『恋がヘタでも生きてます』主演 高梨 臨さんインタビュー
4月スタートのプラチナイト木曜ドラマ『恋がヘタでも生きてます』(通称『恋ヘタ』、読売テレビ・日本テレビ系)は、“恋がヘタな主人公たちの不器用すぎる恋愛模様”を描いたラブコメディ。
スマホゲームの会社で働き、仕事一筋で生きてきた“次期社長候補”のプロデューサー・美沙が、ちょっと恋をしそうになった男に社長の座を奪われてしまう。そして、美沙とルームシェアをする千尋は夢だった幸せな結婚まであと一歩のところで相手が浮気。そんな二人の女性の前に現れた「完璧男」と「セフレ男」も交えて、“恋ヘタ”な男女が赤裸々な恋愛を繰り広げていきます。
今回、主演の“茅ヶ崎美沙”を演じる高梨 臨さん。ゲーム好きで、サバサバした性格。演じる“美沙”とはいくつか共通点もある様子。そんな高梨さんが「恋」よりもヘタなことって……?
「美沙は、バリキャリだけど“恋がとにかくヘタ”なんです」
Q.ゲームプロデューサーという肩書きの役ですが、どんな役柄か教えてもらえますか?
仕事に対して自信もプライドも持っているし、仕事だけを一生懸命頑張ってきたバリバリのキャリアウーマンです。いよいよ社長になれるかどうかというところまできたけれど、恋がとにかくヘタなんです。自分でも下手だとわかっているからこそ踏み出さないできたのに、佳介(田中圭さん)に出会って、恋が下手ながらも一歩ずつ踏み出していく。それによって、美沙の性格というキャラクターもどんどん変わっていく……という感じです。
Q.ご自身では、仕事とプライベートは両立できるタイプですか?
私はどちらかといったら、器用なほうだと思います。家に帰ったら仕事から切り替えてフラットになれるタイプですね。仕事柄スケジュールも不規則ですし、プライベートよりは仕事を優先してきたほうなので、そういう部分では、美沙と同じとまではいかないですけど、似ている部分はあるなと思ってます。
Q.撮影で忙しいと思いますが、SNSなど拝見すると高梨さんは多趣味なのかなと思ったのですが、最近ハマっていることはありますか?
主に恋愛ゲームをつくってるという設定の役なので、美沙の部屋には恋愛の本がいっぱい置いてあるんです。そういう本を、撮影の合間のセッティング中に読むのにハマってます(笑)。すごい面白いんですよ!「どうやったら魅力的に見えるか」とか「男の落とし方」とか。現実的に取り入れることは私には難しいなと思ってしまうんですけど、本を何冊も読んでいると、いろんな考え方があって、美沙もそういうところがありますが、女性って妄想する生き物なのかな……と思うぐらい、妄想の話もたくさん書いてあるので面白いですね。
「今回の“男みたいな女”という役柄は私もわりと近いかも」
Q.漫画がお好きだと聞いていますが、普段もよく読まれますか?
漫画は全般的に好きですが、最近は青年誌の漫画ばかり読んでいますね。いちばん好きなのは『カイジ』(笑)。人間のダークサイドが描かれている漫画ばかり読んでます。でも昔は少女漫画も大好きで読んでいたので、今回このお話をいただいて久しぶりに少女漫画を読みました。やっぱりすごく夢があるし、ときめきましたね。読んでみて「こういうキュンキュン忘れてた!」って(笑)。
Q.高梨さんの本棚に並ぶ漫画は、他にどんなものがありますか?
基本的に週刊誌の漫画で読んでしまうので、実は、家にはそんなにないんです。あるのは、『カイジ』とか『珍遊記』とか(笑)。昔は、好きな作家さんの漫画をよく買ってましたね。『姫ちゃんのリボン』とか書かれてる水沢めぐみ先生が大好きで、水沢先生の漫画は全部集めたりしてました。
Q.今回、スマホゲーム会社のプロデューサーという役ですが、スマホゲームはされますか?
