100年を超えて愛される、マラケシュの“もうひとつの目的地”
マラケシュは、迷路のような旧市街・メディナを歩き、スーク(市場)の熱気や建築の装飾に心を奪われる街。
世界遺産に登録されたメディナは、11世紀から政治・経済・文化の中心として栄え、いまも庭園や城壁、歴史的な建築が風景に溶け込んでいます。
今回滞在した『La Mamounia(ラ・マムーニア)』は、ホテル自体がひとつの目的地のような存在。ホテルのルーツは18世紀、アラウィー朝のスルタンが息子に贈った13ヘクタールの果樹園にあるのだそう。
モロッコ建築の装飾とアール・デコが共存する館内は、一歩入った瞬間から別世界。旅行中はつい「次はどこへ行こう」と予定を詰め込みがちですが、ここではホテル館内を楽しみました。

部屋に戻るたび、モロッコの伝統美を感じて
客室にはモロッコ建築を思わせる、色鮮やかな装飾を施した「ズワック天井」や格子状の「マシュラビーヤ窓」など、伝統的な意匠を現代的な心地よさへとつなぐディテールが取り入れられています。
目に入る色や素材のひとつひとつに温度があって、外の賑やかな街から帰ってくると、気持ちまでゆっくり整っていくようでした。
ホテルは全部で135室の客室、71室のスイート、3つのリヤド(邸宅風の部屋)を備え、庭園やプール、クトゥビーヤ・モスクなどに向けた眺めも魅力のひとつ。
少し身支度を整えて、次の予定のために外へ出る。そんな何気ない時間まで、旅らしい高揚感に変えてくれる空間です。

プールと庭園で、予定を入れない贅沢を知る
マラケシュは、街歩きの刺激が多いからこそ、ホテルに戻って静かな時間をつくることがとても大切だと感じています。『La Mamounia』の庭園とプールは、そんな旅のリズムを整えてくれる場所でした。
庭園は、このホテルの歴史そのもの。かつて王子が受け継いだ果樹園に由来し、オープンエアの祝宴が開かれていた場所でもあるそうです。ヤシの木々や緑に囲まれながら過ごしていると、マラケシュの濃密なエネルギーとはまた違う、穏やかな時間が流れます。

プールサイドにある『Le Pavillon de la Piscine(ル・パビリオン・ドゥ・ラ・ピシン)』は、朝食やランチを楽しめるレストラン。ホテル公式サイトによると、朝は鳥の声や噴水の音に包まれ、モロッコらしいメニューも並ぶのだとか。
観光の予定をひとつ減らして、プールを眺めながらゆっくり過ごす。そんな余白こそ、このホテルを選ぶ理由になる気がしました。
夜は『Le Churchill』で、ホテルの物語に触れる
印象に残ったのが、ホテル内のバー『Le Churchill(ル・チャーチル)』です。
こちらはその名の通り、ウィンストン・チャーチルにちなんで名付けられたバー。チャーチルは冬にここを訪れ、マラケシュの光を絵に描いたことで知られています。
現在のバーは、ホテルを建設した鉄道会社との歴史的なつながりに着想を得た、豪華なプルマン車両のようなデザイン。スモーキーなオーク材とやわらかな光に包まれた、親密で落ち着いた雰囲気です。
ドアをくぐると空気がすっと切り替わるようで、少しドレスアップして楽しみたくなる場所でした。

憧れのホテルで知る、マラケシュの新たな魅力
お部屋、庭園、プール、バーと、場所ごとに異なる表情を見せる『La Mamounia』。モロッコの色彩やクラフツマンシップ、そしてマラケシュが重ねてきた歴史を、ひとつのホテルのなかで感じられることが印象に残りました。
旅先で憧れのホテルに泊まることは、その土地を違う角度から知ることなのかもしれません。
マラケシュを訪れるなら、街歩きとあわせて『La Mamounia』の世界観にも触れてみてください。

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