連載お仕事小説#25「ブラックどんまい! わたし仕事に本気です」
燃えるお仕事スピリットが詰まった好評連載、第25回。
主人公の七菜(なな)は、いつも仕事に全力投球! 撮影スタッフを集め、ドラマ放送中止を伝えると、怒りや悲しみをあらわにする者もいる中、どこか遠くの世界で起きていることのように感じていた七菜。
しかし、ある落書きを見た途端、急に現実感がよみがえってきて…。
主人公 時崎七菜(31歳)が、放送中止に思うこととは……?
【前回#24までのあらすじ】
朱音の息子・聖人が起こした不祥事ではあるが、世間は「子どもの不始末は親の責任」と朱音批判一色。
テレビ局は制作中のドラマの放送中止を決定し、スポンサーも降りてしまう絶体絶命の事態に。チーフプロデューサーである七菜は撮影中止の事情を説明するため撮影スタッフを集めた。
【今回#25のあらすじ】
集まったスタッフにドラマ放送中止の報告をすると、一同は怒りや悲しみでいっぱいだった。
その一方で七菜は、どこか別世界の出来事のように感じていた。
皆が撤収し、七菜が現場の公民館の施錠をしようとしたとき、ある落書きを見かけたことで、急に実感が湧いてきてしまい……!?
サクッと3分で読める! 本編はこちらから「ブラックどんまい! わたし仕事に本気です #25」
<主な登場人物>
・時崎七菜(ときざき なな):テレビドラマ制作会社「アッシュ」のAP(アシスタントプロデューサー)、31歳。広島県出身。24歳で上京してから無我夢中で走り続け、多忙な日々を送っている。
・板倉頼子(いたくら よりこ):七菜の勤める制作会社の上司。チーフプロデューサー。包容力があり、腕によりをかけたロケ飯が業界でも名物。
・小岩井あすか(こいわい あすか):撮影が進行中のテレビドラマ主演女優。
・橘一輝(たちばな いっき):撮影が進行中のテレビドラマ主演俳優。
・佐野李生(さの りお):七菜の後輩AP。26歳で勤務3年目。
・平大基(たいら だいき):七菜の後輩AP。今年4月入社予定の新人22歳。
・野川愛理(のがわ あいり):メイクチーフ。撮影スタッフで七菜と親しい。
・佐々木拓(ささき たく):七菜の恋人。大手食品メーカーの総務部に勤めている。
・上条朱音(かみじょう あかね):ドラマ『半熟たまご』の原作者。数々のベストセラーを持つ小説界の重鎮。教育評論家としても名高い。
・岩見耕平(いわみ こうへい):チーフプロデューサー。七菜の上司。
つづく
【次回予告】ドラマの放送中止を朱音に伝えにいかなくてはいけない七菜は、追い詰められ、逃げ出したい思いだった。ほどなくテレビ局から放送中止の発表がある、というタイミングで、勇気を振り絞り朱音に話しかけた七菜たちの前に突如現れたのは、今回の事件の当事者である朱音の息子・聖人だった……!
#26は7/10更新予定です!
中澤日菜子(なかざわ・ひなこ)
1969年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。2013年「お父さんと伊藤さん」で小説家デビュー。同作品は2016年に映画化。他の著書にドラマ化されら『PTAグランパ!』、『星球』、『お願いおむらいす』などがある。