引っ張るのではなく、みなさんに甘えながらやっていく。
でも甘えたぶん、全力でお返しします。
岡田将生さん最新出演映画『アングリースクワッド』のサブタイトルは、「公務員と7人の詐欺師」。なんだそれ?な文言にまず興味を引かれますが、その監督が、大ヒット映画『カメラを止めるな!』の上田慎一郎氏、さらに岡田さんと共に詐欺をはたらくバディが名優・内野聖陽さんとあれば、いやがうえにも期待が高まります。
こんな期待を、岡田さんはどう背負ってきたか、そして見どころはどんなところにあるのでしょうか。
台本とじっくり向き合い、飽きるまで何度も読む
──公務員役の内野聖陽さんと詐欺師役の岡田さんという組み合わせが、魅力的なこの映画。岡田さんは、役者としてのバディ、内野さんをどう見ていたのでしょう。
やっぱり…、ベテランとしての圧はすごいものがありました(笑)。ただ役柄的に自分自身は、すべてサラリと受け流して自分のペースでお芝居をすると決めていたので、その対比は、見て感じていただけると思います。
僕はそもそも、主演であってもぐいぐい周囲を引っ張っるタイプではないので、みなさんに甘えながらやっていく。甘えさせていただく分、僕も全力でお返ししようと決めています。今回はどっしり真ん中で立って引っ張ってくださった内野さんのお陰で、僕を含めみんな自由に演じることができました。
▲映画『アングリースクワッド』公務員と7人の詐欺師/「脱税王から10億円を納税させる!」こんなミッションを、公務員と詐欺師がともに成し遂げるために、騙し合い、奪い合いの壮大なドラマが繰り広げられる! 岡田さんは、詐欺グループのリーダー・氷室マコトを演じている。
──その中で、主人公・氷室マコトをつくりあげるために岡田さんがこだわったところは、どこでしょう?
氷室の見た目は、いちばんこだわった点です。わかりやすいところでは、ファッションや持ち物など、ひとつひとつ気を配りました。彼の車もアイディアを出させていただいて。原作(韓国ドラマ『元カレは天才詐欺師 ~38師機動隊~』)も拝見しましたが、僕なりの氷室の「見せ方」を考えて、外側から人物をつくっていったという感じです。
内面でいえば、大胆な詐欺師でありながら、「どこか悲しいものを抱えた」人物だと僕は解釈していました。それをわかりやすく見せるわけではないけれど、奥深くにある人間性として、僕の中に常においておきました。
それを役作りというのかはわからないけれど、自分自身は台本を読んでいるうちに気づくことが多く、撮影でそれを実践していく、というのがやり方です。こうして時間をかけて役に必要なことをじっくり考えられるのは、映画づくりのいいところ。台本と向き合い、飽きるまで何度も読む。そして必要なことをリストアップして、ひとつずつクリアしていく。アクションが必要な映画なら体づくりから始めるように、今回なら服など身につけるものを考えることから始めて。それはとても楽しい作業でした。
確かにシンプルなシャツやスニーカー、部屋のインテリアなど、さりげなくスタイリッシュ。この氷室「らしさ」をつくっている要素も、映画では要チェックです。
内野聖陽さんの眼差し、お芝居が、
グサっと刺さって逃げ出したくなるほど
──ハラハラさせられる詐欺の大プロジェクトはもちろん、岡田さんが内野さんとのシーンで見てほしいのは、意外にも違うところにあるのだとか。
「熊沢さん(内野さんが演じた役)の家で一緒にご飯を食べているところ」がものすごく記憶に残っていて。 静かながら、熊沢さんが氷室の人物像に近づく意味で、大事なシーンでした。みんなで何度もアイデアを出し合い丁寧に演じられたことで、心を通わせることにもつながって。そのときの内野さんの眼差し、そしてお芝居がグサっと刺さり、逃げ出したくなるほどでした。あれは、忘れられません。
──7人の詐欺師だけでなく、たくさんの出演者が入り乱れるなか、素敵な接点もあったとか。
上川周作くんとは(この撮影のあと)朝ドラ『虎に翼』で義理の兄弟になりましたし、森川葵さんにはサイコロをカップの中で振って積み上げる「ダイススタッキング」を教えてもらいました。上川くんは、この撮影の最中に朝ドラ出演がわかって、ちょっと緊張した様子だったので、「本当の家族のようになれる素敵な経験だから、心配することはひとつもないよ」と話しました。
小澤征悦さんはとにかく明るくて(笑)。現場がゆきづまったときには空気を変えてくださり、積極的に意見を言ってくれたり。ほんとうに助けられました。
そして、とにかくかっこいい女性陣からはいい刺激をもらったり。みんなすごくチャーミングだけど「かっこいい」んです。
──では、最後にこの作品の見どころをお聞かせください。
僕が演じた詐欺師の氷室は、本当のことを言えばひとりで生きていけるし詐欺もやっていける人間です。それが、わざわざ公務員の熊沢(内野さん)と組むということは、熊沢に人間的な魅力を感じているということ。互いにそれをわかったうえで、頼ったり、騙したり騙されたり…。
ストーリーの展開はもちろん目が離せないですけど、根底にある人間関係にも目を向けてもらえたら、さらに楽しめると思います。
──さて、サブタイトルにある「7人」とは? 予想するだけムダ(!)な想定外の展開と、「おっ!」と声を上げそうになる秀逸の結末は、ぜひ劇場で!
>岡田さんによる「30代の働き方」、そして同世代女性へのメッセージは11月17日公開の<後編>でご覧ください。
Profile
岡田将生(おかだ・まさき)
1989年8月15日生まれ、東京都出身。2006 年デビュー。近年の主な出演作に、NHK連続テレビ小説『なつぞら』(2019年)『虎に翼』(2024年)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年関西テレビ系)、『ザ・トラベルナース」(2022年テレビ朝日系)、『1122 いいふうふ』(2024年prime video)など。映画には『ドライブ・マイ・カー』(2021年)、『1 秒先の彼』(2023年)、『ゆとりですがなにか インターナショナル』(2023年)、『ゴールド・ボーイ』(2024年)、『ラストマイル』(公開中)など。現在ドラマ『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)に出演中。
公式Instagram:masaki_okada.official
映画『アングリースクワッド』公務員と7人の詐欺師
内野聖陽
岡田将生
川栄李奈 森川葵 後藤剛範 上川周作 鈴木聖奈 / 真矢ミキ
皆川猿時 神野三鈴 吹越満 / 小澤征悦
監督:上田慎一郎 脚本:上田慎一郎 岩下悠子
原作:「Squad38(38 사기동대)」邦題「元カレは天才詐欺師 ~38 師機動隊~」
©STUDIO DRAGON CORPORATION created by Han Jung-Hoon distributed by CJ ENM Co., Ltd
監督:上田慎一郎 脚本:上田慎一郎 岩下悠子
https://angrysquad.jp
11月22日(金)より全国公開
©2024 アングリースクワッド製作委員会
カーディガン・シャツ・パンツ(ヒューベント) ネクタイ(エンジニアードガーメンツ) シューズ(パラブーツ)
撮影/天日恵美子 スタイリスト/小林麗子(dot inc.)ヘア&メイク/大石祐介(DerGLANZ) 取材・文/南 ゆかり