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LIFESTYLE

2018.12.23

「親や他人からの期待は一番先に捨てるべき」【中村うさぎのお悩み相談室vol.7】

今回の相談者は、保険会社勤務のSYさん(37)。舞台はアフター7、都内某所のバー…仕事・恋愛・将来に、悩みのつきないアラサー女子とエッセイスト中村うさぎが1対1のがっつり本音トーク。悩める私たちの心にうさぎさんの格言が突き刺さる!【中村うさぎのお悩み相談室】ちょっと覗いていきませんか?

【中村うさぎのお悩み相談室】

「男女平等、女性の権利なんて言っておきながら、結局男が好きなのは…」

SY 男女平等均等法が成立し、女性が社会進出してきて大分経ちますけど、結局男性は女性に対して自分へのサポートを求めていて、専業主婦だったりとかパートになって欲しいと思っている男性がすごく多いんだということに気づいて、ショックを受けている状態です。

中村 なんでだろうね!笑 食わしてもらうくらいの勢いの男は少ないよね、まだ。

SY そういう状態なんですけど、それは価値観なので仕方ないかなと思いつつも、あまり自分のことをモテるタイプではないと思っていて……でも、仕事もすごく好きだし、「はい分かりました」とおとなしく専業主婦になれるようなタイプではないと自分で思っていて。
こんな私はどうすればいいでしょうか、というご相談なんです。

中村 べつにおとなしい女にならなくていいじゃないですか

SY えー(笑)
選択肢がたくさんある人は突き進んでいてマイペースでいけばいいと思うんですけど、色々と妥協というか、折れなくてはいけないところもありつつ、やっていかなくちゃいけないんだなとは思っていて。だから、みんなが言うようなよくある答えというよりは、斬新な意見が聞きたくて。というのも、仕事をしているといろんな人に出会う機会が多くて、もうこれまでのように普通が当たり前じゃなくなってきてるなと思ったので、いろんな人の意見が聞いてみたいなと思って。

中村 なるほど。みんなは普通どんなことを言うんですかね?

SY みんなだいたい言うのは「それでいいじゃない、働いて誰か結婚相手を見つければいいんじゃない」って言われる。

中村 そもそも結婚したいんですか?

SY 結婚はしたいです。

中村 なんでですか?

SY やっぱり、好きな人と一緒にいたい

中村 ああ……結婚したら好きじゃなくなりますよ、そのうち(笑)

SY (笑)

中村 それが結婚ってものの現実だしね。で、結婚しても仕事は続けたいわけですか?

SY 仕事は続けたい。今の形じゃなくてもいいですけど、何年か働いてきて、やっぱりできることも増えてきたので、それをなくしたくない。活かしていきたい。

中村 じゃあ、このままこの仕事を続けつつ結婚を考えた場合、「女は家で家事しててくれ」とか言う相手は無理よね?

SY 家事とかは別にしてもいいんですけれど、やっぱり仕事をしてると、自分の仕事にもプライドが出てくるじゃないですか。そういう時によく言われるのは「我が強い女は嫌がられる」って……。

中村うさぎ

「あなたは、なんで自分を抑えてるの?」

中村 嫌がらない男もいると思うけどな(笑)。みんながみんな、そういう奥ゆかしい女性を好むかっていうと、そういうわけじゃないと思うんだけど。
あなたはなんていうか、自分を抑えなきゃいけないって思ってるみたいなんだけど、抑える必要は全くないと思うんですよ。なんなら、結婚しなくてもいいくらいじゃない? 仕事が楽しくて順調なら、無理に結婚する必要ない。

SY うーん、はい。うんうん

中村 なんで結婚したいのか聞いたら「好きな人と一緒にいたいから」って言ったけど、じゃあその人のこと好きじゃなくなったらどうするんですかね? もうそこで結婚願望なくなるの?

SY 確かに。ちょっと今、私、自分が間違ってたことに気付きました。すみません。好きな人と一緒にいたいというよりかは、子供が欲しいんです。

中村 あ、子供ね。

SY はい。だから、正直、離婚しちゃってもいい。でも、やっぱり子供は、好きな人とちゃんと作りたい。

中村 なるほど、結婚願望ではなくて、子供が欲しい願望だと。

でもさ、妊娠とか出産とか子育てとか考えたら、かなりキャリアに響くじゃないですか、今の世の中でもやっぱり。そうそう産休とか育休とかに理解のある会社ばかりではないので。そういうことに関しては、キャリアを多少犠牲にしても、子供が欲しいですか?

