「さりげないのにおしゃれ」を叶える、兵藤スタイル4つのルール
1_ベーシックアイテムでつくる「ちょっと新鮮かも」の感覚
Oggiで提案するスタイリングは、「リアルであること」を忘れないようにしています。
読者のみなさんにとって、おしゃれって毎日の暮らしの中でこそ輝くもの。ベーシックなアイテム同士で、「あ、なんだかちょっと新鮮かも」と思えるバランスを狙っています。
電車の中にいたら、ふと目で追ってしまうような、さりげなくおしゃれな女性が理想。
“映える”服は最終手段にとっておいて、まずはふつうの服の組み合わせで、いかに今の感覚にキュンとくる「新しさ」をつくれるか。ちょっとしたさじ加減のバランスを、いつも考えています。
「ステンカラーコートにカーゴパンツ、レザーのオックスフォードシューズ。トラッドな着こなしも、インにシアーブラウスを投入するだけで、さりげない色気が加わって。大げさなことじゃなくて、ほんの少しの目新しさが心地いいと思うんです」
コート¥49,500(アストラット 新宿店〈アストラット〉) ブラウス¥22,000(ウィム ガゼット 丸の内店〈ウィム ガゼット〉) パンツ¥49,500(エイトン青山〈エイトン〉) バッグ¥338,800(トッズ・ジャパン〈トッズ〉) 靴¥126,500(J.M. WESTON 青山店〈J.M. WESTON〉) ベルト[メンズ商品]¥22,000(BETA Inc.〈beta post〉) バッグの中に入れたスカーフ¥31,900(DES PRÉS〈ANNEE〉) ピアス¥38,500(フィルグ ショールーム〈サピア バハール〉) インナー/スタイリスト私物
2_「サイズ感」にとことんこだわる
ベーシックな服こそ、「サイズ感」でセンスのよしあしが決まる、と思っています。
単に流行りのオーバーサイズを選べばいい、ということではなくて、自分の体がおしゃれに見えるか、バランスが心地いいか、服と対話するようにじっくり向き合うことが大事なのかな、と。シャツなら、今は袖をまくらないのが気分だから、親指のつけ根が隠れるまで袖丈があるかどうか。
誌面のコーディネートを組むときは、まずは必ず自分で着てみてバランスを確認。撮影時のモデルが着たところを想像して、サイズ感をシビアにチェックします。
「パリッとしたハリ感のある端正なシャツを、あえて裾アウトで、袖もまくらずにすとんと着たい。ならば袖丈と身幅のバランスは? 合わせるスカートのシルエットと着丈は? シンプルなワンツーコーデは、全身のバランス感覚を磨く絶好の練習になります」
シャツ¥16,500(MIESROHE) 肩に掛けたニット¥34,100(ロンハーマン〈ロンハーマン〉) スカート¥39,600(オーラリー) 靴¥16,500(シシ〈シシ〉) チョーカー¥15,400(アマン〈アンセム フォー ザ センセズ〉) リング[左手]¥38,500(RHC ロンハーマン〈サンズサンズ〉) リング[右手]¥13,200(エレメントルール カスタマーサービス〈パティエラ〉)
3_「かわいげ」がある人が魅力的
仕事ができるかっこいい女性が、ときどきボソッと面白いことをつぶやく瞬間はとてつもなくチャーミング! おしゃれも同じ。細部まで完璧すぎると面白みに欠けるので、ジャケットのインにロゴTを合わせるような遊び心、いい大人なのにハートのリングをしちゃうような「かわいげ」を大事にしたい。
ちょっとしたアンバランスさや意外性が、その人だけのスタイルや個性につながっていくんだと思います。年齢を重ねるごとに、“味のある”スタイリングができるようになりたいな、と思っています。
「マニッシュなジャケットがベースなら、かわいげが効きやすい。腕が鳴ります(笑)。あえてのバックパックやカチューシャでハズしを」
ジャケット¥66,000(オーラリー) “プレジャーズ”のTシャツ¥8,800・“ローレンマヌージアン”のパンツ¥60,500(アパルトモン 青山店) 腰に巻いたカーディガン¥10,890(ミラ オーウェン ルミネ新宿2店〈ミラ オーウェン〉) バッグ¥22,000(メイデン・カンパニー〈バトルレイク アウトドアーズ〉) 靴¥53,900(アマン〈ペリーコ〉) カチューシャ¥15,400(アレクサンドル ドゥ パリ GINZA SIX店〈アレクサンドル ドゥ パリ〉) ピアス¥14,850(ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム〈ブリー レオン〉) ネックレス¥19,800(GALERIE VIE 丸の内店〈MOUNIR〉) リング¥50,600(フィルグ ショールーム〈ル シック ラディカル〉)
4_時代を映す「程よいゆるさ」
「今っぽさ」とは、時代の空気感に合っているということ。今なら肩の力の抜けたリラックス感、程よいゆるさをスタイリングにどう取り入れるか考えます。
ワイドパンツにチュニック丈のニットを合わせて、すとんとアウトにしてみたり、服がきれいすぎるかなと思ったら、小物でハズしてみたり。そういうちょっと新しいバランスを試すときは、鏡の前で、歩く、ポケットに手を入れる、腕を組む… など自分でいろいろ動いてみます。
服は着る人あって完成するものだから、自分がよくやる仕草や動きの中で素敵に見えるかどうかも、ぜひチェックして。
「ワイドパンツにはコンパクトニット、という思い込みをいったん置いて、チュニック丈を合わせてみたら。想像以上に今の気分にフィット。時代は刻々と進化しているから、少し前のバランスを一度くずしにいく感覚も大事です」
ニット¥80,300(アダム エ ロペ〈エクストリーム カシミア〉) パンツ¥27,500(GALERIE VIE 丸の内店〈GALERIE VIE〉) バッグ¥24,200(フラッパーズ〈キリムアーツ〉) 靴¥19,800(MIKIRI〈ディアナドット〉) 帽子¥22,000(ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム〈ラック オブ カラー〉) “ミズキ”のネックレス[パール×ゴールド]¥132,000・[グレーパール/短]¥110,000・“ハルポ”のネックレス[シルバービーズ/長]¥53,900(ロンハーマン) ネックレス[クロス付き]¥94,600(RHC ロンハーマン〈サンズサンズ〉)
●この特集で使用した商品の価格はすべて、税込価格です。
2022年Oggi11月号「スタイリスト・兵藤千尋さんの『さりげないのにおしゃれ』な理由を知りたい」より
撮影/倉本侑磨(Pygmy Company) スタイリスト/兵藤千尋 ヘア&メイク/木部明美(PEACE MONKEY) モデル/滝沢カレン(Oggi専属) 構成/三尋木奈保
再構成/Oggi.jp編集部
スタイリスト 兵藤千尋
スタイリスト歴13年目。服飾系専門学校卒業後、雑誌『CanCam』を経て、現在は『Oggi』を中心に、多方面のメディアで活躍中。中学校の卒業アルバムに「スタイリストになりたい」と書いていたという、ブレない美意識の持ち主。仕事のポリシーは、「服のよさを最大限生かすこと。自分の気持ちに噓をつかない」