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LIFESTYLE

2022.07.23

「沖縄にある問題について考え続けたい」女優・二階堂ふみが語る故郷への想い

那覇市出身の女優・二階堂ふみさんが語る「複雑な沖縄の在り方」とは。ファッションカルチャー誌『Maybe!』Vol.13“ビッグラブ”特集内の「愛で戦争を止めたい『日本で最も戦争に近い』沖縄の声を聞く」より、本文の一部を抜粋して紹介します。

女優・二階堂ふみさんが思いを馳せる、故郷「沖縄」

女優としてはもちろん写真家として作品を発表するなど、マルチに活躍する二階堂ふみ(27)。そんな彼女のルーツが「沖縄」にあることは意外と知られていないのではないだろうか。1994年に那覇市で生まれた二階堂は、12歳の時に東京の芸能事務所からスカウトされて芸能界デビュー。

6月29日発売の雑誌『Maybe!』のインタビューでは、「いつも沖縄に想いを寄せています」とその胸の内を明かしている。沖縄は今年5月15日に本土復帰50周年を迎えたが、いまなお現地では様々な問題が燻っている。彼女はいま故郷について、どんな想いを馳せているのか――。

沖縄は“のんびりした島”ではない

「南国」や「バカンス」といった観光地としてのイメージが強い沖縄。今年1月に「田舎暮らしの本web」が発表した「2022版『移住したい県』ランキング」では4位にランクインしているが、幼少期から沖縄で生活していた二階堂はこう語る。

「私が住んでいたのは、那覇のど真ん中で、国際通りに近い壺屋という地域です。沖縄は好きなので頻繁に帰りたいなとは思うんですけど、いまのところは住みたいかどうかはわからないですね。暑いですし(笑)。『いつか沖縄に住んでみたい』という県外の方には、『沖縄って素敵なところだけど大変なところもある』とお伝えしたいです。いろんな矛盾があるので、“のんびりした島”みたいなイメージで住むと大変かなと。『日本だけど日本じゃない』。その複雑さって、住んでみないとわからない部分もある気がするんです」

厳しくも聞こえるが、こう話す背景にはいまも沖縄が抱える在日米軍基地の問題や戦争体験をした人と身近に接してきた経験がある。

「基地問題や沖縄戦のことはもちろんですが、沖縄に生まれ育った私の知っていることは、県外の人にとって必ずしも当たり前じゃないんですよね。それは那覇で育った私にも同じことが言えて。同じ沖縄でも嘉手納や普天間など基地のある町に住む人たちの気持ちは、本当の意味ではわからない。でも、私の中に“沖縄”があるのもたしかで、決して無関係ではないんです。自分は基地のある町に生まれ育ったわけじゃないけれど、彼らと同じ島に生まれ育った。わからないことも多いけど当事者のことを思いながら、同じ沖縄にルーツがある人として、沖縄にある問題について考え続けたい」

“当事者不在”の議論への違和感

二階堂は沖縄出身だが、父は東京出身だ。一方で母は沖縄で生まれ育った生粋の“沖縄人”。ともに沖縄で生活する家族であっても、複雑な沖縄の在り方については考え方に違いがあったという。

「東京出身の父と沖縄で生まれ育った母は、米軍基地について意見が正反対でした。人によって意見が違うということを家庭で学べたのは良かったのかもしれません。基地で経済的に潤った方もいる一方で、基地があることで傷ついている方もたくさんいる。どちらも真実なんですよね。ただ、気になるのは、沖縄の基地問題がいつも“当事者不在”のままに話が進んでいる気がすることです。『日本にも米軍基地は必要だ』という意見をSNSで目にすると、『あなたが住んでいるのは沖縄なの?』と思ってしまう。そこに住んでいる方たちの気持ちを忘れていない? と問いかけたくなります。

意見や思想って片方に寄ったほうが楽なこともありますが、私は、自分の感じ方や考え方を固定しないで、知識や体験を常にアップデートしたい。柔軟に変化できる余地を残しておきたいんです。当事者を無視せず、ちゃんと話ができるような大人でありたい」

日々、東京で女優業に邁進している二階堂だが、いまも心は故郷・沖縄に向けられている。

「沖縄から離れて暮らしていますが、沖縄にずっと想いを寄せている。そのことは沖縄に住む方たちにも伝えられたら嬉しいです」

彼女が言うように、様々な思いが交錯する沖縄の複雑性を理解するのは容易ではない。まずは「観光地」としての沖縄だけでなく、目を背けたくなる問題に対しても当事者意識を持って考えることが解決へ向けての第一歩となるのかもしれない。

【Profile】
にかいどう・ふみ/1994年沖縄県生まれ。12歳の時、那覇の浮島通りにある古着屋「ANKH」でスカウトされる。2009年『ガマの油』でスクリーンデビュー。以降、映画やドラマで活躍している。ヒロインとして出演する舞台『鎌塚氏、羽を伸ばす』は、本多劇場(東京・下北沢)にて2022年7月17日から8月7日まで上演予定。以降、全国ツアーも予定。

撮影/遠藤文香 ヘア&メイク/足立真利子 インタビュー&テキスト/安里和哲 編集/金城小百合(Maybe!編集部) デザイン/金原由佳(Maybe!本誌)

* * *

気になる全文は、『Maybe!』Vol.13特集“ビッグラブ”でチェックしてみてくださいね!
『Maybe!』Vol.13の購入はこちら

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