SY そうですよね。ちょっとそう聞かれて、なんか……なんだろう(笑)。微妙なところです。でも子供が欲しい理由って、両親に見せたいなっていうところかな

中村 親か。結婚願望の根っこにあるのは子供欲しい願望で、さらにその根っこを掘ってくと親の願望に行き着くわけね(笑)。

親に言われるの? そろそろ孫の顔が見たいとか。

SY 最近はもう言われないですけど、やっぱりちょっと気になってると思う

中村 なるほど。でもね、親のために生きてるわけじゃないじゃないですか。私がいつも驚くのは、人生のすごく大事な決断や選択の場面で「親のため」っていう言葉が出てくることなんだよね。

私、親のためになんかしようと思ったこと一度もないからさ。親が私に何かを期待してても、その期待が私の希望と合致すればいいよ、だけど私がしたいことと親がなってほしい私とそこにギャップがある場合、何を優先するかというと、自分を優先するのは当たり前じゃんって私は思うんですよ。なぜなら、これは私の人生で、親の人生じゃないからよ。

親のために自分のしたいこと諦めたりとか、親の体面とか希望とかを優先して生きてたら今の私はないわけよ。

うちの親はね、こんな娘になって欲しくなかったと思うよ(笑)。親は私を中学からお嬢さん学校みたいな女子校に入れたんだけど、たぶんその頃はいいお嫁さんになれるような子に育ってほしいって思ってたんだろうね。けど私は、ある時期から、いい嫁になることなんか人生の目標じゃなくなったわけ。良妻賢母みたいなさ、結婚していい奥さんになって子供産んで、私幸せ!? みたいな。全然幸せじゃないよ。私はやりたいことがある。

だってさ、親を喜ばすためにやりたいこと諦めて結婚して子供も産んだとして、もしその結婚や子育てが失敗するとするじゃん。ハッピーエンドになるとは限らないじゃない? 旦那がひどい人だったりとか、子供が問題起こしたりとかさ。そんなすごい大変な思いをしてるときに、親が何してくれるんだと思うわけ。私が失った、諦めたものを、親が保証してくれるの? みたいな。

もし自分が選んだことで失敗したら、自分で選んでやったことで失敗したんだからしょうがないや、私が間違ってたんだって思えるけど、親のために失敗したら、なんで私が親のためにこんな想いしなきゃいけないんだってなるわけじゃない? その後悔が嫌いなんですよ、私。

SY うんうん

「自由になるには、『失う覚悟』が必要なの。そうじゃないと、後ですごく苦しむことになる」

中村 もちろん、親のために生きるのが悪いとは思わないよ。なんのために生きようが、それは個人の自由だよ。

でも、親のために生きるっていうことを人生の最大目標にするのであれば、本当に親のために何でも捨てられるの? って聞きたいわけ。親に喜んで欲しいからとか、親の期待を裏切りたくないからって、言葉で言うとすごい親孝行だし聞こえがいけど、じゃあ親のために全部捨てられるっていう覚悟がないと、親のために生きたことにはならないと思うんですよ。

親の望むような結婚して望むような家庭をつくって、いろんなこと諦めたり我慢するかもしれないけど、それでもいいや親が喜んでくれたら、最後に親が本当にお前はいい娘だって言って死んでくれたら私はなんも後悔はないって、本当に思えるんだったら親のために生きればいいと思うんだよね。

結局、自分のやりたいこともある、親の期待もある、そして世間体もある、あれもこれも……って、そんないろいろ達成しようとしても無理に決まってんじゃん。

生き方の選択肢は多いほうがいいんですよ。だって、その分、自由だもん。でもね、昔に比べると今の女性は選択肢が多い分、ものすごく幸福な一方で、ものすごく失うものが多いと思うの。昔みたいに一方通行の生き方しかなかった、結婚して子供産んで専業主婦ですみたいな、一本道の生き方しか選択肢がなかった時代はさ、いろんなもの諦めてもしょうがないって思えたけど、今はしょうがなくないじゃん。

結婚したらしたで、独身でガンガン働いて自由で華やかな生活を謳歌してる人がまぶしく見える。一方、自分がキャリアの道に進んだ場合も、結婚してすごく幸せそうな家庭を作ってる人が羨ましい。

それは自分が捨てたものだよね。選択肢が多いってことは、捨てなきゃいけないものも増えるってことなの。だから、選択肢が増えて捨てなきゃいけないものが増えた分、現代の女性は迷いも多くなってきたと思う。

