第3回は、女性のお悩みでも常に上位にあがってくる「便秘」についてです。
働く女性1,022名が参加した「まるのうち保健室」から生まれた「働き女子1,000名白書」で示されている”お悩みランキング”の中でも、第6位に入り、約3割の方が”日々の便秘”に悩まれていました。
”便秘くらい皆あるでしょ?”と軽く考えていると、後で痛い目にあうことも。 風邪が万病の元であるならば、便秘は不調の温床。仕事もプライベートもアクティブに送るためのメソッドを一緒に見ていきましょう。
腸は美と健康のバロメーター
そもそも、どうして便秘は不調の温床なのでしょうか。それは、口から入れた食べ物が、消化液によって分解された後、栄養素としてはじめて体に取り入れられる「腸」が大きく関わっています。
腸は、いわば栄養素を体に取り入れる入り口(オープンゲート)。体にとって害あるものを入れないよう、免疫細胞を集中的に配備しバリア機能を備えていたり、害あるものを外に排出させ、体をクリーンに保ったり、1日を幸せに過ごせるようハッピーホルモン量産したりと、目まぐるしく仕事をしています。言い換えれば、腸の状態をよく保てていれば、免疫が低下したり、肌が荒れたり、気分が滅入ったりという”不調”が起きにくくなると言えるのです。そして、ここでいう、腸の状態をよく保つことの1つが便秘の解消と言えます。
というのも、便秘がある腸の場合は、腸壁に便が堆積し、色は茶黒く、汚い状態が継続的に起いていまが、一方で便秘のない腸は、色はキレイなピンク色、弾力に富み、クリーンな状態に保たれています。例えて言うならば、ヘドロがつまった水道管と、掃除の行き届いた水道管のような違いです。 先ほどもお伝えしましたが、腸から血液を介して、栄養素を全身に巡らせるため、この”腸の状態”が良いか、悪いかによって、体の調子を大きく左右しているといえるわけです。 そう考えると、「腸」を汚い状態にしておくのは大問題!今すぐに手を打つ価値は大いにあります。
便秘の解消に食物繊維というのは時代遅れ?!
「便秘の解消方法は?」と聞かれれば、食物繊維をとること!とお答えになる方は多いのではないでしょうか。もちろん、食物繊維をとることは、便秘の解消に不可欠な要素といえます。でも、それだけでは片手落ちです。
というのも、「働き女子1,000名白書」からの報告により、そもそも食事の全体量が少ないということが分かりました。通常、働く女性は1,750〜2,000kcalのエネルギーを1日に確保しなければならないものの、実際に取れていたエネルギーは1,479kcalと大幅なマイナス。これでは、食事量が少なすぎて、便のかさを増やすことができません(便を作れない)。つまり、実際は食物繊維だけが足りていないということではなく、そもそも”食べる量自体が足りていないために、便秘を引き起こしている”ということになります。 これでは、一見ダイエットをしているようでも、便が腸に堆積することでガスが発生し、お腹がぽっこりと膨らんでしまうという、喜べない状態になってしまいます。
では、どのように解決したらよいのでしょうか。便秘解消のために必要な条件の1つは、適切な食事量をとるということと言えます。また、「働き女子1,000名白書」によって、働く時間が長くなる程に食事量が減ることが分かっているため、特に仕事の忙しい時には、ヨーグルトやナッツ、具の入ったおにぎりなど、小まめに捕食をとりながら食事量の確保を心がけることも大切です。 ちなみに、こちらの献立例が働き女子に必要な食事量。日々の便秘に悩まれている方は、頭の隅に入れておくことをおすすめします。
大豆製品と海藻が便秘解消の救世主?!
