【働く私にMusik】Newアルバムに込められた想いと渋谷すばるさんのこれまでとこれから〈DJ・サッシャがナビゲート〉
Guest Musician:渋谷すばる
1981年、大阪府生まれ。15歳から芸能活動をスタートし、2004年からはアイドルグループのメインボーカルとして活動。2019年に、ソロアーティストとして再デビュー。現在は、シンガーソングライターとして幅広く活躍している。
──渋谷すばるさんの軌跡──
1996年—芸能活動をスタート
2004年—グループとしてCDデビュー
2015年—グループ活動と並行しながらソロデビュー
2018年—グループを脱退、事務所を退所
2019年—アルバム『二歳』でソロアーティストとして再デビュー
2024年—アルバム『Lov U』をリリース予定
NEWアルバム『Lov U』をひもとくKEYWORDS!
THANKS
サッシャさん(以下、サ):NEWアルバム『Lov U』はどんな作品ですか? 新たなレコード会社と契約して、はじめてのリリースでもありますね。
渋谷さん(以下、渋):ありがたい出会いがあって、また新しいタイミングを迎えられて。長いこと活動してこれたのは、ずっと応援してくださるファンの皆さんがいてくれたから。とにかく皆さんに楽しんでほしい、喜んでほしい…そんな感謝を込めて12曲のラブソングを歌いました。
サ:渋谷さんのポップセンスもパンクも詰め込んだ、幅が広くてバランスのいい12曲だなと。
渋:いろんなクリエイターの方につくっていただきました。ひとりではたどりつけない、いろんな表現ができて面白かったですし、それをまた皆さんに楽しんでもらいたいなぁと。
CHALLENGE
渋:今回、楽曲もアートワークも、僕からリクエストしたことってほとんどないんですよ。
サ:渋谷さんって、しっかりとしたこだわりを持たれているイメージだから意外! あえてクリエイターの皆さんにお任せされたんですか?
渋:いただいたものにどう応えられるかに徹したくて、「渋谷すばるで好きに遊んでください」という感じでした。今までと違う自分が出てきたりして、すごくよかったと思います。
サ:いろいろな発見がありました?
渋:発見もですけど、挑戦が多かったですね。今まで歌ってこなかったボーカルのニュアンスとか。リード曲の『Lov U』も挑戦度が高くて。「歌いこなせるか?」って瞬間もありましたけど、頑張ってトライしてよかったです。
DEEP
サ:いろいろなクリエイターの方に新しい自分を引き出してもらった。そんな作品なんですね。
渋:たくさん会話して、コミュニケーションをとって。それが、このアルバムの大きな部分になっていると思います。僕ではない人が、こんなにも僕を表現できるのかと驚きました。
サ:特に印象深い曲を挙げるとしたら?
渋:『人間讃歌』ですね。作詞作曲をしてくださったmiccaさんとは、なかなか人に話したくないようなことまでしゃべっていて、自分の深い部分が出ているなって。この曲を歌うときは、感情的になる自分を抑えないと…という感覚になるんです。なんだか言葉にできないですね。
サ:そういう曲に出合えるって、貴重ですよね。11月から始まるツアーでもぜひ聴きたい!
渋谷さんのこれまでとこれからをインタビュー!
◆テーマ1:自分への挑戦
サ:渋谷さんにとって、20代後半から30代ってどんな時期でした? 30代前半にはグループ活動と並行して、ソロ活動を始められましたよね。
渋:いちばんエネルギッシュな時期でしたね。寝てなかろうが、気持ちでどこまでもいけるみたいな。でも、若いころからグループで活動をしていたこともあって、ひとりでどこまで何ができるんやろう…という興味を持ち始めた時期でもあると思います。30代に入ったころのことだったかなぁ。
サ:グループはメンバー同士で助け合いながら活動していく。だからこそ、ひとりの表現者としての意識も高まっていったんですね。
渋:自分というものをちゃんと知りたくなってきた…というか。若いころは、そこまで自分のことを考えずにいたけど、自分ってどうなんやろうなって試したくもなって。
サ:そんな気持ちがあってのソロ活動だったんですね。グループ活動と大きく違った部分とは?
渋:まず、ライブが全然違いましたね。ソロはがっつりバンドとして活動してたので、ライブハウスツアーとかをやっていたんですよ。一方で、グループはドームツアーとか、でかいところでの経験が増えてきていて。
サ:ソロ活動をするなら、やはりそういう場所から始めていきたかったんですか?
渋:というより、逃げ場がないようなところに自分を放り込んでみたかったんですよ。そうじゃないと、自分がどうなのか感じられないんじゃないか、と。グループはどんどんデカくなってくれたらうれしいなぁと思ってました。だけど、その中にライブハウスで音楽やってる奴がいたら、その振り幅を面白く感じてもらえるんじゃないかなぁ…って。
サ:そうして、グループから独立してソロアーティストとしての道を歩み始めた。一生懸命に活動している場所から離れる決断をすることは、難しくなかったですか?
