心のビタミンチャージになる、前向きお仕事小説が単行本化! 9月16日刊行!
◆『ブラックどんまい! わたし仕事に本気です』改め、『働く女子に明日は来る!』の内容をおさらい!
31歳の時崎七菜は、テレビドラマ制作会社のアシスタントプロデューサー。不器用だけれど真面目で一途。パワハラ、モラハラ、働き方改革……。精一杯頑張る七菜は、イマドキのお仕事問題の数々を、どうサバイブしていくのでしょうか? 働く全ての人に送りたい、
励まされ、心温まる小説です。
<中澤日菜子「ブラックどんまい!」連載記事一覧はこちらから>
著者の中澤さんがストーリーの着想を得たきっかけは?
―テレビドラマの制作会社という設定や、仕事に奮闘するアシスタントプロデューサーの女性が主人公というストーリーの着想を得たのはどんなきっかけだったのでしょうか?
中澤:デビュー作の『お父さんと伊藤さん』が映画化、4作目の『PTAグランパ!』がドラマ化されたことで、制作の裏側にいる、多くのスタッフさんの苦労や、活躍を知ったんです。取材を兼ねて現場に何度か行ってみて、「こんなに大勢のスタッフさんが関わっているのか!」ということに感動し、衝撃を受けました。それをきっかけに、いつか制作現場の裏方さんをメインにした作品を書いてみたいと思っていたんです。
―制作現場の取材をされて、驚くことも多かったと思いますが。
中澤:そうですね。ドラマや映画で、何気なく見ているセットですが、その細部へのプロの方たちのこだわりに、とても驚きました。舞台背景を作るにはこんなに多くの人の力が働いているんだ、と感動しましたね。そこにかかる労力は半端なものではありません。表に立つ役者さんなども凄いと思いますが、スタッフさんの苦労は計り知れない。制作現場は、多くの人の力で支えられているんだなと実感しました。
―テレビドラマの制作現場の描写にとてもリアリティがありますが、取材をされた中で大変だったのはどんな点ですか?
中澤:業界用語や、ドラマを作る現場では当たり前の流れがまったくわからなくて。エキストラを集めるにしてもどのような方法で進めるのか、APとPは何か違うのか、たとえばAPがPになるには、どんな資格がいるのか……、など、わからないことだらけでした。取材させていただいた制作会社の方に聞いて、「(APがPになるには)資格は必要なくて、企画か通ればOK」などがわかるようになりましたね。現場の取材をしてみて強く感じたのは、要は実力社会だということ。ただ、ルポルタージュではないので、微に入り細を穿って描くよりは、わかりやすく面白いと思ってもらえることを心がけて取材を重ねました。専門的すぎて、かえって読者を混乱させないようにしたいと考えていましたね。
―なるほど。テレビドラマ制作会社で懸命に働く主人公・七菜の人物像は、実にまっすぐで情熱的ですが、モデルとなった人物はいるのでしょうか。
中澤:取材をさせていただいた制作会社のAPの女性がいて、その方の働きぶりが凄かったんです。仕事に上下はありませんが、撮影の仕切りからロケ飯の下ごしらえまで様々な仕事をこなし、常に走り回っている人がいて。その女性の奔走する姿が、常に頭の中にありました。
―やはり、撮影現場は過酷でしたか?
中澤:過酷です。厳寒の中だったとしても、ドラマが初夏の設定の場合もありますし、もちろんその逆もあります。真夏だと害虫の対策なども必要ですし、体力的にも精神的にもハードな局面が多々あります。限られた時間で撮らないといけないのでプレッシャーもあるし……、数え切れない困難が立ちはだかっています。
―それだけ過酷だと、時にはくじけそうになることもありそうですが。
中澤:そうですよね。取材をしてみてその過酷さを痛感した部分も多々あるのですが、主人公の七菜は、くじけずに立ち向かっていきます。困難を乗り越えるごとに強くなっていくところが伝われば嬉しいです。
▲カバーイラストは、漫画家のグレゴリ青山さんの描き下ろし。原画4点をデザイナーが切り抜き、合わせて装画、帯も作っていただきました。
―恋人の拓に、「仕事はあくまで仕事だよ、やりがいを求めるなんて間違ってる」と言われるシーンがありますね。仕事観について、どう思われますか?
