等身大なほっこりが支持された『賢い医師生活』シリーズ
◆大学の同期男女5人の医師の人気ドラマが再び
2020年の『賢い医師生活』に続き、2021年6月に、みんなが楽しみにしていた『賢い医師生活2』の放映が始まり、韓国で高視聴率になると同時に、Netflixでも配信されて人気を博しました。
シーズン2は、シーズン1の『賢い医師生活』と、登場人物も設定も同じ。医大の同期男女5人組の、医師としての日常を公私ともに描いていきながら。なにげない日常のなかにキラリと光る瞬間がちりばめられています。
◆アイドルグループのわちゃわちゃを観ているような5人の関係性
学生時代からの、勝手知ったるという軽妙なやり取り。みんな忙しいのに、遊びの時は行くぜーと集合する。いざというときには、お互いを心配しあってサポートしあうという彼ら。男子アイドルグループがわちゃわちゃしてるのを観ていたいのと、近い感覚かもしれません。
それでいて仕事となるとすごく誠実。あるべき医師の姿を見せてくれます。仕事をしている人ならだれでも、琴線にふれる部分がある。医療の最前線で、命と戦っている現場のエピソードも、毎回ぐっときます。彼らの病院にもぐりこんで、日常を観ているみたいなんですよね。
◆トレンドと逆。等身大でほっこり系
5人の言葉が、毎回いいんです。脳神経外科の女性医師チェ・ソンファ(チョン・ミド)が、後輩医師のことをそんなふうに思っていたのねとか。外科医イ・イクジュン(チョ・ジョンソク)は軽い男みたいだけど、こんなに患者家族のことを慮る言葉をかけてあげるなんてと、ギャップにやられたり。やはり人気だったレトロなドラマ『応答せよ』シリーズと同じ、脚本家イ・ウジョンの書くセリフに、胸を打たれます。
韓国ドラマは、世界への配信が当たり前になって、予算をかけた大作が増えています。日常と離れた設定やスケールでヒットを狙っていくトレンドの中、真逆で支持を集めたのが、等身大でほっこり系の、この『賢い医師生活』や『海街チャチャチャ』だと言えるでしょう。
アラサー女子のあるある! な三角関係『ロマンスが必要』シリーズ
◆いいとこついてくる恋愛のディテール
『ロマンスが必要』は、恋愛あるあるのオンパレード。男女の心模様の機微、心理描写がすごくうまいんです。ホントにいいとこついてくる感じ! ずっとつきあってた男に対して、最近何か違うな、と思う瞬間とか。恋愛の駆け引きとか。あるあるわかるわかる! って心の中で叫んじゃいます。さすが女性脚本家です。
◆どっちに行くんだろうとハラハラさせられる三角関係
シーズン1の『ロマンスが必要』は長年つきあっているカップル。男性のほうが映画監督で成功して、女優と浮気して、別れを言い渡されるところから始まります。別れた彼女には、職場の年下男子が接近してきて、そうなると元カレはやきもきしちゃう。
年下男子を演じているチェ・ジニョクが、すごくよかった。ツンとしていながら、ヒロインをさりげなくサポートしたり。ちょっと強引に迫ってみたり。
『ロマンスが必要2』は幼馴染の男女がくっついたり離れたりしながら、別れているんだけど同居している。そこにもうひとりの男性が登場する。シリーズ3作目の『抱きしめたい~ロマンスが必要~』は職場が舞台になって、幼馴染の男子と上司との三角関係になります。
いずれも複数のアラサー女性の恋愛模様、中でも三角関係を描いていく。そして3作とも二番手もいいんです。どっちに行くんだろう!? ってハラハラさせられてしまいます。
◆シリーズ2も3もいいけど、1から観るのがおすすめです
ヒロインたちが、仕事に自分にちゃんとプライドを持っているところも、すごくよかったですね。
シリーズ1を観ると2も3も見たくなっちゃいます。ドラマとしての完成度が高いのは2かもしれないけど、キューンとして私が一番好きなのは3です。でも、1から観ていくのがおすすめです。
同じ脚本家でも、違う作品を書くとなると当たりはずれがあります。しかし、シリーズにすると、良かったテイストや世界観がより深められるんですね。
それにキスがロマンチック。出てくる男優たちが、セクシーなんですよ。キスシーンうまい!
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時間がある年末年始は、シーズンものを観るのにいい機会。「長いものは、普段はなかなかハードルが高いと思いますが。1を観て気に入ったら、ぜひ2、3と観てください」と田代さん。続きが気になって、どんどん沼にハマっちゃう、そんな年末年始もいいですね。
取材・文/新田由紀子
田代親世(たしろ ちかよ)
韓流ナビゲーター。テレビ・雑誌などで、韓流ドラマを紹介している。会員制韓流コミュニティ「韓流ライフナビ」を主宰。YouTubeで「韓ドラ・マスター親世と尚子の感想語り」を配信。
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