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BEAUTY

2016.06.01

細川モモの〝キレイ〟を食べよう【第5回】美肌になるには“体型”も重要!? アボカドとサーモンのカルパッチョで良質な脂質を

美肌の条件は“体型”にあり!?

前回の連載では、モチモチ弾力肌をつくるコラーゲン、ウルウル潤い肌をつくるセラミドが必要で、これらは食事からの必須アミノ酸と必須脂肪酸のW供給が不可欠であることを説明しました。この号では、肌トラブルと食事についてお話します。栄養と美肌といえば、知っておきたいのがビタミンA・C・E、その名も「ビタミンエース」。

美容液に配合されることが多いレチノール(ビタミンA)、美肌・美白化粧品に使われるアスコルビン酸(ビタミンC)、保湿やヘアケア用品に使われるトコフェノール(ビタミンE)、どれも化粧品の成分としてお馴染みのビタミンですが、体内で作りだすことはできません。食事からしっかり取り入れる必要がありますが、各栄養素のポテンシャルを最大限引きだそうと思ったら、食べる前にルールがあることを知っておいていただきたいと思います。

ルールその1:BMI18.5以下では美容食材が肌に届かない!?

私のレッスンでは「何をどう食べたら綺麗になるか」の前に「体型と美容」についてお話しするようにしています。なぜか? 美肌のために野菜や果物を意識して食べているという女性は、その前にまず体組成計に乗り、BMIを測定しましょう。その値が月経・排卵・卵巣年齢(AMH)と相関し、栄養状態にも影響を及ぼします。

美容意識の高い人は時として痩せすぎてしまう傾向にありますが、BMI18.5未満の女性では美と健康に必要不可欠なプレアルブミンが低下してしまうことが報告されています。医師が患者の栄養状態を判断する上で重要視するのはアルブミンというマーカーですが、より直近の食事摂取内容が反映されるのがプレアルブミンです。プレアルブミンは体内でハリツヤ肌に欠かせないレチノール(ビタミンA)の運搬役であり、いくら肌にいいからとサラダバーやスムージーで人参やカボチャを食べても、残念ながら運搬役なしに栄養素は肌には届きません。

さらに、痩せ型の女性はヘモグロビンと骨密度も低い傾向にあり、鉄分やカルシウム、ビタミンDなどの総合的な栄養素の不足が疑われます。バストやヒップといった女性らしい丸みは体脂肪がつくり、女性の魅力を引き立たせる女性ホルモンはコレステロールという血中脂質が作り出すもの。綺麗な人は脂肪を味方につけるのが上手です。今の日本の痩せ率は異常数値。痩せ=美ではないことを心得ましょう。

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ルールその2:ノンオイルドレッシングでは美肌になれない!?

皆さんはサラダを召し上がる際、ドレッシングは何を使っていますか? ミス・ユニバースのファイナリストの多くも、ダイエット意識からノンオイルドレッシングを使っていることが多いのですが、これではせっかくの野菜の美容成分が肌に十分に届かないのです。なぜなら、ビタミンA・Eも、リコペンやルテインなどの美容成分も脂溶性という特性があり、油に溶けて吸収されるからです。

アメリカパデュー大学が実施した研究によると、サラダをノンオイルドレッシングで食べた人より、オイルドレッシングで食べた人の方が食後の血中抗酸化物質レベルが高かかったことが報告されています。さらに、アボガドや卵のように良質な脂質が豊富な食材は、サラダに含まれるその他の食材の栄養と美容成分の吸収を高めることも報告されています。ドレッシングは亜麻仁油やえごま油などのオメガ3脂肪酸を選ぶと、体内で一部がDHA・EPAに変換されるため、PMS(月経前症候群)の緩和や抗うつ、アンチエイジング効果(抗炎症)を期待でき、魚不足を補うことができます。

ルールその3:くすみ対策は血糖値対策と心得る

美容業界でもっとも注目されているアンチエイジングのひとつが“抗糖化”。食事に血糖値が上がること自体は悪いことではなく、生きていくために必要なプロセスですが、あまりに大量の糖が必要以上血管内に留まるのは老化の引き金を引くことになってしまいます。糖化とは、血液中の糖質によって身体中のたんぱく質が攻撃を受け、徐々に黄ばみ、最終的には茶色くプスプスと焦げてしまうこと。糖化の最終産物をAGEs(終末糖化産物)といいます。

体は60%が水分であり、残り40%のうち、たんぱく質が約20%を占めています。そのうち30〜40%を占めると推測されているのがコラーゲンであり、実は肌だけでなく、骨や関節部分、血管や内臓にもコラーゲンが存在しています。このため、コラーゲンは糖化の脅威にさらされやすく、異常たんぱく質に変異してしまうと肌のくすみや骨密度の低下など、老化現象を引き起こします。しごとなでしこ世代では、卵胞液の糖化により妊娠力の低下に繋がる可能性もあります。

残念ながら一度AGEs(たんぱく質の糖化によって作られる老化の原因となる物質)が作られてしまうと、人の力では除去できません。糖化に関しては予防命ですが、AGEsができやすい高血糖状態になってしまうのは甘いものや炭水化物を多く食べたときでけでなく、食事の回数も影響しています。

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グラフをみれば一目瞭然ですが、朝ごはんを抜くと食事後血糖値は1日中高まりやすい状態が続きます。食後血糖値150ng/lLを超えるとAGEsができ始めますので、高血糖を招きやすい朝食欠食はハイリスク。しごとなでしこ世代は仕事の影響で朝食欠食率が全国平均の倍と高い傾向にありますが、果物や飲むヨーグルト、豆乳など何か一口でも身体に入れる習慣をつけましょう。

ルールその4:“皮膚科のビタミン”を生み出すのは腸内細菌!

