皆さんは週にどれくらいおやつを召し上がりますか? オフィスにおやつが置いてある環境で働いている人も多く、なんだかんだと毎日食べているという人も少なくないと思います。今後ぜひ、意識していただきたいのはおやつの摂取頻度です。デスクワークのかたわらにちょこちょことつまむことでお腹が空かず、ご飯の量が少なくなったり、残業時の夕飯をおやつで置き換えたりしていませんか?
約1,400名の働く女性が参加した「まるのうち保健室」から誕生した白書において、おやつの摂取頻度がプチ不調に大きく影響していることが明らかになりました。おやつの摂取頻度が少ない人(70g未満)と多い人(70g以上)では、該当するプチ不調の数に差があったのです。とくに、頭痛や風邪、不眠や肌荒れといった深刻な不調がおやつを多く召し上がる人で多いことがわかりました。
おやつは栄養状態に大きく影響しています。
ではなぜ、おやつがプチ不調に影響するのでしょうか?その答えは栄養状態のアンバランスによるものです。おやつの摂取頻度が少ない人は、お食事をしっかり召し上がる傾向にあるため、ビタミンやミネラルの摂取量が増えます。一方、おやつを多く召し上がる方はむくみを予防するカリウムや頭痛や便秘を予防するマグネシウムの摂取量が乏しくなり、あまり摂りたくないショ糖や飽和脂肪酸の摂取量が目に見えて増加してしまいます。このような食生活を長く続けることで知らず知らずのうちに栄養状態が悪くなり、肌荒れや便秘、疲れや風邪といったプチ不調が増加していくと考えられます。
また、おやつの摂取頻度はオフィスの滞在時間が長いほど増えることも明らかになりました。夕食の時間をきちんと取れないことで空腹を満たすためにちょこちょことおやつを食べてしまい、結果的に摂取量が増えてしまっていることが伺えます。それが自分が悩まされている不調に直結していたなんて驚きかもしれませんが、これを機におやつの内容を見直してみませんか?
おやつを悪者にしない食べ方!
そもそもの話ですが、おやつ=悪いものではありません。おやつは正式には補食といって、育ち盛りの子どもたちが3食では足りない栄養素を補うための食として誕生したものです。つまり、栄養を補えるおやつであれば、それは必要なものなのです。例えば、ヨーグルトやプリンからは良質なたんぱく質が補えますし、ドライフルーツならビタミン、海藻スナックならミネラル、寒天なら食物繊維を補うことができます。ビターチョコレートからは植物性ポリフェノールを摂ることも可能。最近はエッセンシャルラインといって、特別な栄養や乳酸菌が添加されているアメリカではお馴染みのおやつ類が増えてきました。不足しがちな栄養素をオフィスで気軽に補えます。
また、空腹を満たせるならおやつにこだわらないという人はぜひ、スープや麦飯や雑穀米のおにぎりなどに変えてみてください。ビタミンの多くは水溶性ビタミンですので、水に溶けて流出してしまう弱点がありますが、スープなら溶け出したビタミンごと摂ることができます。麦飯や雑穀には働く女性がもっとも不足させているビタミン、ビタミンB1が豊富に含まれます。糖質を代謝し、元気と綺麗に欠かせないビタミンです。疲れている人が実際に不足させているビタミンですので、しっかりチャージしたいところ。冷めたおにぎりに多く含まれる難消化でんぷんは腸内環境を整え、“ダイエット菌”を育むことを助けてくれます。
それでも甘いおやつが食べたいときは?
身体に良くないとわかっていても普通のおやつを食べたい!という人も少なくないでしょう。それでしたら、食べる時間を意識してみませんか。“ふわふわ”“トロトロ”に代表される、身体には良くないかもしれないけれど大好きなおやつは、15時までに食べましょう。実は、身体にはそれぞれの栄養素をより吸収しやすい時間やしにくい時間があることが最新の研究で明らかになってきました。また、1日のホルモン分泌の変動により、脂肪を蓄えにくい時間があることも判明しています。朝起きて朝日を浴び、朝ごはんを召し上がっている方なら(体内時計のリセットができている人)、6時〜15時までは脂肪を蓄えるたんぱく質「BMAL1(ビーマルワン)」が少ない時間帯。とくに、14〜15時頃はもっとも値が低下しますので、甘いおやつは15時までに食べましょう。
その時間を過ぎると徐々に増加し、21時を過ぎると15時の時間帯の約20倍にも達します。同じものを食べても脂肪になるリスクが高い時間帯に食べるのは考えものですよね。15時以降のおやつはヘルシーなおやつを心がけることがダイエットになります。
最近は働く女性の約半数がお弁当を持参しているというデータもあります。週末におやつを手作りできる方は、ぜひヘルシースナックを手作りしてみてください。
今回は美味しくてヘルシーな、くるみとシリアルのキャンディクランチのレシピをご紹介いたします。
くるみとシリアルのキャンディクランチ
<材料>10個分
・くるみ 30g
・シリアル 60g
・きび砂糖 30g
・はちみつ 大さじ2
・水 大さじ1
<作り方>
1)フライパンに砂糖、はちみつ、水を入れ煮詰める。
2)沸々としてきたらくるみとシリアルを入れ絡める。
3)オーブンシートを手のひらサイズに切り、その上に2をのせキャンディー包みし、冷蔵庫で冷やす。
<2016年3月20日 掲載>
初出:しごとなでしこ
細川モモ
予防医療コンサルタント
社団法人Luvtelli 東京&NewYork代表理事
2011~2015 ミス・ユニバース・ジャパン オフィシャルトレーナー
.
両親のガン闘病をきっかけに予防医学に関心をもち、渡米。Internaotional Nutrition Supplement Adviser.の資格を取得後、健康食品会社の開発部に所属。以後10年間欧米の疾病予防リサーチと勉強に充て、09年の春に予防医療のプロフェッショナルチーム「Luvtelli Tokyo&NewYork」を日本とNYに発足。株式会社タニタとともに5年に渡り世界一の美女候補の身体づくりをサポートし、美と食と健康について分析を深めている。11年より「卵巣年齢共同研究PJ」「高崎妊婦栄養研究PJ」など、女性と次世代の健康と食にまつわる共同研究を複数手がけ、学会・論文発表を行う。14年に三菱地所とともに大手町・丸の内・有楽町に働く女性の健康支援の一環として「まるのうち保健室」をオープンし、「働き女子1,000名白書」を発表。数々の試みがNHK、NHK world、日経新聞他に取り上げられる。
農林水産省「地域食文化活性マニュアル検討委員会」委員。著書、「タニタとつくる美人の習慣」「いちばんわかるスキンケアの教科書」(講談社)。9月30日に「細川モモの美人食堂」(主婦の友社)を発売。毎日新聞医療プレミアにて連載執筆中。
「細川モモの美人食堂」(主婦の友社)
1,400名以上の働く女性が訪れた「まるのうち保健室」から誕生した、「働き女子1,000名白書」をベースに、多くの女性が悩まされてたお悩みにコラムとレシピでアンサー!冷え性や肌荒れ、むくみや疲れ対策に必要な知識と栄養たっぷりだけど3ステップでできる簡単レシピをぎゅっと詰め込んだ新しい形の“読むレシピ本”!気になるお弁当の基礎知識や野菜の保存法など、初心者向けの情報も盛りだくさんです。