【小瀧 望】主演舞台『エレファント・マン』舞台挨拶レポ後半【ジャニーズWEST】
10月26日に行われた、舞台『エレファント・マン』の取材会の様子をどこよりも詳しくお届けします。レポ後半の今回は主演のジャニーズWEST小瀧さんの舞台への役づくりなどが語られました。
◆森さんは厳しい方だという噂を聞きますが、小瀧さんはそういった話は前もって聞いていましたか?
小瀧:聞いていました。森さんと以前ご一緒していた、SexyZoneの菊池風磨と中山優馬のふたりは僕と仲がいいんですけど、「そっか。じゃあ… 頑張れよ」みたいな。それ以上何も言わなくて(笑)。ちょっと怖いなって思ってたんですけど、理不尽な理由や言い方ではないですし、役者が納得するように、僕がわかるように言ってくださるので僕は親切かなと。お優しい、とても面白い方です。
◆では、かなり重たい雰囲気の作品ではありますが、稽古場はもうちょっと明るかったんですか?
小瀧:和やかでしたよね?
高岡:うん、とっても。
◆どんな雰囲気で?
小瀧:えっとね… 稽古場に来てもらってたらわかったんですけどねぇ(笑)。でもなんでしょう。重たい物語ではありますけど、重たいだけではないので、和気藹々とするときもあれば、森さんが「こうだよ」って言ったらパキッと締まって、メリハリがしっかりした現場でしたね。
◆この役づくりというのはどのようにされたんですか?
小瀧:僕ですか? それこそいっぱい見ましたね。映画も観ましたし、全部ではないですけどデヴィッド・ボウイが演じているのも観ましたし、戯曲や森さんにオススメされた本も読みました。今回描かれている舞台の全部が実話ではなくフィクションもあって、うまく切り取りながら物語が描かれているのですが、ジョン・メリックのヒントとなる部分が本の一部から見つけるとか、映画ではこうしゃべっているのかとか、デヴィッド・ボウイは逆にこういうことしているのかとか、自分なりに見ました。マネはよくないですし、自分で演じていても面白くないので、自分の思うメリック像を膨らませていって今の形になっています。あとはもう、森さんにご指導いただいてです。
◆お稽古以外でも姿勢とかそういうのを気をつけたりとか?
小瀧:そうですね、稽古期間は杖を実際にお借りして、家の鏡とか窓ガラスに映った自分とかで、やっていましたね。
◆他の仕事に影響は出なかったですか?
小瀧:今のところ、大丈夫です。
◆これが続いたら、体がどうなっていくかというのはまだわからない?
小瀧:そうですね。だから、先ほども言いましたが台本に「腰に持病があるものはこの役を演じるべきではない」と書かれてあるんですけど、次もし僕じゃない人が再演されることがあれば、「腰だけじゃないよ」って書きたいですね(笑)
◆他にどこが?
小瀧:体の全体… 首、僧帽筋、肩関節、膝、もも、腰… あたりですね。痛いです。その分、ケアはちゃんとしているので。ケアをした上でこのジョン・メリックという役を一生懸命やらせてもらってます。
◆この役は小瀧さんの人生においてすごく思い出やきっかけになるのでは?
小瀧:はい、間違いなく僕の俳優人生って言っていいのかわからないですけど、ターニングポイントになるような大きな節目になる作品だと思います。
◆他のメンバーの方は観にいらっしゃいますか?
小瀧:あのー濵田はすごい楽しみにしてましたね(笑)。「何日に観にいくわ」っていうのも言われました。楽しみにしてくれてると思います。
◆じゃあ皆さんいらっしゃるんですね。
小瀧:はい! 中でも濵田がいちばん楽しみにしています。最初のほうと最後のほうで2回観に来るって言ってました。
◆それはうれしいですね!
小瀧:はい。まだわからないのに、「最初のほうと最後のほうで、どういう変化があるのか俺は楽しみにしている」って。変化があるとは僕は言ってないんですけどね(笑)。
◆この役柄、本当に大変だと思います。近藤さんはご覧になっていて、小瀧さんが変わっていく様子はわかりましたか?
近藤:もちろん、もちろん。
小瀧:でも本読みは8月とかでしたもんね。
高岡:すごく前だったね。
小瀧:そうですよね。8月に一回本読みして、9月にまたやって。
高岡:それこそ、私はこの間この劇場に入って初めてみんなマスクを外して舞台稽古をしたんです。いつもはフェイスシールド越しのみんなと稽古していたので、あら? 初めて顔を見た気がする! って。
小瀧:光の反射とかで見えなかったですしね。
高岡:そう。そういう状況でのお稽古だったので、それも乗り越えてみんなの頑張りが… ね? 森さん。
(頷く森さん)
高岡:森さんの顔も初めて見たくらい!
小瀧:森さんもずっとマスクしてますからね。
◆コロナ禍でのお稽古、そして本番ということで本当に皆さんにとっても思い出の作品になりますね。
小瀧:はい。できるかもわからなかったですから、本読みも始まって、稽古も始まってましたけどその中で悲しいニュースとかもたくさん聞きましたから。明日が初日を迎えるっていうのが本当に今喜びを一同感じていると思います。
◆森さんに伺いたいのですが、小瀧さんがとてもよかったという話をさっきされてましたが、どういうところがよく感じたのかもう少し詳しくお願いします。
森:決して騒がしい芝居ではないと思うんですね。シェイクスピアとかそっちのほうのスペクタルというのは割とやり方を知っていたんですけど、これは静けさの中に人間の激しい感情が渦巻いているような芝居だと思うんです。そこに行き着くのがなかなか難しいことなんだと思っていて、それがようやく今でき始めているなっていう感じが今日、先ほど言った高岡さんと小瀧のシーンとかもそうだと思うんですけど、静かな中にものすごく激しいふたりの感情が絡まっている。気づいたらお客さんもふたりと一緒に静けさの中に閉じ込められてしまうというか。そういうのがやっと演劇として目の前に立ち上がってきて、僕は演出家であることを忘れて興奮を覚えて。明日からこの劇場にいる人たちみんなが彼や彼女と同じように呼吸して、ひとつの物語を共有するのかと思うとそれは本当に演劇が再開したなあという感じでうれしいですね。
◆いよいよ明日、始まりますが意気込みをお願いします。
小瀧:そうですね。僕は無観客ライブとかに慣れてしまっていたので、まず今客席に取材してくださる皆さんがいて… という状況が久しぶりでうれしいです。明日から、1ヶ月31公演、ロングスパンにはなりますけども、キャスト一丸となって、皆さんと共に走り抜けたいなと思っております。ありがとうございました!
舞台『エレファント・マン』
期間:2020年10月27日(火)〜11月23日(月・祝)
会場:世田谷パブリックシアター
演出:森 新太郎
出演:小瀧 望(ジャニーズWEST)
近藤公園 花王おさむ 久保田磨希 小牧根隆介 前田一世 山崎 薫
高岡早紀 木場勝己
主催:公益財団法人せたがや文化財団・東京グローブ座
企画制作:世田谷パブリックシアター・東京グローブ座
【ストーリー】
19世紀のロンドン。その外見により「エレファント・マン」として、見世物小屋に立たされていた青年ジョン・メリック。肥大した頭蓋骨は額から突き出し、体の至るところに腫瘍があり、歩行も困難という状態だった。ある日、見世物小屋で彼を見かけた外科医フレデリック・トリーヴズは、研究対象として彼を引き取り、自身が勤める病院の屋根裏部屋に住まわせることにした。メリックにとっては、その空間が人生で初めて手にした憩いの「家」となった。