誰だって、何度でも挑戦できる、何歳でも夢を見られる
映画『ビルド・ア・ガール』の主人公と同じ衣装をまとったゆりやんは、マイクの前に立つなり“授賞式(ふう)のスピーチ”を披露。得意のネタでもある英語と日本語ちゃんぽんで感動を語る様子は、今回は“ボケ”ばかりではないようで――。
「『私もこうなりたい!』と本当に思えた映画です。こんなふうに私も行動したいし、夢を叶えたい。そして、それはいつでもできるし、遅すぎることもない。すべての女性に観てほしい映画です」
目指すのはビリー・アイリッシュです
ゆりやんさんが薦める映画『ビルド・ア・ガール』は、イギリス郊外に住む女子高校生・ジョアンナが主人公。自己表現欲、妄想力はものすごいけれど、学校では「キモい」と言われることもあるほど冴えないし悶々としている。
映画や歴史上のヒロインに空想上で語りかけながら、「定番のヒロインと私は全然違うよね…」と自虐的になることも。それでも、並外れた文才と行動力を武器に、大人だらけの音楽界、男だらけの音楽誌編集部に乗り込んでいく。その過程のモヤモヤやつまずきは、多くの人が共感するところです。
「自分の世界をしっかりと持ち、言葉でそれを表現することはとても憧れるし、なりたい自分のために突き進むのは、めっちゃ共感できます。セックスしたがってるところも、わかるわぁ~って思うし、有名になって天狗になっちゃうところも、自分に置き換えて考えさせられました。
ジョアンナは、憧れの人物の写真を壁に貼って話しかけたりしていましたけど、私はビリー・アイリッシュを聴いては『めっちゃわかる~』って勝手に思って勇気をもらってます。歌詞を読んで、このとき恋愛してんねんなー、なんて想像したりして」
“自分が”やりたいなら絶対できる!
ティーンのときだけでなく、大人になっても、だれでも、夢を追う途中であきらめそうになったり、迷ったりするもの。そんな本映画のテーマに対して、ゆりやんさんの考えは?
「私がもし(主人公の)ジョアンナの悩みに対してアドバイスするなら、それだけ行動力があるなら、きっと大丈夫だよって、言うでしょう。悩むことないよって。同じことは自分にも言い聞かせていて、この広い宇宙で、こんなちっぽけな自分が足踏みしてても、緊張していても、だれも何も思わんやろ。失敗なんて知るかー、ですよ。たいていの悩みは、大したことないんですよ」
映画の中では、ジョアンナは取材相手に熱を上げてしまい、冷静さを欠いて失敗する場面も。今のゆりやんさんが熱を上げているのは、「恋愛」と「トレーニング」だそう。
「トレーニングは生活の中心であり、一生続けていきたいことのひとつです。でも本音をいえば、恋愛にどっぷり熱中しちゃいたい。それは常に思ってて、相手を探してます。わたしはいつも『好き好き』って全力でぶつかるんです。だからたまには、駆け引きしてみたり、相手に追いかけさせたり、というのが憧れです。今はマヂカルラブリーの村上さん相手に、“追いかけさせる”練習してます(笑)」
熱中したことには真っしぐら。目指したら達成するまで「あきらめ」も「途中放棄」も選択肢にはまったくない。そうやって、女芸人No.1決定戦THE W優勝(2017年)、R-1グランプリ優勝(2021年)も達成してきた。
「最終的に目指したいのは、いつかアメリカで芸人になって、映画をつくって、アカデミー賞を受賞すること。なに言ってるの? って言われること、もちろんあります。でも、私はそうは思わないんです。
あきらめる必要、どこにあります? ゲームでも一度落ちたって何度でもリセットしてやり直しできるじゃないですか。人生もそれと同じだと思うんです。『やったらええがな』ですよ」
ちなみに、いつか共演したいのはハリウッドスターのクリント・イーストウッド、生まれ変わってみたいのはビリー・アイリッシュ。夢を見る力がこれだけあれば、いつか叶うのでは? と思わせるのが、ゆりやんならでは。
「誰にどう言われても、どう思われても、“自分が”やりたいなら絶対できる。そう信じてるんです」
夢を見るのも叶えるのも、誰のためでもなく「自分のため」。映画ではジョアンナが数々の失敗のあと、「冒険の目的」は「すべてひとり(=自分)のため」と気づきます。ゆりやんの言葉とジョアンナの結論は、何かをあきらめそうになったときに思い出したい「生きる基礎」。仕事においても恋愛でも、勇気を与えてくれる大きなメッセージです。
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『Oggi』1月号(11月28日発売)では、30代になってからのゆりやんさん流「how to build a girl」=「自分づくり」について、たっぷり語ります。なりたい自分に近づくための日常のコントロール術も。お見逃しなく!
撮影/中村和孝 スタイリスト/小出えり(マハロ) ヘア&メイク/菅野典子(マハロ) 構成/南ゆかり
映画『ビルド・ア・ガール』10/22(金)新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
文才と想像力を武器に大人社会に飛び込んだ高校生・ジョアンナが、失敗や挑戦を繰り返しながら、がむしゃらに成長していく青春ストーリー!!
1993年、イギリス郊外に家族7人で暮らすジョアンナ(ビーニー・フェルドスタイン)は、底なしの想像力と文才に長けた16歳の高校生。貧しくも優しい両親や兄弟に囲まれているが、学校では冴えない子扱い。
そんな環境を変えたい彼女は、大手音楽情報誌「D&ME」のライターに応募。単身で大都会ロンドンへ乗り込み、仕事を手に入れる。髪を赤く染め、奇抜でセクシーなファッションに身を包んだジョアンナは“ドリー・ワイルド”へと生まれ変わる。音楽ライターとしてその才能を開花させ人気者となったジョアンナだったが、インタビュー取材で出会ったロック・スターのジョン・カイト(アルフィー・アレン)に夢中になってしまい、冷静な記事を書けずに大失敗。
「生き残りたいなら、全て蹴散らせ!」という編集部のアドバイスにより“いい子”を捨て、“嫌われ者”の辛口批評家として再び音楽業界に返り咲くジョアンナ。地位と名声、お金も手に入れるが、だんだん自分の心を見失っていき……。
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配給:ポニーキャニオン、フラッグ
© Monumental Pictures, Tango Productions, LLC, Channel Four Television Corporation, 2019