食事の量に加え、便秘の解消を考える上で、欠かすことのできない栄養素がマグネシウムです。こマグネシウムは、筋収縮に関係しているため、腸のぜん動運動に働きかけることが分かっており、腸の中で便をスムーズに押し出すサポートをしてくれます。また、マグネシウムには水分を吸着する性質があるため、便を柔らかくする作用もあることから、食事からマグネシウムをとることで、便の保水性が増して柔らかくなり、腸内を便がスムーズに進むことができるのです。
一方、残念ながら「働き女子1,000名白書」によると、下の図からもわかるように、約8割がマグネシウム不足になっていることが明らかになりました。また、マグネシウムを豊富に含む、大豆製品は約7割、海藻類は9割が不足し、便秘の解消は疎か、働き女子の食事内容は、便秘になりやすい環境を自ら作り上げているという残念な結果に。
つまるところ、便秘を解消するためには、適切な食事量をとること、マグネシウム豊富な大豆製品・海藻類を積極的に摂ることが大切なポイントと言えるわけです。手軽な納豆や、大豆の水煮、ワカメ、ひじき等は冷蔵庫に常備しておくか、外食を選ぶときにチョイスできると良いでしょう。他にも、雑穀米や発芽米などの未精製の主食にもマグネシウムは豊富に含まれることから、主食を未精製のものに切り替えるのも効率の良くマグネシウムがとれるのでお勧めです。
腸にも妊活にも嬉しいフィッシュオイル
便秘解消における最後の一手は、オイルメンテナンスです。オイルメンテナンスは、便秘解消に限らず、将来的な妊娠サポートという視点でも極めて重要といえます。「働き女子1,000名白書」によると、まるのうち保健室の参加者の85%が将来的な妊娠を希望していましたが、卵子のコンディションを高めるためには魚油(DHA・EPA)やビタミンDが妊活に有効であることは、あまり知られていませんでした。加えて、これらの油が、便に油膜をつくり便通を良くしてくれることも、残念ながら知れ渡っていることではありません。これらの栄養素をチャージするためには魚を食べる頻度を増やすこと以外、選択肢がありません。そのため、仕事もプライベートも健康的に、アクティブに送りたい”しごとなでしこ”には、魚からのオイルチャージを今以上に意識してみましょう。週に3回を目安に、外食も含め魚を取り入れることで、ゆっくりと体の調子が整っていくはずです。
いかがでしたでしょうか。便秘を解消すれば、不調知らずな体づくりも夢ではありません。そんな頑張る働き女子に贈るレシピは、マグネシウムと食物繊維が豊富な「チキンとれんこんのトマト煮」です。
出典:「Will Conscious Marunouchi「まるのうち保健室」調査」Copyright© 2015 三菱地所株式会社・一般社団法人ラブテリAll Rights Reserved.
チキンとれんこんのトマト煮
<材料>2人分
・鶏もも 1/21枚
・玉ねぎ 1/4個
・れんこん 50g
・にんにく 1片
・大豆の水煮缶 80g
・トマトの水煮缶 50g
・バルサミコ酢 50cc
・はちみつ 大さじ1/4
・ローリエ 1枚
・オリーブオイル 大さじ1
・塩こしょう 少々
<作り方>
1)鶏肉は皮をはずして塩こしょうをする。れんこんは皮をむき乱切りに、玉ねぎはくし型に切る。にんにくは半分に切って包丁でつぶす。大豆は水気を切る。
2)鍋にオリーブオイルとにんにくを入れ、香りが立ったら鶏肉を入れて焼く。焼き色がついたら、玉ねぎ、れんこんを加え、さらに炒める。
3)バルサミコ酢を鍋に入れて煮立て、アクを取る。そこにトマトの水煮をつぶしながら 加え、大豆、はちみつ、ローリエ、塩少々を加えて煮込む。水分がなくなり、 バルサミコ酢の酸味が飛び、とろみがついてきたら、塩こしょうで味を調えて完成。
<2015年9月5日 掲載>
初出:しごとなでしこ
細川モモ
予防医療コンサルタント
社団法人Luvtelli 東京&NewYork代表理事
2011~2015 ミス・ユニバース・ジャパン オフィシャルトレーナー
両親のガン闘病をきっかけに予防医学に関心をもち、渡米。Internaotional Nutrition Supplement Adviser.の資格を取得後、健康食品会社の開発部に所属。以後10年間欧米の疾病予防リサーチと勉強に充て、09年の春に予防医療のプロフェッショナルチーム「Luvtelli Tokyo&NewYork」を日本とNYに発足。株式会社タニタとともに5年に渡り世界一の美女候補の身体づくりをサポートし、美と食と健康について分析を深めている。11年より「卵巣年齢共同研究PJ」「高崎妊婦栄養研究PJ」など、女性と次世代の健康と食にまつわる共同研究を複数手がけ、学会・論文発表を行う。14年に三菱地所とともに大手町・丸の内・有楽町に働く女性の健康支援の一環として「まるのうち保健室」をオープンし、「働き女子1,000名白書」を発表。数々の試みがNHK、NHK world、日経新聞他に取り上げられる。
農林水産省「地域食文化活性マニュアル検討委員会」委員。著書、「タニタとつくる美人の習慣」「いちばんわかるスキンケアの教科書」(講談社)。9月30日に「細川モモの美人食堂」(主婦の友社)を発売。毎日新聞医療プレミアにて連載執筆中。
「細川モモの美人食堂」(主婦の友社)
1,400名以上の働く女性が訪れた「まるのうち保健室」から誕生した、「働き女子1,000名白書」をベースに、多くの女性が悩まされてたお悩みにコラムとレシピでアンサー!冷え性や肌荒れ、むくみや疲れ対策に必要な知識と栄養たっぷりだけど3ステップでできる簡単レシピをぎゅっと詰め込んだ新しい形の“読むレシピ本”!気になるお弁当の基礎知識や野菜の保存法など、初心者向けの情報も盛りだくさんです。