映画『ママレード・ボーイ』で遊を演じた吉沢 亮さんインタビュー
ーー原作や今作の台本を読んだ時の感想からお聞かせ頂けますか。
吉沢:「両親が離婚して、パートナー交換した家族と一緒に住むという設定がまずぶっ飛んでいて、現実にはなかなかないお話だなと思いました。でも両親も子供もみんな一途でピュアな恋愛をしているので、純粋にキュンキュンしましたね」
ーー遊という役を演じると知った時はどう思いましたか?
吉沢:「素直に嬉しかったです。少女漫画原作の役を演じる機会は今まで何度かありましたけれど、今回はメインのキャラクターだったので少しプレッシャーを感じつつ、気合いを入れて挑もうと思いました」
ーーどんなことを意識して遊を演じましたか?
吉沢:「遊は過去に辛いことがあって他人を信用できなくなっているので、人との関わり方が薄っぺらいというか、どこか壁をつくってしまっているところがあるんです。薄っぺらさを出すためにいつもヘラヘラしている感じは意識しましたし、それだけじゃなく遊が魅力的に見えるようにミステリアスな雰囲気も意識して演じました」
ーー廣木隆一監督から何かリクエストはありましたか?
吉沢:「監督は少女漫画独特のキラキラした演出だけではなく、登場人物の人間的な部分も切り取ろうとしてくださったので演じやすかったです。監督に『遊はどんな人なんですか?』と聞いたら『遊は周りに対して実はものすごく気をつかう人なんじゃないかな』とおっしゃって、その言葉を聞いた瞬間に役を掴めたような気がします。監督のおかげで遊が深みのあるキャラクターになったと思います」
ーー廣木作品は美しい映像にも定評がありますが、今作の現場でそういった監督のこだわりは感じましたか?
吉沢:「前回ご一緒した時も思いましたが、今回改めて監督の光の演出に関するこだわりは凄く感じました、ただ、それだけじゃなく役者の芝居も大事にしてくださるので、ロケーションや光の加減がうまくいかなくても役者が良い芝居をしていたらOKを出されていました。そういう姿を見るととても信頼できるというか。
ただ、ヨリのカットを撮るときは緊張しました。普段はあまりヨリのカットを撮らない監督なので、“ここでいきなりヨリのカット撮るんだ!”と緊張のあまり顔の筋肉がピクピクしてしまったり(笑)。完成した映像を観て“こうなってたのか!”と廣木マジックに驚かされることも多かったです」
ーーご自身は遊と似ていると思う部分はありますか?
吉沢:「他人にあまり本心を見せないところが遊に似てるかなと思います。周りがもの凄く盛り上がっていても一歩ひいたところから見てる感じとか。僕自身も輪の中心じゃなくて外側でひっそりと見ているタイプなので(笑)」
ーー逆に似てないと思う部分は?
吉沢:「遊みたいにいきなりキスはできないです(笑)。それも寝ている相手にとか無理ですよ(笑)。あと遊は自分が悪いと思ったことに対して不器用なりにちゃんと行動しますけど、僕は悪いと思ってもどうすればいいかわからなくて、結果そのまま何もしないことが多いので、そこは似ていないなと。遊の行動力は見習わないといけないなと思います」
ーー今作はアラサーの青春であり名作だと言われていますが、遊を演じることが決まった際の周りの反応はいかがでしたか?
吉沢:「どの現場に行ってもいろんな人から『遊を演じるんだって?』と言われました(笑)。『銀魂』と今作はとにかく周りの反応が凄かったです。撮影している時はそこまでプレッシャーを感じなかったんですけど、遊を演じることが発表されてからはものすごい感じていて、公開後の反応もドキドキです(笑)」
ーー中山美穂さん、檀れいさん、谷原章介さん、筒井道隆さんと両親を演じているキャスト陣が豪華ですが、共演してみていかがでしたか?
吉沢:「最後のほうのシリアスなシーンは、両親を演じたみなさんの存在感に凄く救われたように思います。特に遊の父親である要士役を演じた谷原さんのお芝居をうけてグッときましたし、大先輩のみなさんに支えられた現場でした。
筒井さんはとても気さくな方で、待ち時間にいろんなお話をさせていただいたのですが、中でも筒井さんの趣味の自転車の話が興味深かったです。筒井さんは1日に100kmほど自転車で走るらしくて凄いなと。一緒に走ろうとは誘われなかったですけど(笑)」
ーー新しい現場に入るたびに共演者の方とゼロからコミュニケーションを取ることも多いと思いますが、この春から新生活が始まった方に何かコミュニケーションの取り方のアドバイスがあれば教えて頂けますか。
吉沢:「僕も初対面の人とコミュニケーションを取るのがすごく苦手で、毎回ぶちあたる課題なんです。でも、社交性のある人を見ていると、“自分は無害ですよ”という空気を醸し出しているように思うんですよね。だから僕もこれからそうしてみようかなと。ただ、そこまで深く考えずに人と付き合うことも大切だと思っていて、食事に誘う時もさらっと『ご飯いく?』みたいに軽く聞くのも手かなと」
ーーちなみに今作の現場で吉沢さんから食事に誘うこともありましたか?
吉沢:「今作の現場では生徒役の中で僕が一番年上だったので、率先してみんなの連絡先を聞いたり食事に誘ったりしました。実はそういうことをするのは今回が初めてで(笑)。でも誘い方も“作品を良いものにしたいからみんなで食事に行こうよ!”とかではなく、あくまでも自然に誘うように気をつけていました。僕も人見知りですけど、勇気を出してどんどん人とコミュニケーションを取ってみると日々の生活が楽しくなると思いますよ」
<STORY>
ある日突然、両親から離婚することを告げられた高校生・光希(桜井日奈子)。旅先で出会った松浦夫妻と気が合い、母親がその夫と、父親がその妻と恋に落ちたためお互いパートナーを交換して再婚すると言いだし、更には松浦夫妻の1人息子で光希と同い年の遊も含めてみんなで一緒に暮らすことに。
一度自分をフったはずの初恋相手の銀太からの告白、親友の茗子のある事件など思いがけない出来事が起こる日々のなかで、光希は次第に遊に惹かれていく。
甘いけれどクールな遊に翻弄されながら、ひとつ屋根の下に住む毎日はトキメキの連続。でも、ある日、遊は光希と自分の間にある秘密を知ってしまう。ふたりの恋の行方は…?
文/奥村百恵 写真/天田陸人
映画「ママレード・ボーイ」(公開中)
出演:桜井日奈子 吉沢 亮
佐藤大樹 優希美青 藤原季節 遠藤新菜 竹財輝之助/寺脇康文
筒井道隆 谷原章介 檀 れい 中山美穂 ほか
原作:「ママレード・ボーイ」吉住 渉(集英社文庫〈コミック版〉)
監督:廣木隆一
脚本:浅野妙子 廣木隆一
音楽:世武裕子
製作:映画「ママレード・ボーイ」製作委員会
制作プロダクション:プラスディー
配給:ワーナー・ブラザース映画
ⓒ吉住渉/集英社 ⓒ2018 映画「ママレード・ボーイ」製作委員会
公式HPアドレス:http://marmaladeboy.jp
公式Twitter:@marmalade_movie
初出:しごとなでしこ