美肌といえば有名なのはビタミンB群。美容ドリンクやサプリメントでも有名ですが、なかでもビタミンB2は脂質代謝を促進することでニキビの改善に良いとされていますし、ビタミンB1は糖代謝を促進し、糖化予防に一役買ってくれます。さらに、ビタミンB群の一種であるビオチンは赤ちゃん肌を作り出すビタミンで、腸内細菌が生成します。アトピー性皮膚炎の患者はビオチンの血中濃度が低いことなども報告されています。

実は、ビタミンB群の一部は腸内細菌によって作り出されています。昔から「腸内美人は素肌美人」と言われますが、腸はビタミンB群という「皮膚科のビタミン」を生み出しているため、相関関係にあるといえます。腸内環境を良くする食材の代表格は、意外かもしれませんが炭水化物です。腸内細菌のエサは炭水化物に含まれる糖質であり、同じく炭水化物に含まれる食物繊維に善玉菌を増やす働きがあります。実際に「働き女子1,000名白書」で肌荒れに悩まされている人が不足させていた食材はごはんなどの穀類と食物繊維が豊富な海藻でした。食物繊維の不足率はなんと93%! 各種ビタミンB群やレチノールもマイナスという状況です。

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血糖値が急上昇しやすい白い主食は控え、ビタミンB群も食物繊維も豊富な雑穀米やライ麦パンなど、茶色い主食を適度に食べましょう。お漬物やキムチ、味噌やヨーグルトなどの発酵食品も腸内環境を整え、美肌に貢献してくれます。

いかがでしたでしょうか。肌トラブルには多くの栄養素の不足・過剰・アンバランスが関与しており、肌そのものは食べものから作られている以上、食事で肌質は変わると経験から確信しています。秋は肌の保湿に役立つ脂ののった秋鮭やサンマなどが旬を迎え、ターンオーバーを促進してくれます。また、美肌に導く亜鉛を含む牡蠣も登場します。クマやクスミが気になる人は鉄分の摂取も忘れずに!

今回は、食材の栄養の吸収をサポートするアボカドと、肌の保湿に役立つ旬のサーモンを使ったカルパッチョのレシピをご紹介いたします。

美味しく食べてプリプリのすっぴん美肌を手に入れてくださいね。

出典:Mario Sferruzzi, 765-494-0625
※日本医師会ホームページ

アボカドとサーモンのカルパッチョ

【材料(2人分)】
・アボカド:1個
・サーモン(刺身用):100g
・玉ねぎ:1/4個
・わさび:小さじ1/4
・レモン汁:小さじ1
・ヨーグルト(無糖):大さじ2
・塩:少々
・こしょう:少々

【作り方】
1. アボカドは皮を剥き、種を取って7mm程にスライス。サーモンはそぎ切りにし、玉ねぎはみじん切りにてサッと水にさらし絞る。

2. わさび、レモン汁、ヨーグルト、塩、こしょうを混ぜカルパッチョソースを作る。

3. 皿にアボカドとサーモンを交互に並べ玉ねぎをのせ、ソースをかける。

<2015年10月5日 掲載>

初出:しごとなでしこ

細川モモ

予防医療コンサルタント
社団法人Luvtelli 東京&NewYork代表理事
2011~2015 ミス・ユニバース・ジャパン オフィシャルトレーナー

両親のガン闘病をきっかけに予防医学に関心をもち、渡米。Internaotional Nutrition Supplement Adviser.の資格を取得後、健康食品会社の開発部に所属。以後10年間欧米の疾病予防リサーチと勉強に充て、09年の春に予防医療のプロフェッショナルチーム「Luvtelli Tokyo&NewYork」を日本とNYに発足。株式会社タニタとともに5年に渡り世界一の美女候補の身体づくりをサポートし、美と食と健康について分析を深めている。11年より「卵巣年齢共同研究PJ」「高崎妊婦栄養研究PJ」など、女性と次世代の健康と食にまつわる共同研究を複数手がけ、学会・論文発表を行う。14年に三菱地所とともに大手町・丸の内・有楽町に働く女性の健康支援の一環として「まるのうち保健室」をオープンし、「働き女子1,000名白書」を発表。数々の試みがNHK、NHK world、日経新聞他に取り上げられる。
農林水産省「地域食文化活性マニュアル検討委員会」委員。著書、「タニタとつくる美人の習慣」「いちばんわかるスキンケアの教科書」(講談社)。9月30日に「細川モモの美人食堂」(主婦の友社)を発売。毎日新聞医療プレミアにて連載執筆中。

「細川モモの美人食堂」(主婦の友社)
1,400名以上の働く女性が訪れた「まるのうち保健室」から誕生した、「働き女子1,000名白書」をベースに、多くの女性が悩まされてたお悩みにコラムとレシピでアンサー!冷え性や肌荒れ、むくみや疲れ対策に必要な知識と栄養たっぷりだけど3ステップでできる簡単レシピをぎゅっと詰め込んだ新しい形の“読むレシピ本”!気になるお弁当の基礎知識や野菜の保存法など、初心者向けの情報も盛りだくさんです。

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