【Oggiアワード2022】を分析! 読者の消費行動を読み解くと…!?
働くOggi読者が選んだ「私のイチ推し!」な“モノ・コト・サービス”を発表するOggiアワード2022。
2019年末にスタートし、その大部分がコロナ禍とともにあったOggi「アワード」。モノやサービス選びの変遷もコロナ禍の状況と密接に結びついています。2022年はどんな年だった? そして2023年はどんなことが流行る…? プロに分析していただきました!
“非日常感”を求めて外出し始めた一年
自分が心地いい時間&空間づくりがますます重視されるように
教えてくださったのは…
未来調達研究所 調達コンサルタント
坂口孝則(さかぐち・たかのり)さん
電機メーカー、自動車メーカーを経て、原価・コスト分野専門のコンサルタントとして独立。「スッキリ」(日本テレビ)などにコメンテーターとして出演。
電通 未来事業創研・DENTSU DESIRE DESIGN主任研究員
小野江理子(おの・えりこ)さん
女性向け商品のブランディング・コミュニケーション戦略、グローバル領域のナレッジ開発など経験。現在は’35~’50年のマクロトレンドや生活者インサイトの研究に従事。
◆「自分と向き合った2年間」を経て、本来の価値観に沿ってモノを選ぶ時代へシフト
コロナ禍が3年目に突入し、共存する術を探りながら過ごした2022年。5月には3年ぶりに行動制限がないゴールデンウィークを迎え、人々の消費も“巣ごもり”から、一気に“外出”に向かったと、ふたりは分析。
「私たちの調査でも、今年は外食・レジャー・旅行といった体験型消費に心が動いた、という人が急増しました。昨年末に話題になった“リベンジ消費”で、高級時計や車、家電といったモノを買う人がほとんどだったのとは対照的です。とはいえ『海外旅行に行くのは、まだちょっとハードルが高い』と考える人も多く、近場で旅行気分を味わえることを中心に、ラグジュアリーホテルでの“ヌン活”などが人気を集めたのでしょう」(小野さん)
「キャンプやサウナの流行も、刺激が少ない巣ごもり生活が続いていた反動では。昨年以前から人気でしたが、移動も含め、空気の違いや熱さといった身体的な実感を求める人が増え、定着した側面があると思います」(坂口さん)
◆自分にとって心地がいいモノ・コトを見極める
一方、これまで自分に向き合う時間が長かったことで、“自分にとって心地がいいモノ・コト”を見極める機運も高まっているとか。
「以前は『友達に誘われたら、とりあえず行ってみる』『コレを持っていたほうがかっこいい』といった理由でお金を使っている人も少なくなかったのではないでしょうか。でも今は、『自分にとって何が大切か』という価値観で行動する人が増えたように感じます。僕自身も以前は羽振りのよさそうな高級な腕時計を使っていましたが、それより健康管理のほうが大事だと考えるようになって、スマートウォッチに替えました(笑)」(坂口さん)
「特に今回のランキングからは、“生活の質”を上げることに注力している様子が見受けられます。メンタルケアにも気を使っていて、『Yakult1000』など睡眠の質を上げるモノが話題になったのもその表れ。
テレワークを続行している人も多く、ガジェットや生活家電も、単純にスペックが高いモデルではなく、見た目がスタイリッシュで自分のテンションが上がるものを選んでいる印象です。さらに、求める機能性を満たすアイテムを厳選しているのが、賢明なOggi読者らしいですね。
ちなみにマイボトルを持ち歩くのは、おしゃれな家電を部屋に置くのと似た感覚で、環境によいアクションを取ることで、無意識にテンションが上がるのではないかと推測しています」(小野さん)
「また、『アサヒ生ビール(通称マルエフ)』が売れたのにも納得! コロナ禍だけでなくウクライナ情勢、台湾有事の可能性、円安に物価の高騰…etc. 漠然とした不安が高まる中で『安全に暮らしたい』という欲求が高まり、マルエフのようなホッとひと息つける味が受けたんだと思います」(坂口さん)
「平穏無事に楽しみたいという、今の消費者が求める気分に寄り添った結果でしょうね」(小野さん)
◆2023年はどんな年になる?
2023年、コロナ禍が収束に向かうとしても、以前とまったく同じ生活や消費行動には戻らないだろう、というのがふたりの見立て。
「コロナ禍前まで常識だと思っていたことがそうではなくなって、大げさに言えば『なんのために生きているのか』という基準で、モノやコトを選ぶように。その傾向はこれからも続くでしょう」(坂口さん)
「ひとりの人間として、自分の人生や時間を充実させるための消費は、もはやトレンドではなく、今後も定着していくと思います」(小野さん)
これからが本当の意味で“ニューノーマル”な時代の始まりかもしれない。
2023年のトレンドキーワードは?
◆坂口さん:「換え活」
人は毎月使えるお金のうち6割程度を、家賃や保険、サブスクなどに、無意識のうちに使い続けていると言われています。でも今後は“手つかず”だったその6割の内容も、「自分にフィットしているか」精査して、よりしっくりくるモノやサービスに“換え”ていく傾向が進むのでは。ちなみに、自分に本当に合うものを選ぶためには、各種サブスクサービスを利用して、実際に試してみるのが賢いと思います。
◆小野さん:「居独(きょどく)」
“孤独”ではなく、ひとりで“居る”ことをポジティブに楽しむ人が増えるでしょう。他人の評価やトレンドを気にすることなく、日々の料理でもボディケアでも瞑想でも、自分と向き合うことでリラックスしたい、好きなことに没頭したいという人が多数派に。また、先行き不透明な世の中で「自己研鑽したい!」という意識が働き、仕事で必要な知識やスキルを学ぶ“リスキリング”にも注目が集まっています。
2023年Oggi1月号「Oggiアワード2022、発表!」より
ロゴデザイン/Permanent Yellow Orange 構成/スタッフ・オン、大椙麻未
再構成/Oggi.jp編集部
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