「佐世保で過ごした時間は幻だったんじゃないかな?」って
ーー薫役を演じた知念さんと共演してみていかがでしたか?
中川:「撮影が終わってから知念くんが“今回単独初主演映画で凄く不安だった”と、打ち明けてくれたんですけど、現場では不安な様子を一切見せていなかったので驚きました。座長として現場を盛り上げたりピアノを一生懸命練習している姿に僕も感化されましたし、たくさん刺激も受けました。クランクアップした時、知念くんの泣いてる姿を見てこの一か月半で相当気を張っていたんだなということも伝わってきました。知念くんのことが大好きなので、またいつか共演させて頂きたいです」
ーー原作の舞台になっている佐世保でロケを行ったそうですね。
中川:「実際に原作の舞台になっている場所に立った時に、それまでいろいろと考えていたことが全部ふっとんで自然と千太郎として動くことができたのは印象深かったです。それは今まで経験したことのない初めての感覚でした」
ーーほかに佐世保ロケで印象に残ったことはありますか?
中川:「とにかくご飯が美味しかったです(笑)。毎晩のように知念くんをはじめ、スタッフさんやキャストのみんなと食事に行って、明日のシーンの話で盛り上がったりしました。佐世保にいる時は夕方になるとみんな“今晩は何を食べようか?”とお店を調べ出して(笑)。あと、僕は釣りが好きで“釣りがしたい”と言っていたら、地元の観光協会の方が釣りのプロの方を紹介してくださったんです。三木孝浩監督やスタッフさん、小松菜奈さんも一緒に釣りに行って、とても息抜きになりました」
ーー長期間東京を離れて撮影に集中できたことも良い経験になったのでは?
中川:「東京での生活とはかけ離れた環境の中で一か月半撮影できたのは大きかったです。東京に帰ってから“佐世保で過ごした時間は幻だったんじゃないかな?”と思いましたし(笑)」
ーー完成した映画をご覧になっていかがでしたか?
中川:「完全に千太郎という役が抜けてる状態で観たので、自分じゃない自分がスクリーンに映っていると感じました。今までで一番“自分じゃない人”を観ているような感覚を持てたので、改めて役者の仕事は面白いなと実感しました」
ーー役者として新たな目標ができたのでは?
中川:「そうですね。自分が演じているのに自分ではないものを役者として作品として残せたので、もっともっと想像もつかないような新しい自分を見てみたいです。役者という仕事は正解がないので、無限の可能性を秘めてると今回改めて感じることができたので、これからも色んな役に挑戦していきたいと思います!」
【STORY】
舞台は長崎県・佐世保。
高校生の西見薫(知念侑李)は、父を亡くし親戚の暮らすこの町へと引っ越してきた。孤独を感じる薫だったが、“札付きの不良”と恐れられるクラスメイト・川渕千太郎(中川大志)、心優しいクラスメイト・迎律子(小松菜奈)と出会う。
文/奥村百恵 写真/天田陸人
映画『坂道のアポロン』(公開中)
出演:知念侑李 中川大志 小松菜奈 真野恵里菜 / 山下容莉枝 松村北斗(SixTONES/ジャニーズJr.) 野間口徹 中村梅雀 ディーン・フジオカ
監督:三木孝浩
脚本:髙橋泉
原作:小玉ユキ「坂道のアポロン」(小学館「月刊flowers」FCα刊)
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初出:しごとなでしこ