消費家ですから、たまには夜ご飯でも消費の冒険をする。
そんな日が昨日だ。
そして、その冒険に勝った! そんな勝鬨の声をあげたくなるような体験です。
まあ、ある意味記念日的な要素でもないと、お寿司屋、それも銀座の一等地にあるお寿司屋さんなんて行かない。
いくら消費家でも私はそこらへんは結構、分をわきまえてる。
でも、それでも予約したのは世にも珍しい(言い過ぎか?)女大将が営む寿司屋が銀座にあると聞いたからだ。
早速予約を入れたときの声は、男性だったけれど。
黒スーツ着たクラブの従業員が山ほどウロウロしている銀座の小道のど真ん中にそのビルはあった。(家賃高そ~う、汗)
スナックやらクラブが並ぶ同じ階にひっそりと佇むその入り口。
そう、鮨竹さん。これがクダンの女大将の寿司屋。ワクワク!
中に入るとカウンターのみの小さなお店。
10人も入ればいっぱいになってしまう店は美しい白木のカウンターと対峙する大将と若い衆(って言っても1人だけだが)で切り盛りされてた。
ほとんど何もない、きりっとした空間には美しいネタの札のみ。
こだわりは器にも。さすが女性らしい心遣い。
いろんな産地、窯元の器が不思議な透明感と統一感で供される。
箸置きにさりげなく『竹』の文字が。
出てくるツマミも、素材を活かし、無駄な装飾一切なし!
(写真はアワビの炊いたものと、その肝です。あえて分けて出された)
こういうところがピリッと男らしいのが、かえって一線で働く女らしい!(すごく共感)
お酒もビール、シャンパン、日本酒のみ。店主のこだわりが感じられます。
出てくる一品ひとしなが、醤油をつける必要なく味つけされ、なにより、赤酢で炊いた褐色の酢飯が美味しい。すべてが計算された、美しい仕上がりでした。
少しずつお客様も減り、時間にも余裕ができて、大将と会話。
思わず聞いてしまうよね、そのご苦労。
女の寿司職人はほとんどいない。
若い衆の方を大将と思ったお客さんに、『この店は大将は握ってくれないのか』と聞かれたりもしたそうだ。
苦笑。
きりっとした短髪に雪駄姿の彼女。
でも、優しいしゃべり口は全然偉そうじゃない。
最後に頼んだおぼろ巻。おぼろとはデンブみたいなエビのほろほろ。(白身魚で作るとデンブだそうです)
褐色の酢飯と淡いエビのピンクがなんとも言えない、目で感じる甘さでした。
でも、わさびか効いてて、見た目よりずっと刺激的!
でも、私、見ちゃったんです。
彼女が巻いてくれてるときに。すごくゴツゴツした指に、短く揃えた爪。
そして何よりも指の傷痕。
多くを語らないけど、大将の苦労が詰まってた。
思わず私、ジンときた。
同じく働くなでしことして。
こんな優しい表情して。
エレベーターのドアが締まり切るまでお辞儀してくれていた大将を見て、働くなでしこの端くれとして、心の底から尊敬しました。
また、来よう♪
(でも、まあまあお値段は張るから、あと1年は先になるかな?…テヘ)
初出:しごとなでしこ
黒島美紀子 MKシンディケイツ代表
消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。
数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、
ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。
また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、
消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。