いつだってふつうの服なのに、スタイルのあるおしゃれを確立しているエディター三尋木奈保さん。精鋭のワードローブを賢く着回すことで、「自分らしさ」を深めていく――「存在感のある着回し」を大事にした三尋木流「セルフブランディング」術を公開します!
微差の更新ポイントにも注目!「三尋木的究極シンプル服4」
「ここ数年の基本になっているのはこの4アイテム。季節や年によって、シルエットや着丈、ディテールをちょっとずつ更新しています。その見極めがベーシックを進化させると心得て」
(写真左から)
mihirogi Basic #1
きちんとも、カジュアルも…今の時代の空気感を映す一枚【きれいめ抜きシャツ】
「オーバーシャツは、去年よりも全体のサイズ感が少しすっきりしたものを狙いたい。襟の抜け感もあらかじめ計算されたつくりかどうかを吟味して。つるりとした表面感のハリのあるコットンなら、応用範囲が広いです」
シャツ¥23,000(GUEST LIST〈upper hights〉)
mihirogi Basic #2
似合うタイトが見つかると大人のおしゃれが前進します【女っぷりタイトスカート】
「この2~3年で私のワードローブに急増したのがひざ下丈のタイト。長めボトムやふんわりトップスの流行に合致してのことだけど、確実に着こなしの幅が広がりました。ややハイウエスト&ひざ下がすっきり見える丈を」
スカート¥23,000(ウィム ガゼット 丸の内店〈ウィム ガゼット〉)
mihirogi Basic #3
着こなしにリズムをつけるツヤ感素材のハイネック【上品プルオーバー】
「シャツ以外で、自分の個性を出せるトップスをつねに更新&スタンバイさせておきましょう。私の場合はネックの詰まったプルオーバー。これがいちばん体型に合って落ち着きます。今季はほんのりハイネックのものが気分」
ブラウス¥24,000(ADORE)
mihirogi Basic #4
シーズンごとの微差がいちばん表れるアイテム【くるぶし丈タックパンツ】
「ここ何年も、このシルエットばかりを買い替えてきたから旬の微差にも敏感になりました。今季はワンタックでややハイウエスト、すそが細すぎず太すぎずのテーパードがおすすめ。スタイルの土台になるパンツは毎年見直しを」
パンツ¥18,000(martinique Le Conteルミネ新宿店〈martinique〉)
「“その服、三尋木さんらしいね”と言われるとうれしくなります。ブレないおしゃれが、私にとっての理想だから」
おしゃれの基本って、自分が素敵に見える服、自分に似合うスタイルを吟味し、更新していくことだと思っています。たとえばパンツなら、自分を間違いなくきれいに見せてくれるシルエットを一本、マイステディと決めて、シーズンごとに買い足してみる。タックパンツも去年と今年では、微妙に旬のラインが違うことに気づくはず。そう、手間とお金を使って、ときには失敗もして、自分で体験しないと、「自分に似合う」と「旬の微差」は手に入らないんですよね。そうしてとことん吟味したワードローブを、今度は頭を使って着回します。ベーシックな服の印象を変えるには、配色や小物合わせのテクニックも必要です(こういう〝味つけ〟を考える作業が、私は大好き! おしゃれの醍醐味だと思ってます)。自分の「好き」の範囲で深くおしゃれと向き合うと、自然と「その人らしさ」が生まれるもの。いつも同じような服なのにどこか新しくて、スタイルがある。おしゃれだけど、おだやかで安定しているー。自分を知っている人って、他者の目にも心地よく映ります。「軸」のあるワードローブで「私ってこういう人」を表現できたら、それが最高の自己プロデュースになるはずです。
エディター/三尋木奈保
メーカー勤務後、エディターへ転身。会社員経験を生かしたリアルなスタイル提案に、ファン多数。ベーシック服を絶妙に今年らしい味つけで着こなす名手として注目を集める。著書『Oggiエディター三尋木奈保 My Basic Note ふつうの服でおしゃれな感じのつくり方』はロングセラーに。
Oggi9月号「大人気エディター三尋木奈保の究極シンプル服4枚で“着回しセルフブランディング”論」より
本誌掲載時スタッフ:撮影/佐藤 彩(静物) スタイリスト/渡辺智佳 構成/高橋香奈子、三尋木奈保