かなり(笑)。このドラマが決まる前から普通によくやってます。美沙という役をやる前からゲームは好きですし、美沙のように妄想はしないですけど、基本的にサバサバした性格で働く時は男みたいな女って感じの部分は、私もわりと近いかもって。だから役柄的にはわりとすんなり入れましたね。
「生活がヘタでも生きてます(笑)。今年の目標は生活をきちんとすること」
Q.ドラマに出てくるキャラクター全員「恋がヘタ」で、なかには“セフレ男”も出てきますが、高梨さんが考える「純粋な大人の恋」ってどういう恋だと思いますか?
すごい質問ですね(笑)。でも私、大人になってみて「100%純粋な恋」はあまりないんじゃないかって考えることもあって……もしあるとしたら、お互いちゃんと尊重しあえる関係かな、私の思う大人の恋(笑)。相手にあまり介入しすぎず、お互いのプライベートをちゃんと尊重して、それぞれの時間もしっかりある。もちろん相手を傷つけることもしない、というのは大人かなと。私のイメージですけどね。
Q.自分の時間を削っても相手に尽くすタイプですか?
違いますね(笑)。たとえば、自分の睡眠時間を削ってまで……とは、なかなかできないです。
Q.では、高梨さんが「○○がヘタでも生きてます」の“○○”に当てはまる言葉を入れるとしたら?
私、“生活”がヘタなんですよ(笑)。当たり障りのない感じで言っているように聞こえるかもしれないんですけど、本当に生活がヘタなんです。「生活をちゃんとする」というのが2017年の目標でもあるんですけど、ついダラダラしちゃうし、面倒くさがりで掃除もギリギリにならないとやらない(笑)。オフの日も、朝ちゃんと起きて、朝ごはんを作ってる間に洗濯機を回して、食事も洗濯も干し終わって午前中に出かける!というのが理想なんですけど、それとはかけ離れた生活をしちゃってます。せっかくのオフも一日家で過ごしちゃうことなんかしょっちゅうです(笑)。
Q.今年いちばん直したいことってありますか? 生活をちゃんとしたいというのに関係してくるかもしれませんが。
“朝起きること”です。すごくお酒が好きなので、休みの前日に飲みに行くこともあるんですけど、飲みに行くと必ずと言っていいほど、翌日は昼まで寝ちゃう。でもそれをやると、すごく後悔するんです。「私、ダメ人間だ……」って。朝起きれないと、そこから立て直しができないんです(笑)。落ち込んじゃって、「もうダメだ……どうせ私なんて」みたいな感じでそのまま家にこもって終わる。それを繰り返してるので、休みの日でもちゃんと朝起きれるようにしたいです(笑)。
Q.すごい落ち込みかたですね(笑)。理想としては何時ぐらいに起きたいと思っているんですか?
休みの日は、9時には起きたいですね。家事とかを終わらせて、午後からヨガとか整体に行っちゃったりして。そんなふうに過ごしたいのに、なかなかできない(笑)。
Q.先ほど「お酒」の話が出ていましたが、日本酒がお好きなんですよね?
お酒はなんでも好きで、一通り飲みますね。ごはんを食べることも好きなので、ごはんに合わせて、常にお店の情報を調べてます。『東京カレンダー』も毎月読んでますし、ネットでもお店をチェックして、「今度ここの店に行ってみよう」とか。それで、ごはんに合わせたお酒を選ぶなら、お酒のことも調べようと思ったんです。日本酒だったらどこの県でつくられて、なんのお米を使っていて、とか。いまもけっこう調べて、学んでます。生活はヘタなんですけど(笑)、食べることとか、好きなことは面倒と思わないんですよね。
Q.ひとりでもお酒を飲みに行ったりしますか?
ひとりではあまり行かないんです。それなら、ひとりで家で飲みつつ、テレビを観ながらごはんを作ります。自宅に、お酒のストックは大量にあるので(笑)。酒屋さん?と思われるぐらありますよ。ただ、人を家に呼ぶことはあまりなくて……基本、家ではひとりで飲んでます。ひとり飲み、大好きなので(笑)。
発する言葉の大切さを実感しています
Q.2017年になって始めたことは何かありますか?
