秋の訪れとともに空気が乾燥し、肌トラブルに悩まされ始めている人も多いのではないでしょうか。「働き女子1,000名白書」のお悩みランニングで肌荒れは5位と上位でした。美容液やパック、洗顔など、アイテムの見直しも一案ですが、この秋はぜひ、食事を見直すことで肌トラブルを予防してみませんか?
肌の潤いは98%が食事から!?
肌の乾燥に悩まされていると相談を受けたとき、まず食事量全体が必要な量を満たしているかを確認します。栄養不足でハリツヤのある美しい肌を作ることは困難です。肌と肌の潤いの主な原材料である、たんぱく質と必須脂肪酸が不足していないかもチェックしています。赤ちゃん肌を作るコラーゲンは人間の身体では作り出せない“必須アミノ酸”を材料としています。私たちの身体を作っているのはたった20個のアミノ酸ですが、このうち9つのアミノ酸を必須脂肪酸といい、食事からの供給なしに作り出すことができません。下のグラフをみると明らかですが、コラーゲンを分析してみると、なんと8種類もの必須アミノ酸を有しており、私たちが日々の食事なしに赤ちゃん肌になれないことがよくわかります。また、美肌によいとされるプラセンタも大部分はアミノ酸から成るたんぱく質です。
すっぴん美肌の鉄則ルール
コラーゲンは日々の食事なしに作り出せないため、摂取することが大切ですが、落とし穴に気をつけましょう。実は、9つのアミノ酸は全種類が揃わないと機能しません。例え8つのアミノ酸がパーフェクトに含まれていても、1つのアミノ酸の配合量が少ないと全体の働きが制限されてしまいます。よって、コラーゲンが満ち足りた肌をつくるためには、9つの必須アミノ酸すべてを食事からまんべんなく取り入れる必要があるのです。
アミノ酸から成り立っているたんぱく質が“美肌の素”といえますが、すっぴん美肌を目指すならどのたんぱく質が9つの必須アミノ酸をパーフェクトに含んでいるかを知る必要があります。それを示しているのが「アミノ酸スコア」です。アミノ酸の価値を表すもので、100点=9つの必須アミノ酸をすべて含むという意味です。100点に満たないものは9つのうちいずれかのアミノ酸、または複数のアミノ酸が不足している食材です。肉・魚・大豆・卵・乳製品の5大たんぱく質はいずれも100点ですから、毎食片手一盛り食べることを意識しましょう。実際に肌が美しい人に比べて肌トラブルのある人はアミノ酸を不足させていたというデータもあります。
ペスカトーレは美人をつくり、ペペロンチーノでは美人になれない!?
働き女子が多く食べるパンやパスタなどの麺類の主原料は小麦です。小麦の材料は37点ですから、コラーゲンを満足に作り出すにはあまりに心もとないスコアといえます。そこで大切なのは、“献立力”です。例えば、麺が37点でも100点の食材である肉・魚・大豆・卵を加えることで100点のレシピにできます。肌トラブルの修復効果のある亜鉛や目の下のクマやくすみを招く鉄分をチャージできる魚介のペスカトーレは“美人パスタ” 一方、良質たんぱく質が不足しているペペロンチーノではコラーゲンチャージができません。
パンにもジャムではなく、卵やツナがオススメ。米もアミノ酸スコアは67点ですので、100点にするためにはおにぎりの具は梅や昆布より鮭やたらこ、イクラやツナが美肌に◎ 。たんぱく質は肌を含む10万個もの組織を作っているため、必要量は体重に対して1g/日です。できるかぎり3食片手一盛りのたんぱく質を摂取しましょう。
大人の乾燥肌に食べて潤いチャージ!
