跡を見ると、一生懸命この言葉を選んだのかと思うだけで、ちょっとその人の背景が見えたりするじゃないですか。その雪の筆跡っていうのが書いてある時の筆跡っていうのって、要はちょっと汚れたりとか、黒ずんでたりとかするものの中に潜んでること。なんか、なんでもかんでも潔癖であればいいっていうわけでもないのかな。

S:『沈黙の合図』という曲は、マッチングアプリをヒントにされたそうですね。

T:はい。都内の某カフェでひとりでご飯を食べていたら、隣に座った若い男女がめちゃくちゃよそよそしい雰囲気だったんです。漏れ聞こえる会話から、「これ、マッチングアプリだな」と確信しまして。ご飯がおいしい店なのに、コーヒーしか頼まないのも不自然で。

S:ええ〜、そんな気まずい空気を浴びながらの食事、味しないんじゃないですか?

T:いや、食事は最高ですし、隣の会話もおいしいネタになるし、いいおかずをもらったなあと(笑)。僕の周りでもマッチングアプリしている人は多くて、そういう人からの話も参考にしました。

自分の中の感覚的なものを的確に表現するスキルを手に入れることが目下の課題!

高橋優さん

S:『氷の世界』では中国の楽器〝二胡〟を使っていて、すごく印象的でした。なぜ二胡を使おうと思ったんですか?

T:最初に元になる曲をつくっておいて、この曲なら二胡が合うなと思って実験的にサウンドに取り入れたら、うまい具合にアジアンテイストがハマって。『氷の世界』は、制作の段階から楽しんでいたところがあります。

S:いろいろな作業を自分で全部やりたいタイプですか?

T:だんだんそうなってきて、悩んでいます。

S:頭の中にあるものを再現するなら〝自分でやる〟がいちばんですよね。

T:そうなんですよ。

S:でも、第三者が入ることで起こる化学反応のよさもありますよね?

T:そうなんですよ! 今、本当にその狭間にいます。どっちにも魅力はあるし、どっちにも手応えがあると思う。でも便利な世の中になってきて、自分の頭の中で鳴っているものが、少しずつ簡単に表現できるようになってきていて。だからひとりでやれるようになったほうがいいな、とは思うんですけど。僕、音楽学校とか出ていないので、サポートメンバーに表現してほしい音があるときに、感覚的に伝えちゃうというか。「もっと、なんか、あの、かき氷みたいな音で!」とか「ヒグマよりシロクマっぽい感じで」とか、訳わかんないですよね(笑)。

S:完全に高橋さんの感覚ですね(笑)。

T:サポートメンバーの方々を困らせているなあ、とは思うんです。毎回、僕の感覚をうまく表現してくださるんですけど、「多分、伝わってないよな…」とか「それなら自分でやれば?」と、勝手に孤独を感じたりもして。だから今後はアルバムの設計図の精度をもっと上げていけたらいいな、とは考えています。その設計図さえあれば、あとは楽器を演奏してもらうだけでいい状態にできますし。

S:設計図というのは、全体のコンセプトとか収録曲の並びとか、そういったことでしょうか?

T:そうですね。そのコンセプト決める上で、たとえば二胡という楽器を使おうとなったときに、そのメロディーラインを決めて、どの辺で鳴らして。具体的には何泊目でどうするのかという細部まで決めておく作業です。

S:プロデューサー的なことを自身ですべてやりたいと。

T:今まではお願いしてきましたが、それをできるだけ自分でやれるようになりたいです。

S:それって、さっきも話していた自身のスキルを上げていきたいという話に繋がっていきますね。

T:そうです、まさに。目標は常にできるんですよね。今までの音楽人生で、満ち足りたことってあまりないです。

S:次なる目標は〝全部、自分でやり遂げたい〟ですか。

T:やり遂げたい! もしくは、僕の感覚的なことをすぐわかってくれるドラえもんみたいな存在が欲しいです(笑)。

<→Vol.3へ続く

【Information】2年ぶりとなる8thオリジナルアルバム『ReLOVE & RePEACE』が好評発売中!

高橋優さんの8thオリジナルアルバム『ReLOVE & RePEACE』ジャケット

先行配信シングル『勿忘草』のほか、ドラマ24『生きるとか死ぬとか父親とか』(テレビ東京系)のオープニングテーマ『ever since』、JICA海外協力隊 CMソング『Piece』、BS1スペシャル「侍たちの栄光~野球日本代表 金メダルへの8か月~」(NHK)のテーマソング『HIGH FIVE』などを含む全12曲収録。/¥3,300(通常盤)ワーナーミュージック ジャパン

【LIVE Information】高橋優 LIVE TOUR2022-2023
「ReLOVE & RePEACE 〜ReUNION前編〜」

ファンクラブ限定公演となる12月23日の神奈川・よこすか芸術劇場を皮切りに、2013年1月から3月にかけて、全国11箇所14公演を予定。

特設サイト

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【高橋 優さん衣装】
ジャケット¥29,700・ロングスリーブTシャツ¥16,500・パンツ¥25,300・スニーカー¥30,800(Sakas PR〈ATTACHMENT〉) ネックレス¥16,500(Sian PR〈LION HEART〉) その他/スタイリスト私物

【サッシャさん衣装】
ジャケット¥374,000(イザイア ナポリ 東京ミッドタウン〈イザイア〉) その他/スタイリスト私物

【協力社リスト】
Sakas PR:03-6447-2762
Sian PR:03-6662-5525
イザイア ナポリ 東京ミッドタウン:03-6447-0624

撮影/松木康平 スタイリスト/上井大輔(demdem inc./高橋さん分)、久保コウヘイ(サッシャさん分) ヘア&メイク/中込奈々(高橋さん分)、坂口勝俊(Sui/サッシャさん分) 構成/宮田典子(HATSU)

サッシャさん

Navigator:サッシャ

1976年、ドイツ・フランクフルト生まれ。10歳のときに日本に移住。日本語、ドイツ語、英語のトライリンガル。J-WAVE『STEP ONE』ナビゲーター、『金曜ロードショー』(日本テレビ系)などにレギュラー出演するほか、各種スポーツ実況をはじめ、多方面で活躍中。

公式ウェブサイト
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シンガーソングライター・高橋優×ナビゲーター・サッシャ対談

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Oggi12月号で商品のブランド名に間違いがありました。114ページに掲載している赤のタートルニットのブランド名は、正しくは、エンリカになります。お詫びして訂正致します。
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