前回、男性声優にハマったきっかけを話してくれた金融系営業職のMさん。今回は、男性声優を追いかけることで手に入れたスキルや、グッズを手に入れるまでの涙ぐましい戦術などを教えていただきました。
添い寝枕なら5万円出す! グッズは全買い。買わずに後悔したくない
「新卒で金融系の会社に就職してから、お給料はグッズ最優先。服を買うのも後回しです。好きな声優さんの関連グッズは全部買っています。買わずに後悔はしたくないですからね。好きな声優さんが演じているキャラクターの等身大枕が出るのなら5万円までなら出して買いたいくらいです(笑)」
缶バッチトレード戦争の末に手に入れた技術は“過剰包装”
「缶バッチなどは保存用と買う用で2個は買います。ただ、キャラクターの缶バッチってランダムで売っていることが多いので、袋を開けるまでどのキャラクターが手に入るかわからないんです。
そこでTwitterなどでの物々交換がファン同士で始まります。でも、私がオタクなら相手もオタク。ビニールが破れていたら大問題、よれているだけでも大クレーム! 気持ちよく交換ができるように、何重にも袋に入れ、傷がつかないように梱包し、段ボールなどでカバーした後にさらに別の袋に入れて、最後の封筒に入れるなど、驚くほどの過剰包装をするようになりました。
家には梱包用のプチプチとすべてのサイズの封筒が揃っています。大きさと重さを目視して、大体の郵便料もわかるようになってきました(笑)」
限定グッズを入手するために一生懸命です
「声優が出るイベントって、グッズが限定発売されるんです。さらに、その個数が十分に発売されていたとしても、みんなが買い占めてしまうので、時間との勝負なんです。もし、イベントが16時から開演するのであれば、前日からスタンバイするのは当たり前。
前提として、イベントの物販は徹夜で並ぶのは許されていません。なので、終電で現場に行き、友達と一緒に会場の下見をして、どのへんで物販がされるのか、大体の予想を立てるところから始まります。
そこからホテルに戻り、少々仮眠をとったら、始発組に合わせてホテルを出ます。そこからはとにかくダッシュ。列に並んだら、物販が始まるまでひたすら並びます」
声優を追いかけることで、素直に生きようと思えた
「私が好きな声優さんは、人気があるから媚びようとか、キャラを変えたりする人ではなかったんです。それよりも、自分なりのパフォーマンスを貫き通していて、その姿がすごくかっこよかったんです。でも、人間だからたまに嫌なんだろうなというのは顔に出てるんです(笑)。それがまた、いいなって思っていて。
私も、そんな声優さんの姿を見て、自分は無理をする必要はないのかなって思えるようになったんです。なにより、素直に生きようと思うようになりました。彼のように、やりたいことをやっていくことで光っていたいと思いました」
見えないところで作品を支えている“裏方精神”を応援したい
「今は、声優=アイドルのような扱いをされることが多いですが、基本的には声優は裏方。私はそんな声優さんの頑張りをみるたびに、そういう縁の下の力持ちを応援したいと思っていたんです。
今の声優シーンはあまりにもアイドル化しすぎていて、ジレンマもありますけど、応援している“推し”にはどんなキャラクターも演じらような息が長い声優さんになってほしいなと思っています。私も生涯応援していきたいです」
裏方を支える声優さんの姿に憧れを抱き、恋に似た感覚も覚えると、もう抜け出せなくなってしまう“男性声優の沼”。さらに派生するキャラクターグッズの収集など、毎日が推し事でいっぱいでとても充実しているようでした。
取材・文/吉田可奈
初出:しごとなでしこ