たんぱく質をしっかり摂ってコラーゲンチャージをしたら、次は食事から潤いを確保しましょう!角質層に保持されている水分のうち、2〜3%は皮脂が、17〜18%は天然保湿因子(たんぱく質)が、80%は体内で作り出せないセラミド(必須脂肪酸)が守っています。食事に含まれる脂肪酸はそのまま肌の潤いに直結しています。確かに1g=9kcalとカロリーは高めですが、避けていては肌の潤いはパサつくばかり。また、女性の美と切っても切り離せない女性ホルモンは血中脂質のコレステロールから作られているため、脂肪を避けてばかりでは老ける一方です。
とくに、女性が意識して摂取したい脂肪酸はオメガ3脂肪酸です。魚類に含まれるDHA・EPAと、くるみや亜麻仁、えごま(しそ)に含まれるα-リノレン酸は体内で一部がDHA・EPAに変換されます。様々な美容・健康効果が認められているDHA・EPAですが、乾燥と無縁の肌を目指そうと思ったら、毎日1gの摂取が必要です。DHA・EPAを高濃度に含む魚は以下の通り。
今の時期、旬を迎えるさんまは必須脂肪酸・アミノ酸ともに豊富に含んでいる美肌の強い味方です。DHA・EPAは煮ると90%に減少し、焼くと80%、揚げると50%まで減少してしまうため、生のお刺身でいただくと効果的。でも、魚を毎日は誰でも難しいですよね。ですから、おやつやサラダにくるみを取り入れたり、ドレッシングやスムージーに亜麻仁油を足すなど、工夫をしましょう。最近注目を集めているスーパーフードのひとつ、チアシードもオメガ3脂肪酸を豊富に含んでいます。ドリンクやビスケットで発売されていますので、オフィスで潤いチャージしてみてはいかがでしょうか。
ただ、α-リノレン酸がDHA・EPAに変わる変換率はそれほど高くはありませんので、魚介類とバランスよく取り入れることをオススメします。
「働く女子1,000名白書」で肌荒れに悩まされていると答えた人が実際に不足させていた食材は良質な油と海藻と穀類でした。魚介類の不足率は95%、海藻類は93%です。穀類や海藻が含むミネラルや食物繊維への肌への影響は次号でご紹介します!秋を迎えるにあたり、不足食材を強化していきましょう。
今回は、働く大人女子の乾燥肌対策に、良質な脂質とたんぱく質をたっぷり含んだ「アボカドまぐろ」レシピをご紹介いたします。
出典:「Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」調査」Copyright© 2015 三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリAll Rights Reserved.
アボカドまぐろ
<材料>2人分
・アボカド 1個
・まぐろ(刺身用) 150g
・しょうゆ 数滴
・ごま油 適量
・スプラウト 1/4パック
・トッピング用ごま 適量
<作り方>
1)アボカドを半分に割って、種を取り出し、さいの目切りにする。スプラウトは根を切り洗う。まぐろはさいの目に切る。
2)まぐろとアボカドを軽く混ぜ合わせお皿に盛る。
3)しょうゆ、ごま油をお好みで垂らす。
4)洗っておいたスプラウトを添え、お好みでごまをトッピングして飾り完成。
<2015年9月20日 掲載>
初出:しごとなでしこ
細川モモ
予防医療コンサルタント
社団法人Luvtelli 東京&NewYork代表理事
2011~2015 ミス・ユニバース・ジャパン オフィシャルトレーナー
両親のガン闘病をきっかけに予防医学に関心をもち、渡米。Internaotional Nutrition Supplement Adviser.の資格を取得後、健康食品会社の開発部に所属。以後10年間欧米の疾病予防リサーチと勉強に充て、09年の春に予防医療のプロフェッショナルチーム「Luvtelli Tokyo&NewYork」を日本とNYに発足。株式会社タニタとともに5年に渡り世界一の美女候補の身体づくりをサポートし、美と食と健康について分析を深めている。11年より「卵巣年齢共同研究PJ」「高崎妊婦栄養研究PJ」など、女性と次世代の健康と食にまつわる共同研究を複数手がけ、学会・論文発表を行う。14年に三菱地所とともに大手町・丸の内・有楽町に働く女性の健康支援の一環として「まるのうち保健室」をオープンし、「働き女子1,000名白書」を発表。数々の試みがNHK、NHK world、日経新聞他に取り上げられる。
農林水産省「地域食文化活性マニュアル検討委員会」委員。著書、「タニタとつくる美人の習慣」「いちばんわかるスキンケアの教科書」(講談社)。9月30日に「細川モモの美人食堂」(主婦の友社)を発売。毎日新聞医療プレミアにて連載執筆中。
「細川モモの美人食堂」(主婦の友社)
1,400名以上の働く女性が訪れた「まるのうち保健室」から誕生した、「働き女子1,000名白書」をベースに、多くの女性が悩まされてたお悩みにコラムとレシピでアンサー!冷え性や肌荒れ、むくみや疲れ対策に必要な知識と栄養たっぷりだけど3ステップでできる簡単レシピをぎゅっと詰め込んだ新しい形の“読むレシピ本”!気になるお弁当の基礎知識や野菜の保存法など、初心者向けの情報も盛りだくさんです。