渋:本当にやりたいことって、どうしようもできないですから。絶対に止められないし、止まらない。頭で考えて止めれるんやったら、そこまでのもんやと思うんです。じゃなかったら、こんな決断できてないですよ。決断したら、あとは自分の人生なんで、自分で責任持ってやってくだけです。
サ:かっこいいなぁ…! 渋谷さんは、挑戦することが好きなんですね。
渋:うん、そうですね。人と同じことをするのがイヤなんですよ。違うことしたがり…ですね(笑)。
◆テーマ2:Oggi世代で大切なこと
サ:働くOggi世代において大切なことって、渋谷さんはなんだと思います?
渋:う〜ん…。何も考えなくてもいいんじゃないですかね。
サ:先ほど、とにかく元気な時期だったと振り返っていらっしゃいましたもんね。
渋:20代後半から30代にかけては、いちばん忙しい時期だったんですよ。忙しいのが当たり前。だけどその分、本当にいろんなことをやれました。あの時期がなければ、今の僕はないですよ。
サ:そのころに積み重ねた経験が、現在の自分につながっている、と。
渋:やってみたいこと、思い立ったこと、なんでもやっていけばいいと思うんです。それでダメだったら、また違うことをやったらいい。ムダになることなんて、一個もないんやから。経験が多ければ多いほど、後々の自分に深みが出るし、にじみ出てくるものが変わってくるんじゃないかなぁ。何も恐れずに、思うがままに。それでいいんじゃないですかね。若かったですけど、がむしゃらにやってた。僕はそれがよかったなぁと思います。
サ:ひとつひとつ手を抜かず、まっすぐ向き合う。大事なことですね。
渋:これは、仲間がいたからやれたことでもあります。読者の皆さんもひとりじゃないと思うんですよ。まわりの人たちを大切にして、一緒に進んでいってほしいですね。
◆テーマ3:働くうえでのマイルール
サ:そんな渋谷さんが働くうえで心がけているマイルールを教えてください!
渋:難しいですねぇ…〝働かない〟かな?
サ:働くうえで大切なのは、働く意識を持たないこと…究極の答えです!(笑)
渋:働いてしまったら、何も面白くないじゃないですか。どんな感覚でやっても仕事は仕事やねんから、楽しまないと。なんて言いながら、現場に行くまでは、いつも不安で不安で、大丈夫かな…って思ってますけど(苦笑)。
サ:渋谷さんでもそう感じられるんですね。
渋:不安はあるけど、楽しいとこ、いいとこもたくさん知ってるので。読者の皆さんにも仕事の楽しいとこを広げていってほしいですね。
サ:仕事をしていて、どんなときがいちばん楽しいですか?
渋:たとえば今日のこの取材なら、この場にいる皆さんがいい感じのリアクションをしてくれたときですね。この場所が楽しくないと、読者の方に届けるアウトプットが面白いものにならないと思うから。いいものって、それをつくる人がだれより楽しんでるんですよね。すごく大事なことやと思います。
サ:自分が楽しまないと、いいものはつくれないし、届けられない。それはどんな仕事も同じですよね。楽しんでもらいたい、喜んでもらいたい…そんな気持ちでつくられたアルバム『Lov U』にも通じるところがありそう!
【Information】NEWアルバム『Lov U』10月16日(水)リリース!
カナダ在住の作詞・作曲家miccaなど多彩なクリエイターがラブソングを提供。ストレートな歌声とポップなサウンドが重なる『Lov U』、過去と未来を描いた自作曲『First Song』など全12曲を収録。[通常盤]¥3,300(トイズファクトリー)
◆サッシャさんが語る! 「インタビュー後」談話もチェック!
サッシャさんがお届けする“あとがき”ならぬ“あと語り”コーナー。サッシャさんの肉声によるインタビュー後コメントはこちら!
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[渋谷さん分]シャツ¥36,300(クルニ〈クルニ フラッグシップ ストア〉) その他/スタイリスト私物
[サッシャさん分]ジャケット¥693,000・チーフ¥25,300(イザイア ナポリ 東京ミッドタウン〈イザイア〉) その他/スタイリスト私物
2024年Oggi11月号「働く私にMusik」より
撮影/嶌原佑矢(UM) スタイリスト/渕上カン(渋谷さん分)、久保コウヘイ(サッシャさん分) ヘア&メイク/吉田太郎(W/渋谷さん分)、塩田勝樹(Sui/サッシャさん分) 構成/旧井菜月
再構成/Oggi.jp編集部