直したいことと似ているかもしれないけど、“早起き”! 今年から早起きを始めようと思って挫折する日も多いんですけど、早起きをするためにも夜にだらだらお酒を飲まないようにしてます(笑)。お酒を飲んでも酔っぱらいすぎることがなくて、いようと思えばずっと喋って何時間もいられちゃうんです。その時間は楽しいけど、どうでもいい話を朝までしてるのって意味ないかも?というのはいっぱいあります。「あと2時間はやく帰れたでしょ」って。だから、そういうことはなるべくしないようにして、ちゃんと朝起きるるようにすることを心がけるようにしてます(笑)。
Q.新しく買った物はありますか?
ソファを買いました。まだ届いてないくらい、ごく最近。いまのソファは半年ぐらいしか使ってないんですけど、座り心地があまりよくないんです。ソファで台本を覚えたりと、家にいる時間が長いから座り心地は大事だなと思って、ある時、店先で出会ったソファを見て、実際座ってみてこれだと思ったので、3分で「買います!」と衝動買いしました。いままで使っていたソファもちゃんと座って買ったんですけど、家に来たらなんか違ったんですよね……。今度のソファはイイコだと信じてます(笑)。
Q.買い物は、直感で決めるタイプですか?
私、めちゃくちゃ早いです。即決! 悩んだら買わないですね。だけど食事は迷うんです。「一生のうちに、あと何回ご飯が食べられるんだろう」って考えると、一回一回がすごく大事だなと思うので。
Q.高梨さんが大切にしてる言葉やモットーがあれば教えてもらえますか?
発する言葉の大切さを実感しているので、いつも気をつけています。“言霊”を信じていて、言う自分も言われる自分もそうですし、言葉ってパワーがある気がします。すごくマイナスな言葉は聞くだけで気分が落ちるから、そう思ったとしても、冗談っぽく面白く言ったりして、マイナスの感情そのままで使わないようにしてます。きっと言った側も、その言葉を発してしまった自分に落ち込むと思うんですよね。
Q.逆に「こうなりたい!」と話して叶ったことはありますか?
私、将棋棋士の羽生善治さんがすごく好きで、羽生さんに「会いたい会いたい」と言い続けていたら、実際に花束を渡せる機会をいただきました。それと、堺正章さんの『街の灯り』という歌が好きで、「一緒に歌いたい」と言っていたら番組の企画で歌わせてもらったこともありました。いままで、「言ってみてよかった!」と思うことがすごく多いんです! この業界にいるから余計にそうなのかもかもしれないですが、だからこそ発する言葉は大事だなって思いました。
Q.まさに“言霊”ですね。羽生さんは何をきっかけに好きになられたのですか?
テレビ番組でなんとなく見ていて、将棋にハマったのですが、そこで羽生さんという方が有名で、いろんな伝説もたくさんあって「すごい人なんだ!」と思ったのが最初です。そこからYouTubeやネットで調べていくうちにどんどん魅力的に見えて、「将棋の神様! 会ってみたい!」と。今回の現場にスタッフさんが“将棋盤”を持ってきてくれて、スタッフさんとたまに指したりしてます。基本的には見るのが好きですね。将棋って、1回のゲームに1時間ぐらいかかるので、負けた時のダメージが強すぎてやりたくなくなっちゃうんです(笑)。
Q.本当に趣味が幅広いですね。では、普段のファッションやライフスタイルでのこだわりを聞いてもいいですか?
いろんなテイストの洋服が着たいので、TPOに合わせてアイテムをガラッと変えることもあります。気分転換みたいな感覚で、リフレッシュできるというか、ちょっとおしゃれなディナーに行く時はワンピースを着てみたり、でも現場では楽な感じのスエット素材が好きなので着心地を重視したり。かわいいファッションも好きですし、けっこうテイストはラバラですね。ファッション雑誌もよくチェックしてます。食べ物は、アサイーやもち麦とか、話題になったものはわりと試す派! ここ数年は、料理をするようにしているのでオフの日は、なるべく自炊してまね。
「恋愛には“一歩踏み込む勇気”は必要」
Q.いろんなタイプの男性が周りにいるのに、仕事人間になると、なかなか恋を始められないという女性に対してアドバイスをするとしたら?
