場外新市場に行ってきました
豊洲移転問題、久々に動きがありました。小池都知事が11月18日に記者会見を開き、豊洲移転は早くて2017年末と明言。早くて、ということは遅い場合、つまり環境アセスメント等でさらに時間を要するとその1年後になることもあり得るとの発表です。
また、移転のプロジェクトチームは築地をリニューアルして市場を残す案も検討している、との報道もありました。さていったいどうなることやら。結論が正式に出るのは来年半ばぐらいになりそうですね。
そんな中、当初は今年11月7日とされていた豊洲新市場開業前の10月15日にオープン予定だった場外新市場「築地魚河岸」が、11月19日(土)、プレオープンしました。当日はあいにくの雨模様。正午少し前、ようやく雨が上がったので様子を見るべく出かけてみることに。
▲築地に本社のある朝日新聞と日刊スポーツはともに特別版を発行。「築地愛」が伝わってきます。
築地魚河岸は2つの棟から成っています。小田原橋棟と海幸橋棟(かいこうばしとう)。2つの棟はブリッジで繋がっています。メインエントランスは晴海通りに面した小田原橋棟に。晴海通りの信号を渡り、まずは仲卸を経営母体とした店舗が入居する1階へ。オープン初日、しかも土曜日とあってかなりの人出です。もともと土曜日の場外市場は混雑が半端ではなく、そこに新市場が加わったということで賑わいは増幅されているかのよう。土曜日の昼時は観光客が相当の割合を占めているのでしょう。
▲晴海通りの向かいから見た築地魚河岸・小田原橋棟メインエントランス。この初日の賑わいは当分続くでしょう。
築地魚河岸の営業日は原則として市場の開場日、休場日に準じます。つまり日曜・祝日はお休み。水曜日がお休みなることもあります。そして、営業時間は何と午前5時(!)~午後3時。全店営業時間は午前7時~午後2時ですが、「午前5時~午前9時までは業務用の仕入れを目的とした方向けの販売なので、一般の方、観光の方は午前9時以降お越しください」とのこと。このあたりもまさに「築地ならでは」ですね。
▲小田原橋棟1Fでは、写真家・本橋成一氏の写真展「築地魚河岸ひとの町」が開催されていました。
市場内はマグロ、海老、カニ、ウニ、貝、などの水産物専門店が主体。最も多いのはマグロ専門店です。ほか、ひもの、練り物、の専門店、果物、野菜等の青果物専門店もあります。握りやちらし、フライ類や焼いもなど、すぐに食べられるものも販売。ただし1階の店舗で食べるのはNG。3階のテラス、もしくは持ち帰りが原則です。
▲こんなものが売られているのも築地ならでは。マグロのかぶとに貼られている数字、2010は値段?
全60店ほど、ほぼ全店がこの日から営業開始です。にもかかわらずグランドオープンではなくプレオープンと称しているのは、豊洲移転問題が決着をみていないからです。つまり、魚河岸店舗のほとんどは場内の豊洲移転後、築地にも業者向けの店を持つべく出店したのです。それが、移転延期となったため場内と魚河岸、築地の2か所に店舗を持つことに。築地魚河岸の建設費35億円は中央区の拠出。移転問題が真の決着をみた時点で初めて、区としてグランドオープンと宣言できるのでしょう。
▲小腹が空いたので、つきじ滝治のちらし寿司を購入。オープン記念特別価格630円なり。魚が新鮮で旨い!
3階のオープンテラスにはテントが設営され、矢田美英中央区長らのテープカットによる開場記念式典が行われていました。3階にはこの屋上広場のほか、建物内には海鮮類や中華、カレー、喫茶他からなる魚河岸食堂、そして、魚河岸スタジオ、魚河岸イベントスペースがあります(2階は業務用エリアなので立ち入り禁止)。混雑していたのでまだ食べていませんが、海鮮ちらし、チキンカレーは美味しそう! 次回トライしてみます。
「築地魚河岸」はちょっときれいすぎ!?
全体の印象としては、新築なので当たり前ですが、市場の小売スペースをきちんと整列させた感じ。築地のエキスパートを自認する方には「きれいにまとまり過ぎ」という印象かもしれませんが、築地初心者にとっては、各々の商品がきちんと並べられていて、見やすく、買いやすい、かも。
▲小田原橋棟1Fはオープン当日こんな感じの人出。通路の左右に整然と店舗が並びます。
豊洲移転がちょっと遠い先になった今、築地市場はまだまだ歴史を刻むことになりました。年末は、この築地魚河岸のオープンもあり、例年以上の凄まじい混雑になるかもしれませんね。
▲2つの棟を結ぶブリッジから見た築地場外市場・波除通り。土曜日の混雑がお分かりいただけるでしょう。
初出:しごとなでしこ
T.KOMURO
編集者。主として男性向け情報誌の編集長を歴任。2015年5月、住居を築地に移し、愛犬の悟空とともに週末TSUKIJIライフを楽しんでいる。