大人気ツンデレの進化系にほっこりさせられるチュ・ジフンの『仮面』
顔の表情ひとつ動かさない氷のようなツンデレで2006年に放送されたドラマ『宮 -Love in Palace-』の皇太子役で、一世を風靡したチュ・ジフン。キャリアを重ねて、今やどんな役もなんでもござれという活躍ぶりを見せています。今回、そんな彼の出演ドラマから、韓流ナビゲーターの田代親世さんがおすすめするのは、「サスペンスドラマなのに登場すると笑っちゃうツンデレ」の『仮面』(2015)です。
「なりすまして政略結婚」のジェットコースター・ドラマ
次期大統領候補の娘であるソ・ウナ(スエ)はデパートを経営する財閥の御曹司チェ・ミヌ(チュ・ジフン)との政略結婚を控えていた。しかし、ウナはある事件をきっかけに脳死状態に。財閥乗っ取りを目論むミヌの義兄はウナの代わりに、彼女とうりふたつのデパート店員ピョン・ジスクを身代わりに仕立てようと画策。父親の借金で追い詰められていたジスクは悩んだ末に、借金返済を条件にウナとしてミヌと結婚することに。愛のない仮面夫婦だった2人が次第に惹かれあっていくというサスペンスラブストーリーです。
相当に強引な設定ですが。そんなことをすっ飛ばして、有無を言わせずに進んでいくジェットコースター・ドラマです。初めは「えっ、そんな!」と思ってしまいます。ところが、韓ドラあるあるで、第3話を過ぎたころには、次を観ざるを得なくなる。愛と欲望が渦巻く、非日常のメロドラマっぷりが面白いんですね。
彼が出てくると笑っちゃうツンデレ
チュ・ジフンさんは前述した通り、『宮 -Love in Palace-』(2006)という主演ドラマで皇太子役を演じてブレイクしました。たくさんの女子が、彼の素晴らしいツンデレに骨抜きにされました。
今回も、一見よくあるツンデレかと思いますが、このドラマのチュ・ジフンさん演じる御曹司ミヌは、極度の潔癖症なのが面白いんです。実は女性とのスキンシップも苦手。それでも好きになってしまったジスクに対しては、言い訳しながら触っちゃったり♡ シリアスなドラマなのに、彼が出てくると、くすりと笑っちゃうツンデレの進化系キャラクターなんです。
不器用な二人が惹かれあっていくのにほっこり
政治家令嬢になりすますヒロインのジスクは、本当は庶民で優しい性格です。御曹司ミヌは、ビジネスライクな関係から始まるのに、どんどん彼女に惹かれていきます。なんだか二人で照れたり、意識したりしながら、少しずつ気持ちが通い合っていく。その過程がとても素敵です。ホームドラマではないのに、不器用な夫婦っぷりにほっこりさせられてしまいます。
社交辞令で答えたりしない、リアルのチュ・ジフン
以前、チュ・ジフンさんのファンミーティングの司会を何度かつとめさせていただいた。
質問に対して、場の空気を読んで適当に答えるとかいうことをしないチュ・ジフンさん。本当は違うと思っているのに「まあそうですね」と合わせたり、社交辞令的なことを言ったりはしないことも含めて、マイペースで天然、こだわりがあるという印象を受けました。『仮面』で演じた御曹司と同様、ご本人も器用な感じではないのでしょう。
MCとしては、盛り上げやすい人ではないんだけど
質問すると、過不足なくコンパクトに答えてくれます。だからトーク的には、突っ込みにくいんですよ。しかも早口だし、あっさりさっぱり話が進んでいっちゃう。会話のキャッチボールにならなくて、油断してるとそれで終わっちゃいます。
MCの立場から言うと、盛り上げやすい人ではないんだけど、話し方が大好きです。この感じがいいんだよな♡ と思わせられます。モデル出身だけあって、立った時のかっこよさは… 言うまでもありません。
いい役から悪役まで、なんでもござれ八面六臂の活躍
『宮』ではツンデレ。『魔王』(2007)では、自分の犯した罪と復讐の間で心が引き裂かれそうになる孤独な主人公。スキャンダルもあったけど、兵役に行って帰ってきてからの活躍が素晴らしかった。特に映画ですね。悪役をやるようになるようになって、幅が広がりました。
Netflixで人気のドラマ『キングダム』(2019~2020)は、りりしさの中にも、ちょっとクスッとさせるようなところもある。2020年の『ハイエナ』(2020)は、女性主人公の弁護士と争っていっているうちに好きになってしまう。絶対的エリートのかっこいい姿も、彼ならではです。
はじめは陰のある役を演じる人でしたが、今は卑怯な役からいい役から飄々とした役まで、主演から助演まで、なんでもござれで八面六臂の活躍。いい立ち位置になりました。演じるのが、楽しくてしょうがないんだろうと思います。どんどん魅力のある俳優になっていっていますね。
TOP画像/(c)SBS
『仮面』U-NEXTにて配信中
取材・文/新田由紀子
田代親世/たしろ ちかよ
韓流ナビゲーター。テレビ・雑誌などで、韓流ドラマを紹介している。会員制韓流コミュニティ「韓流ライフナビ」を主宰。