【目次】
・白虎とは?
・白虎以外の四神獣とは
・四神と麒麟との関係は?
・白虎は縁起がいい? 四神相応とは
・最後に
白虎とは?
NHK大河ドラマ『八重の桜』でも有名になった「白虎隊」。白虎隊は、慶応4年(1868年)の鳥羽伏見の戦い後、軍制をフランス式に改革した会津藩に誕生した4部隊のうちの一つです。
武家の男子で年齢の高い順に、玄武隊(50歳以上)、青龍隊(36歳から49歳)、朱雀隊(18歳から35歳)、白虎隊(16歳から17歳)の四つに分けられました。
白虎、つまりホワイトタイガーはその美しい見た目から縁起の良い生き物として親しまれています。インドではホワイトタイガーは神の使いとされており、「その姿を見た者に幸福をもたらす」と言い伝えられています。中国では、「四神(ししん)」と呼ばれる神獣、青龍・白虎・朱雀・玄武が東西南北の方角を守護し、西の方角を守るのが「白虎(びゃっこ)」とされています。
アジア地域では虎を縁起の良い生き物として扱う国が多いですが、その中でもホワイトタイガーは神聖なもの、幸運をもたらすものとされています。
中国から伝わる四神獣の1つ
「白虎」は中国の神話にある四神獣が由来になっています。
四神は古代中国で誕生し、日本へ伝えられたもので、東は青龍、南は朱雀、西は白虎、北は玄武という神獣がそれぞれ天の四方の方角を守っているといわれています。四神を配した土地は風水では最良の地とされ、邪気を遮断し幸せを呼び込み、健康運もよいといわれます。
また陰陽五行説を基に中央に「麒麟」や「黄龍」を取り入れることもあり、その場合は五神(ごしん、ごじん)あるいは五獣(ごじゅう)と呼んでいます。
京都を守護する四神とは
桓武天皇は794年に、長岡京から平安京へ遷都しました。桓武天皇は遷都にあたって、中国の古典に詳しい学者や高僧、陰陽師らを集めて四神相応の最適な地を探させましたが、平安京こそ東西南北を「四神」が守護する「四神相応の地」だったといいます。
「四神相応の地」とは、四方の方角を司る四神が東西南北を守護している土地のことで、風水でも、良い氣が集まり留まる「最良の土地」を意味します。
一般的に四神相応の地とされているのは、東に清き流れがある(蒼龍)、南が広く開けた湿地帯(朱雀)、西に大きな道が続く(白虎)、北に高くそびえる山がある(玄武)といわれています。平安京では「蒼龍」が賀茂川、「朱雀」巨掠池(おぐらいけ)、「白虎」が山陰道(または山陽)、「玄武」は舟岡山とされています。
こうして四神相応の考えに基づいて平安京が作られ、四神を守護するために東に八坂神社、南には城南宮、西に松尾大社、北に上賀茂神社が造られ、その四神の中心を司るのが平安神宮です。
白虎以外の四神獣とは
中国から日本に伝わった四神獣は、もともとは邪気を払い、よりよい環境を整えるために祀られたもの。東の青龍、南の朱雀、西の白虎、北の玄武の四神獣をそれぞれが司る方角に置くことによって、悪霊を追い払いさまざまな福徳を授けてくれると伝えられています。
東の青龍
東の青龍は、太陽の昇る東方を守ることから、金運を呼び込み商売繁盛をもたらすとされています。また「龍」は龍神とあがめられているように、とてもパワフルなので災いを振り払って成功、勝利をもたらしてくれます。
南の朱雀
南の朱雀は、5色の羽を持ち、火を操る美しい鳥といわれる不死鳥です。その大きな翼で、降りかかる災いや悪霊を追い払い、幸福と家運繁栄をもたらします。また人気運にも関係があるので恋愛が成就するともいわれます。
西の白虎
西の白虎は太陽の沈む西方を守る後門の守護神。睨みを利かせて邪気を遠ざけ、幸せを呼び込むとされています。中国では虎は百獣の王と伝えられ、虎が500年生き抜くと霊力を得て白虎になるとされているので、白虎は特別な神と考えられています。
北の玄武
北の玄武は逆風の盾となって守り、繁栄と長寿をもたらすとされています。玄武は硬い甲羅を持つ亀と、それにまとわりついた蛇が一体となった姿をしていることから、力強く運を切り拓いて繁栄するといわれています。
四神と麒麟との関係は?
四神の起源は古代中国の天文思想で、二十八宿から始まり、さらに七宿ずつに分けた星座が龍・虎・鳳凰・亀の4つの動物の姿に見えたといいます。そこに五行説の五行と方位、色が結びつけられ、中央を守護するものとして黄龍または麒麟を加わり五神(五霊)になりました。
麒麟:土=中央=黄
青龍:木=東=青
白虎:金=西=白
朱雀:火=南=赤
玄武:水=北=黒
麒麟は中国では「仁獣」とも呼ばれ、優れた君主が統治している時代にのみ姿を見せるという平和のシンボルとされています。
白虎は縁起がいい? 四神相応とは
「四神」とは、東西南北それぞれの方位を司る神々のことですが、四神相応は四神が存在するにふさわしい地形のことをいいます。青龍・白虎・朱雀・玄武の四つの神様に対応した地形は、風水では最も良い地形とされています。昔から、環境を整えると良い気が集まり結果として心身が健やかになり、開運に繋がると考えられてきました。
京都は四神相応の地と言われるのは、鴨川や船岡山など四方に該当する地形があり風水に守られているからです。風水では、気の流れや陰陽のバランスや方角などから家の間取りやインテリアを考えますが、陰陽のバランスのとれた土地が「四神相応の地」となるわけです。
そのような土地を探すことが難しい場合でも、四神を祀ることで四神相応の土地と同じような魔除けの効果を得ることもできます。
四神のそれぞれ効果をご紹介します。
青龍(東)
東は太陽が昇ってくる方向なので、「仕事運」「出世運」「発展」を司る方位です。風水で龍を東に置くと発展のネルギーを高めてくれると考えられています。また、外からの活気や情報を取り込む方向ですから、なるべく物を置かない方がいいでしょう。収納家具は、東側には不向きです。
朱雀(南)
南は、太陽の光が一番たくさんはいってくる場所で、大きな翼で災厄をはらい、凶を吉に変えてくれます。平和と幸福をもたらすことから、「家庭運」「恋愛運」アップにつながります。
白虎(西)
白虎が司る西の方向は、金運にとっても影響があります。虎は一日に千里を走ることから、勢いと優れた行動力や強いリーダシップをもたらします。金運、ギャンブル運、商売繁盛、家庭円満、子孫繁栄などに効果があります。
玄武(北)
玄武が司る北は、変わらない地位や真理といったものを象徴しています。おもに健康運、厄除けなどに効果があります。長寿の象徴・亀と厄災をはねのける蛇の霊力で降りかかる病魔をはらい、健康、長寿をもたらしてくれます。
最後に
白虎は天空の西の守護神として、金運を逃がさぬように、にらみをきかせ悪運を退散させ、身を守り安心をもたらすといわれています。また変化や移動を司る神様としても崇められ、白虎の気を宿すと優れた行動力を発揮できると考えられています。月の女神の化身とも伝えられ、子宝、安産の神様という面も持ち合わせている強さと優しさを兼ね備えた四神といえます。
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