音楽にしかない力で芝居を表現できるのが、ミュージカルの魅力です
──小関さんは、ドラマや映画、もしくは一般的な舞台（ストレートプレイ）と、多方面で活躍されていますが、ミュージカルとのいちばんの違いはなんですか？
物語を、歌で運ぶというのは大きな違いです。これまで何度かミュージカルには出演したことがありますが、ストレートプレイにはない、歌がもつ力というのがあると思っていて。音楽にしか表現できない、観客の琴線に触れる要素があると思うんです。メロディーやオーケストラに、うんと助けられる部分というのは、これまでもけっこう感じていて。ストレートプレイにはストレートプレイのよさがあって、ミュージカルでは、音楽にしかないパワーを借りて、補足してる実感がすごくあります
──側から見ると、ミュージカルって、セリフも歌もダンスもあって、一度にしなくてはならないことが多いなっていう印象があるんですけど、そこは混乱しないで、すべて同時に表現している感覚なのでしょうか？
それぞれの要素が、助け合ってくれる感じですね。確かに覚えることは多いのですが、いざ本番となると、セリフだけじゃないことで助かるときが多いです。小学4年生のときからミュージカルばかりで、ストレートプレイは2本しか経験したことがないので、違和感は感じないですね。
──ちなみに、小関さんは覚えるのは早いほうですか？
あんまり早くないですね。
──……！それは大変！体力は大丈夫なんでしょうか？
体力は、すごいあるんです。
違うジャンルの仕事をすることが、思考を切り替えてくれるんです
──（笑）。ところで小関さんは、テレビのバラエティ番組など、芝居とは別ジャンルのお仕事を並行されることもあると思いますが、自分の中での切り替えって、どうされていますか。
もともとスイッチングというのが、自分の中になくて。勝手に切り替わるものになっています。作品の中ではお芝居脳になり、次の現場ではバラエティ脳になって、次の現場では歌って音楽脳になって、次の現場ではカメラを持って（編集部注：小関さんは写真を撮る活動もしている）、家に帰るとそれを整理する脳になるという。それぞれが違う思考になるので、解きほぐしてくれるんですね。全部の仕事が、お互い同士をリフレッシュしてくれています。
──逆に、視界が狭くならないというか。
そうです！そうです！
──いろんなお仕事をすることが、向いているんですね。
以前は、思考が散漫になってしまうこともあったのですが、それはなくなってきたので。純粋にジャンルの違う仕事同士が、助け合ってくれています。
いかに均一のエネルギーで、ひとつの舞台を通せるか。初めて自分のバランスを探しています
──今回のミュージカル『ロミオ＆ジュリエット』は、オーディションを受けたとか。
舞台の出演が続いている中で、ちょうどシェイクスピア作品に興味をもったタイミングだったんです。当時共演していた方から、シェイクスピア作品の話を聞いているうちに、すごく興味がわいて。ある種運命的なものを感じ、このタイミングは逃したくないなと思いました。
──実際、参加してみていかがですか？
クラシックベースな楽曲がある作品に出るのも初めてですし、僕自身は17曲歌うんですが、その数も初めてなんです。毎日の消費カロリーが、ものすごくあります。稽古場では、大体朝の11時から夜の8時まで歌い続けているので、家に帰ったら、とにかく氷をなめて、のどのケアをしています。以前は、家でも自分なりに練習していたのですが、今は声帯をもたせる段階になりました。いかに力を使いすぎないか、第1幕から第２幕の終わりまで、均一なエネルギーで芝居をもっていけるかという時期なので、家に帰ったらもうケアばっかりです（笑）。
──ほかにも体力面や食事面で、気をつけていることってありますか？
覚えることがとにかく多いので、仮眠を挟んで、体力を回復しながら、ガッと集中するっていうのを心がけています。寝ている間とか、目をつぶっている間に情報が整理されて、また違う視点に立ち戻ることを、毎日大事にしたいなと思っています。
──なるほど。
食事は、舞台に入ると、とにかく顔がコケちゃうくらいエネルギーを消耗してしまうので、意識して食べるっていうのは、ここ数年実践しています。それまでは食べることが面倒くさかったり、食べる時間がもったいないと思っていたのですが、改めてエネルギー源がないと、思考が止まっちゃうなと。炭水化物とたんぱく質、ビタミンを摂るようにしています。
──毎日、絶対に食べているものはありますか？
米かな、白米。あとプロテインは必ず摂取していますね。ナッツもけっこう食べる比率が高いです。
──ほかにも、日々ルーティーンにされていることはなんでしょう？
最近は、寝る前と朝起きてから、マッサージオイルを体に塗りたくるっていうのが。
──夜も朝もですか!？それはすごい。
寝る直前は、やっぱり1日の疲れも残っているし。朝も起きたら、寝ているときの緊張があるので、ニュートラルに戻してから、稽古に行きたいなと思います。特に四肢と肩と首は念入りにマッサージしてますね。
──マッサージオイルは、お気に入りの香りってありますか？
これまでマッサージオイルって、あまり使うことがなかったんですが、共演者の方にいただいた柑橘系の香りを、今は使っています。香りでいったら、ラベンダーとかリラックス系も好きです。
──毎日いろんなことを意識して、生活されているんですね。
17曲を歌うことが、僕にとっては大きくて。歌いきる、キープする、すべてを外に出しきるというのが、ひとつの課題でもあるんです。自分はこうやったらオーバーヒートしちゃうんだ、こうやったらうまくいくんだ、みたいな。特に体のことや、食べ物などを気にし始めたのがこの2年くらいなので、これまで培ったミュージカルや舞台での経験もかけ合わせて、自分のベストなバランスを今、探っています。
【INFORMATION】
ミュージカル『ロミオ＆ジュリエット』
原作：ウィリアム・シェイクスピア
作 ：ジェラール・プレスギュルヴィック
潤色・演出：小池修一郎(宝塚歌劇団)
出演：小関裕太/岡宮来夢、吉柳咲良/奥田いろは(乃木坂46) ほか
【東京公演】 2024年5月16日(木)〜6月10日（月）新国立劇場 中劇場
【愛知公演】2024 年 6 月 22 日(土)・6 月 23 日(日) 刈谷市総合文化センター
【大阪公演】2024 年 7 月 3 日(水)〜7 月 15 日(月・祝) 梅田芸術劇場メインホール
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撮影／高木亜麗 スタイリスト／能城匠 ヘア＆メイク／Emiy（エミー） 構成／湯口かおり