選択肢が多いってことは、ものすごく自由度が高いこと。でもね、自由には覚悟が必要なの。それは「失う覚悟」なのよ

自分はこの選択肢ABCの選択肢のうちAを選んだらこれを諦める覚悟はあるか、Bを選んだらこれを諦める覚悟はあるかって、ひとつひとつ自分に問いかけて生きるしかない。一本道だった時代は、覚悟もしないで結婚してこんなもんだと思ってさ、旦那が酔っ払いでも浮気性でもまぁ我慢して。それしか選択肢がなかったときはある意味覚悟がなくて仕方がないって諦める道があったと思うけど、今は選択肢が多いから、失うことに覚悟を持たないと、後ですごく苦しむことになっちゃうのね。

中村うさぎ

「現代女性よ、捨てる覚悟と強い気持ちを持って」

SY うん

中村 一番欲しいものが何かっていうのを自分で決めなきゃいけなくって。それは結構辛いことなんだけど、辛いけど、その辛い選択を、辛いけど心を決めたら、自分で正解にしていくしかないの。だから、人生に正解はないって私はいつも言うんだけれども、本当に人生に正解なんかないんだよ。結婚するのが正解なのか、親のために生きるのが正解なのか、仕事で生きるのが正解なのか。何ひとつ正解はないけど、決めた以上はこれを正解にしてやるくらいの勢いっていうのかな、強い気持ちがないと、折れちゃうんですよ。

で、自分が折れちゃうのが一番辛いから。こんなはずじゃなかったとか、なんでこんなことになっちゃったんだろうみたいなことを思いたくないじゃない? やっぱり現代女性はそれが一番大きい問題だと思うのね。自由度が高くなってるからこその責任と選択の苦しみ。まだ男性のほうが一本道ですよ。なんだかんだ言って。昔は男のほうが自由みたいに思ってたけど、今は女のほうが全然自由。だって男に専業主婦の道ないもん。あるけど、ものすごく少ないからね、間口が。だからやっぱりなんとか自分が働かなきゃいけない。自分を一人とりあえず食わさなきゃいけない。そして、結婚したいんだったら女房と子供、特に子供は自分が食わさなきゃいけないじゃない。女房と二人ででもさ。とにかく誰かを養ったりしなきゃいけないっていう選択肢しかないんだよね。

でも女の人は専業主婦になって一生働かない選択肢もあるしさ、結婚しないで一生独身でも昔みたいにバカにされないしね。それはそれで、その人の人生だね、と思われる。

だから選択肢が多い分、男の人より女の人のほうが自由だと思う。でも、自由な代わりに失うものも多いから、ものすごく強い意志が必要とされると思う。だから男の人より女の人のほうが強いと思う。

SY うん

「私たちは結局、人のためになんか生きられない!」

中村 さっき私は覚悟決めたんだったら親のために生きろって言ったけど、それは、おすすめしない。親は他人だから。他人のためになんか生きられない。私たちは、他人のために生きられるようには育ってないんだよね。なんだかんだ言って民主主義とか個人主義に洗脳されて生きてるからさ。
自由と自己責任はセットになってるから。その二つを与えられて生きてきたから。この歳までね。

そんなわけで、何を捨てるかをまず決めないと、何も選択できないし覚悟も決まらないわけよ。何を優先するのか選べないんなら、逆に捨てられるものを先に決めたらいいかもね。家の中が片付けられない人もそうじゃん。今、家の中が片付けられない人状態だと思うの。

捨てられるものから先に決めていったら、自分が何を優先にしたいかに気付く

SY ああ、でも…本当に、一体どうしたらいいかわからない、ごちゃごちゃしすぎていて、どれもこれもで……。でも、捨てられるもの探すっていうのは、できるかもしれない。

中村 そうなんですよ。私が家が片付けられない人間でゴミとかも捨てないで置いてあったりするんだけどさ、やっぱり何から先に捨てるか決めないと家がすごいことになっていく一方じゃない。

人生もそれと同じでさ。捨てるものから先に決めていったら、本当に自分が最優先したかったのがこれだったんだということに消去法で気付くかも。選べって言われたら選べないかもしれないけど。捨ててきなさいって言われたら心を鬼にして捨てていくじゃない? そういうふうに人生で何を捨てていくかを決めていったらどうでしょう。そしたら、10個ある選択肢がとりあえず5つくらいにはなったりとか、そのうち3つになって、2つになったらもう、だいぶ楽じゃん。どうでしょう?

SY はい。すごくいいと思います。それだったらできるかもしれない。

中村 そっか。じゃ、何捨てる?

