気持ちの切り替えがうまくいかないときは、ひとりで有馬に!
ちょっとしたミスやささいな人間関係のトラブルで、ズルズルと悩んでしまうことってありますよね。そんな状態が長期化すると、仕事も恋も、なおさらうまくいきません。リフレッシュしたいなー! というときは、思い切って一人で温泉にでかけませんか?
新大阪や京都といった関西の主要駅からもアクセスのいい有馬温泉は、1泊2日のショートトリップでも、しっかりパワーをチャージしてくれる、筆者イチオシのひとり旅スポットです。
◆絶妙な距離で見つめ合う秀吉&ねね夫婦にキュン
日本三古湯・日本三名泉に数えられる有馬温泉。奈良時代の『日本書紀』にも記録が残されているほど、古い歴史を持っているのですが、この地を訪れた有名人のなかには、戦国時代に大活躍したあの豊臣秀吉の名前も。人生の節目ごとに度々訪問していたと伝わるほど、ゆかりの深い人物なんですよ。温泉街の入口には有馬川をまたぐ「太閤橋」が架かり、交差点の隅には、貫禄たっぷりに鎮座する秀吉像が目を引きます。
そして「太閤橋」と対に並んで架かる赤い欄干の「ねね橋」は、秀吉の正室・ねねにちなんで建立されたもの。その脇には「ねねの像」もあるのですが、このスッと背筋を伸ばしてたたずむ、ねね様が橋の向こう側で鎮座する秀吉様を見つめているところにグッとくるんですよね。
ギリギリお互いの顔がわかる程度の絶妙な距離感を保ちながら、見つめ合うふたり。蝶よ花よと育てられ、とんとん拍子に幸せになれるプリンセスストーリーにはない、リアルな女性の生き方を示してくれているような、ねね様の強いまなざしに筆者は訪れるたびに勇気をもらっています。
◆悪い運気は厄除けの鬼瓦で吹き飛ばせ!
名物の炭酸せんべいが食べられるお茶屋さんや、人形筆が買えるお土産物屋さんが並ぶ温泉街の散策も、見逃せません。念仏寺や極楽寺、湯泉神社など寺社が集中している寺田町エリアには、あちこちに鬼瓦が設置されているのをご存知でしょうか?
古くなった寺院の鬼瓦を、観光資源として活用しているのだそう。鬼瓦には厄除けや魔除けのパワーがあり、ひとつひとつ表情も異なるので、外国人観光客にも写真映えすると人気が高まっています。迫力満点の鬼からチャーミングな鬼まで、街歩きをしながら、お気に入りの鬼瓦を探してみるものおもしろいですよ。「最近、なんかうまくいかないなー」というときに、悪い運気まで、いっきに吹き飛ばしてくれそうな気がしませんか?
神戸市営の温泉入浴施設「銀の湯」の前にある土壁には、鬼瓦とともに平和や安穏を祈念した「祝聖文(しゅくしょうもん)」が描かれているので、立ち寄り湯の際にはチェックしてみてくださいね。
有馬温泉で特別な時間を
有馬温泉には、非日常を満喫できるハイグレードな温泉旅館やホテルがたくさんありますが、なかでも筆者がひとり旅で静かにおこもりするのにおすすめしたいお宿がこちら。
◆グレース・ケリーをも魅了!「中の坊瑞苑」のおもてなし
明治元年(1868年)の創業、有馬温泉の温泉街の中心に位置する「中の坊 瑞苑(なかのぼうずいえん)」は、入った瞬間に、ほのかに、お香のいい匂い。日常の喧騒を忘れさせてくれる静かな空間が広がります。それもそのはず。このお宿、13歳未満のお子様の入館はNGという、まさに大人のためのお宿。将棋の王位戦の対局場にも使用されたりしているんです。
宿泊者限定で利用できるラウンジ「里楽」は、滞在中何度も利用したくなる快適さ。窓からは、モナコ王妃となった女優のグレース・ケリーがお気に入りだったという日本庭園を眺めることもできます。
温泉ソムリエでもある私は、硫黄とか鉄分の成分を含んでいる温泉が大好物。旅行の際にはいつもお宿の温泉成分表をチェックするようにしているのですが、中の坊 瑞苑では、鉄分を含む「金泉」と、放射能を含む「銀泉」の2種類のお湯をお宿にいながらにして入れちゃうので、本当に満足度が高いんです。大浴場のほかに、貸切湯もあるので、温泉タイムもゆっくりとプライベートな時間を満喫できます。
◆自分を徹底的に労わって
あたたかいお抹茶で出迎えられたり、お風呂あがりに缶ビールが用意されていたり、お部屋のソファで思いっきり読書にふけったり、美しい有馬の自然を眺めながらぼんやりしたり、時にはお昼寝したり…。このお宿にいると、優しくされることの大切さに気が付くのです。そんな有馬温泉のひとり旅は、きっと明日からの自分をもっと輝かせてくれるパワーをくれるはず。
有馬温泉の各旅館売店(※一部取扱いのない旅館もあります)や有馬温泉観光総合案内所、また有馬温泉神戸さんちか案内所でしか買えないという入浴剤「金泉・銀泉 有馬六湯めぐり」は、有馬でしか手に入れることのできないアイテムなので、誰かにあげても喜ばれますが、これ自分用のお土産にもぴったり。先日こちらでも紹介されていましたね。
すぐに休みがとれない時は自宅の湯船で、有馬温泉での癒しのひとときに思いを馳せながら、オン・オフの切り替えスイッチに使ってみてはいかがでしょうか。
朝岡真梨
世界50か国200都市を超える海外旅行の経験をもとに、各地のグルメや観光スポットの魅力を紹介している。最新のIT機器に関する取材も多く、女性目線からの分析が得意。キャラクターや英語にも明るく、コピーライティングの分野では他業種に関わっている。 旅行先ですったもんだした体験や主婦業をラクして乗り切るヒントを綴っている「遊んでばかりのスナフキン」が人気。Instagram:@yans_publisher Twitter:@Yans_Publisher