中澤:私自身、小説やエッセイを書くことを生業にしていて、「無から有を生み出す」ことが仕事なので、拓のような会社員という職業とは異なる部分が多くあります。ただ、どんな仕事でも一緒なのは「プロ意識」を持つことの大切さかなと思っていて。「ここで終わりにしよう」と思えば終わることは簡単です。「仕事に生きがいを求めても無駄だよ」という拓の気持ちと、仕事が大好きで、大げさに言えば人生を賭けてまで七転八倒しながらも良いものを生みだそうとする七菜の気持ち。どちらも理解できるんですよね。葛藤を、2人に代弁してもらった気持ちです。
―その線引きに迷っている人は多いのではないでしょうか。
中澤:そう思います。仕事がただただ面白くて仕方ない、という年代を過ぎると、少しずつ葛藤も芽生えてくるものですよね。どこで線引きをすべきか、自分のことのように感じてもらえたら、書き手として嬉しく思います。
―これでもか、というくらいに、数々の試練が七菜を襲いますね。ブレない芯を持って乗り越えていくその姿に、読み手としても勇気づけられます。
インタビューの続きは後編で!
◆ここがイチオシのポイント! 書店員さんから寄せられたコメントを紹介!(前編)
ひと足先に作品を読んでいただいた、全国の書店員さんからの感想を紹介します。
「自分が変わる…… 素晴らしき人間ドラマ! ここにはビジネスの極意と生きる原点がある。揺るがない愛と伝えたい熱さえあれば、仕事もチームも人の心もそして未来も動かせる! 必死に想いを伝えればきっと誰かに届くはず。元気と勇気をくれるメッセージ溢れた物語。栄養たっぷりの明日への糧となる一冊だ!」<フリーランス書店員 内田剛さん>
「次々と降りかかる困難、大丈夫なの? 七菜? と心配でハラハラしました。そんな試練を乗り越えていく七菜の姿に、真面目に一生懸命にまっすぐに働くことは全然間違ってないんだと元気と勇気を貰いました」<MARUZEN名古屋本店 竹腰香里さん>
「へこんで、ドン底まで来たら、あとははいあがるしかないですもんね。ブラックだから何? やりがいを見つけた女子は強いんです! 書店業界もそんな世界の一つかも知れません。だから七菜の葛藤や悔しさがストンと心に収まりました。そう! そう! それよ! と呟きながら読んでました(笑)」<フタバ書店 GIGA上安店 新竹明子さん>
まるでドラマの制作現場に密着しているようなわくわく感! 七菜の仕事に一生懸命な姿を応援しながら、自分の中にも何か新しい気持ちが生まれてきます。この本を読んでからドラマを観ると舞台裏を想像できて、さらにこの本がドラマになったら楽しいですね! ロケ飯の優しい役割と、美味しそうな描写がたまらない、愛あるお仕事小説です。
【著者・中澤日菜子(なかざわ ひなこ)プロフィール】
1969年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。2013年『お父さんと伊藤さん』で「第八回小説現代長編新人賞」を受賞。同作品は2016年に映画化された。また四作目となる『PTAグランパ!』はNHKによりドラマ化。2017年にパート1が、好評につき2018年にパート2が放映された。その他の著書に『おまめごとの島」『ニュータウンクロニクル』『Team383』『お願いおむらいす』、紀行文として『アイランド・ホッパー』がある。2020年10月『一等星の恋』(小学館文庫)発刊予定。
9月16日刊行予定!
働く女子に明日は来る!(小学館) 定価:1,600円+税/単行本/四六判ソフトカバー/352ページ(予定)