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LIFESTYLE

2020.12.02

ジャルジャル 福徳秀介さん初の長編小説『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』制作秘話

2020年は、自身の結婚に続き「キングオブコント2020」で悲願の優勝。YouTubeでは毎日途切れずコントを配信。めまぐるしい毎日の中でついに実現した初の長編小説が、現在ヒット中の福徳秀介さん。約4年にわたる制作期間を振り返ります。

小説執筆はストイックなネタ職人の息抜き?!

――YouTubeチャンネル(ジャルジャルタワー JARUJARU TOWER)は登録者数100万人目前、総再生回数は5億回に届く勢い。賞レースには休むことなく長年挑戦し続け、そのストイックな姿に「ネタ職人」と呼ばれる福徳さん。そんな毎日で、1日も休まず小説を書き続けた原動力は…?

「毎日原稿と向き合っていたのは約2年です。最初は気軽にショートストーリーを書いていたんですが、それが思いのほか長くなって。気づけば12〜13万字になってました。そのときは出版予定があったわけでもなく、何のために書いてるんやろうって、思うこともありましたけど(笑)。

1文字しか書かない日もあれば、調子よく進む日もあったり。朝の仕事前と、仕事の合間の時間を執筆にあてていましたが、そのモチベーションがどこからきていたのか…。自分でも謎です(笑)。きっと、コントを書くのは仕事、小説は息抜き、みたいな感じだからやと思います。趣味の延長で、自分の本と向き合っていたという感じです。その後、編集者に読んでもらい、話し合いながら6万字くらいに大きく削って、そこから物語の軸もしっかりできてきました」

――完成した小説は、大学生活になじめない「僕」が主人公。ひと目ぼれの相手・桜田 花は、そんな僕と真逆の凛とした女性に見えたが…。僕と花さんが共通して抱えていたものとは。福徳さん自身が体験してきた、身近な人を急に亡くしたつらい経験、友達の輪に入れず孤独だった思いを、主人公のふたりが代弁する自伝的小説になっています。

◆名言はコントをつくるのに似ている

――小説の誕生と同時に生まれたのが、ラブストーリーの合間に散りばめられたウィットの効いた名言の数々。その言い回しや言葉選びは、福徳さん「らしさ」にあふれています。

「『今日の空が一番好き…』というフレーズは、小説を書いている途中で浮かんだものです。だれでも、“今日は、あかんかった”という日が多いものだけど、それでも“今日の空が好き”と思えたら、それがいちばん。ベタですけどね(笑)。でも、あまりに普通の言葉だから、どこかで使われてるかもしれない、と思って検索してみたら、どこにもない。やった、これは使おう! と。

ほかにもいいフレーズはいくつもあります。『背中が素敵な大人になりなさい』は、僕の母が同級生を見て言っていたことからヒントを得て。顔は大人になって変わっても、後ろ姿はランドセルを背負ってたころと変わらないもんやと母は言ってました。ほんまかいや! と思いましたけど。

嫌いな人が困ってたら、ざまぁみろと思わず、助けてから“私に助けてもらってざまぁみろ”って思いなさい』。自分で考えたフレーズながら、自分自身に言い聞かせているようなところもあります。

くだらないことは素晴らしい。上り続けるってこと』は、お笑いにも通じる、ちょっといいセリフ。小説では、祖母の言葉として『…だから、くだらないことはたくさんしなさい』と入れました。ふだんから考えてストックしているものもありますが、小説の流れに合わせて、考え出したものです」

こうした名ゼリフが、どんなシーンでどう使われているかは、小説を読んでのお楽しみ。Oggi1月号の誌面では、ラブストーリーと福徳さん自身の共通点、30代の仕事観なども語っています。こちらもぜひチェックを!

★12月6日 福徳さんデビュー小説イベント(来場&リモート)開催!

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』の特別サイン本つきイベントを開催! 福徳さんがデビュー小説の裏側を全部語り尽くします。

詳しくはこちら▶︎『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』刊行記念ライブ

『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』著/福徳秀介

大学2年生の「僕」は、友人はひとりだけ、銭湯掃除のバイトと孤独な大学生活の毎日。ひと目ボレしたのは、僕とは真逆の「凛とした」女性だった。彼女への思いは実るのか? ¥1,500(本体価格) 小学館

撮影/高木亜麗
取材・文/南 ゆかり

福徳秀介

ふくとく・しゅうすけ/1983年生まれ、兵庫県出身。関西大学文学部卒業。高校のラグビー部で一緒だった後藤淳平と2003年にお笑いコンビ「ジャルジャル」を結成。2020年9月に結婚。連続13回目の挑戦となった「キングオブコント2020」で優勝。単独の活動として、絵本作品『まくらのまーくん』『なかよしっぱな』がある。小説は本作が第1作目となる。


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