“恋の伝道師”じゃないので、私が言えることは特にないんですけど……(笑)。でも、一歩踏み込む勇気は必要なのかなって。自分の時間を削ってまで相手に尽くさないって言いましたけど、やっぱり恋愛の最初は、多少自分の時間を削ってでも、相手に飛び込んでいくほうがいいのかもしれないと個人的には思ってます。今回、美沙を演じるにあたって、バリバリ働いてるけどずっと彼氏がいなかった私の友だちが思い浮かびました。「忙しい」を理由に、何も行動に移せてなくて。「とりあえず、一緒にごはんを食べに行けばいいじゃん」って言うのに行かない。でも、たった一回の勇気で全然違うんじゃないかなって私は思うんです。
Q.高梨さんは、その一歩を踏み込めるタイプ?
私は、そこまで「恋ができないです」というタイプじゃないですね。「恋を諦めてます」という感覚は正直わからないかも。好きならメールでもなんでも、一歩踏み込んでいこうよって思うから。
Q.さすが“恋の伝道師”!
いやいや(笑)。でも、恋は勇気ですよ、踏み込む勇気! それが恋に発展しなくてもいいと思うんです。だって、その男性ひとりに嫌われても……“35億”でしたよね、男の数は(笑)。踏み込むことが正解かはわからないですけど、勇気は必要ですよね。ドラマでは、美沙も佳介に心を揺さぶられ、千尋に後押しされながら勇気を持って感情をぶつけたり、気持ちを言葉に出すことで、苦手だった恋愛にどんどん踏み込んでいくので。「もうダメだ」ってシャットダウンしちゃったら、それまでなんじゃないかなって。たぶん、ほとんどが「うまくできない」と思い込んでるだけだと思うんです。
Q.力強いお言葉をありがとうございます! ところで高梨さんが普通の会社員だったら「プレミアムフライデー」をどう過ごしますか?
15時に会社が終わるんでしたっけ? そしたら映画を観て、ごはんを食べた後にバーに行って……なんだか普通の過ごし方しか考えられない(笑)。でも映画もそうですけど、夜にごはん食べるだけじゃなく、その前にひとつ何かできるのがいいですよね。
Q.最後にドラマの見どころをお願いします!
このドラマは、観ていてキュンキュンする場面がもちろんたくさんありますが、そのなかで、それぞれのキャラクターが苦しみながらも全力前向きに生きていくので、パワーをもらえる作品に仕上がっていると思います。キャラクターの個性もみんな濃くて、私も演じながらどんどん楽しくなっていくのを感じています。個人的には、“ザ・王道”という恋愛ドラマをやらせていただく機会がほとんどなかったのですが、今回やらせていただいて、ドキドキしながら楽しいと思える瞬間がたくさんあるので、観ているみなさんにも「恋ってやっぱりドキドキして楽しい!」と思っていただきたいですね。そして、仕事を頑張っている女性を応援できる作品になればいいなと思ってます。
高梨 臨(たかなし りん)
1988年12月17日生まれ。NHK連続テレビ小説『花子とアン』やドラマ『5→9~私に恋したお坊さん~』(フジテレビ)などに出演。ファッション雑誌『and GIRL』のレギュラーモデルとしても活躍中。本作では、主演・茅ヶ崎美沙役として、スマホゲーム会社「バスキア」のゲームプロデューサーを演じる。
ドラマ『恋がヘタでも生きてます』は毎週木曜23:59〜放送中
読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週木曜日、夜11:59~0:54放送。原作は、小学館「プチコミック」で連載されていた、藤原晶の同名漫画。恋愛ドラマならではの願望満載シーンに、人生設計やセックスにまつわる赤裸々なガールズトークを交えて“女性の理想”と“本音”が入り乱れた、大人が楽しめる作品。
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文/イシイユウ 写真/安井宏充
初出:しごとなでしこ