SY 最初に言った話ですけど、「誰かがかわいそうだから」とかそういうふうに思うのは、やめて。親は大切ですけど、親のためにどうこうというのではなくて……。

中村 うん。親を大事にすることと、期待に応えるのは、また別の問題だと思うのよ。自分を幸せにすることを優先して、あなたが幸せになれば、親は喜んでくれるかもしれないしね。

ところで、最初に言ってた「我を通しちゃいけない」みたいな思考は、誰かからそう言われたの?

SY ああ、それは……若いうちは本当に選択肢がいっぱいあるじゃないですか、選ぶ男性でも。30後半になってきて、選ぶ男性も昔よりぐっと少なくなってきて、そのときに100パーセント気に入る相手とうまくいくとは思ってなくて、その中で諦めるところはちょっとずつあるんだろうなって思っていて。実際に割と30代前半くらいまでは、男性の人に養ってもらうような仕事をしてたんですよ、ずっと。で、30代半ばに入ってそれはまずいなと、ちゃんと働いて、うまくいって、軌道に乗ったら乗ったで「あ、意外と男性は自己主張控えめな女性が好きなんだな」っていうのがわかって。

中村うさぎ

「男の期待に応えたっていいことない。どうせ文句は言うから(笑)」

中村 あー。そういうことね。まぁ、男の期待なんていうのはね、応えたからって男が何してくれるかって話ですよ。だってさ、従順で大人しい子がいいなぁ癒し系とか言ってるけど、そんなの勝手な向こうの都合だからさ、本当に癒し系と結婚しても、また不満言いだすよね、絶対。話が面白くないとか退屈とか言いだして。お前、大人しい女が好きだって言ってたじゃないかって、よく私は男友達に突っ込むんだけど。

SY 確かに

中村 女もそうじゃん。欠点と長所ってコインの裏表だから、付き合ってしばらくするとそれひっくり返ったりするじゃない。

優しい人と結婚してみたら、ただの優柔不断だったとか、守ってくれる強い男を選んだら、ただ強引で独善的なやつだったとかさ。そういう意味でいいと思ったことコロっとひっくり返ることがよくあるんで。長所だと思ったことは、たいてい短所と繋がってるじゃない?

男もさ、こういう女がいいとか言ってても、ひっくり返った面を必ずうざがるわけ。だから私はあんま男の期待に応えたっていいことないなって思うんだよね。だって、どうせ、文句言うもん(笑)

SY 確かに、そうですね。

中村 あなたがこんな自分でいたいっていうのが、大事だと思うのね。こんな自分でいるときが一番楽しいみたいな、それはもしかしたら人から見たらワガママだったりするかもしれないけど、いいじゃん。別にワガママでも他人に迷惑かけなければさ。だからあなたが快適なあなたでいることが大事で。男の期待とか、親の期待とか、他人の期待っていうのは、期待だけ寄せて何も返してくれないから。その人たちは。他人はなんにもしてくれないしさ。だからまず他人の期待を捨てていいと思います

SY すごい…。私本当に勉強になりました。教科書には書いてない答えでした(笑)

中村 男に期待するなとは、書いてないわね、教科書には(笑)

中村うさぎ

SY 本当に。長所は短所の裏返しっていうのは、結局、いいと言われてるところにいったとしても、マイナスの部分もあるし、どっちにしたって、そういうとこに求めてたらどうしようもないってことなんですね。

中村 そうなんですよ。長所だけ好きになっても、その裏側にある短所も長所とセットだから。もう、そこが好きにならないとだめなくらいの勢いで。その人の優しいところは好きだけど、優柔不断なところは嫌いとか言ってたらさ、じゃあもう、その人じゃないんだよね。その人の人格が崩壊しちゃう。それは、こっちの都合なわけよ。こういう時はきっぱりして欲しいけど、こういう時は優しくしてほしいとかさ、それは男が女に対しても、女が男に対しても勝手な要求というか、ご都合であって、こうあって欲しいんだったら、その裏にある短所も受け入れなきゃいけないし。なんならそこも可愛いとか思えるくらいの器の大きさを持たないとな、みたいな。

SY はい。忘れないようにします。本当にありがとうございました。


撮影/深山徳幸 撮影協力/シューパレード

中村うさぎ

小説家・エッセイスト。OL、コピーライターを経て作家へと転身。ベストセラーとなったデビュー作『ゴクドーくん漫遊記』を皮切りに活躍を続ける。その後、自身の実体験を赤裸々に綴ったエッセイがヒット。『女という病』『私という病』『狂人失格』『セックス放浪記』『プロポーズはいらない』など多数の人気著書を手がける。

中村うさぎオフィシャルサイト
https://nakamurausagi.com

中村うさぎオフィシャルメールマガジン
「中村うさぎの死ぬまでに伝えたい話」
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