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LIFESTYLE

2021.09.07

新連載【働く私にMusik】歌っていない人生は考えられない! 30代で芽生えた歌を歌う自覚【DJ・サッシャがナビゲート! トータス松本編 Vol.2】

J-WAVEのナビゲーターなどで活躍中のインタビューの名手サッシャさんが、毎回素敵なミュージシャンをゲストに迎えて対談をする音楽連載。記念すべき最初のゲストミュージシャンはウルフルズのトータス松本さん! 誌面では伝えきれなかった熱いトークを盛り込んだ、web版の第2回。

ウルフルズへの愛を再確認し、歌うことが人生そのものだという自覚が芽生えた30代

サッシャさん(以下、S):小室哲哉さんのひと言でディスコっぽい曲調にした『ガッツだぜ!!』は大ヒットして、ブレイクに繋がりましたね。

トータス松本さん(以下、T):これで勝負かけて大丈夫かな〜って不安もありましたけど。レコーディングしている最中、同じ事務所のBONNIE PINKとか当時の関係者がスタジオに見学に来てくれて、「すごくいいですね!」って言って、めちゃ褒めてくれるんですよ。

S:今まではなかったことですか?

T:うん、ないない。だから「なんかあんのかな〜」って感じはしてました。自分としてはスピッツみたいになりたかったからね(笑)。ちゃんとした音楽で評価されたいっていう思いがあったから。

S:ミュージシャンに褒められるミュージシャンになりたいってことですよね。

T:そうそう。身近な人だけじゃなくて、FM局の人とか音楽ライターさんとか、音楽を好きでわかってくれる人からも、いいねって言ってもらえてたんですよ。その人たちを信頼すればいいのに、見えもせん一般大衆を意識してね。見えもせんのに見ようとするんですよ。結果的に『ガッツだぜ!!』がなかったら、今はないですからね。

S:その後は途中、活動休止時期を経て、ソロ活動もされていました。その過程で何か気づいたことはありましたか?

T:そうですね。ソロやって気づいたのは、やっぱりウルフルズがやりたいんやな俺は、っていうことです。ソロで3枚アルバムつくったんですけど、だんだんウルフルズに戻るんですよ。3枚目なんて、もうウルフルズそのもの。

S:ウルフルズへの愛を再確認できたんですね。辞めようと思ったことは?

T:何回もありましたよ。『ガッツだぜ!!』が売れた後は、忙しすぎたり、音楽番組以外に呼んでもらうことも多くなったんですが、自分としてはしっくりこないこともあって。音楽が好きやったのに、なんか違うことで振り回されているなと思っていた時期ですね。

S:ミュージシャンになってステージに立ちたかったんですもんね。

T:そうね〜。だからいい曲を書いて取り返すしかないって思うんやけど、そのいい曲ってなんやってなると、またスピッツに戻るねん(笑)。一発屋で終わるのはイヤやから、次の曲は『ガッツだぜ!!』の焼き増しみたいにはしたくなくてね。

S:でも、その後にリリースされた曲は、トータスさんの気持ちがそのまま曲になっている気がします。

T:リズムははっちゃけていても、歌詞は真面目に書いてたし、そういう曲を受け入れてもらえたのはラッキーでした。

S:心境としては楽になりましたか?

T:そうね! やりたいことをやっているという実感が出てきたと思います。

S:そして今回、30周年に向けてセルフカバー・アルバム『ウル盤』がリリースされます。セルフカバーにもいろいろありますが、割とストレートだと感じました。僕、左右の耳で同時に今と昔の同じ曲を聴き比べてみたんですが、サンコンさんのドラムが違う感じはあったけれどそれ以外はオリジナルに忠実な印象でした。

T:うん、そうね。自分自身、アレンジが変わりすぎるものってあんまり好きじゃなくて。今回はなるべくオリジナルに忠実に、今の力量でやり尽くしてみたいっていうのがあったんですよ。今のサンコンが叩くとこうなるとか、それぞれのテンションがこんなに違うんやとか、自分の声が30年でどれだけ変わっているのかといった確認作業でもあったし、そういう発見が自分らでも面白かった。

S:びっくりするくらい声が変わってないです。だって、20代と50代ですよ。ただ聴き比べて思ったのが、トータスさんの歌い方がすごく優しくなったなということ。以前はエッジが効いていたけれど、今は人生経験がそれらを包み込んでいるような感じがあります。

T:うれしいね! 確かにそうなんですよ。歌を歌う自覚っていうか、歌うことが人生そのものなんやって思い始めたのが、35歳を過ぎたあたりからかなあ。今はもう歌ってない人生は考えられないですけど(笑)。それまでは、バンドの歌い手という「役目」を演じていたというか。逃げですけどね。自分の中で背負いたくなかったんかな。でも、自覚が芽生えてからは「歌ってきてよかった」って思えるようになりました。だいぶ同じように歌ってるつもりやけど、やっぱり感じが変わってきましたね。

S:ぜひ、みなさんも左右の耳で聴き比べてほしい。よく聴き比べると、その違いに感動します。

<次回へ続きます>

NEWアルバム『ウル盤』発売中!

過去の名曲30曲をセルフカバーするプロジェクトの第一弾。本作では〝ウルっとくるウルフルズ感動の名曲選〟がコンセプト。現在のアレンジや楽器で新たにレコーディングされた、〝今〟のウルフルズの魅力を再発見できる10曲を収録。

初回盤はライブ映像付き。¥5280(初回盤DVD付き)・¥3300(通常盤)Getting Better/Victor Entertainment 8月11日発売

トータスさんが『ウル盤』の中から、Oggi読者におすすめする5曲

『バンザイ〜好きでよかった〜V』
’96年にリリースされた10枚目のシングル。『ガッツだぜ!!』に続いて50万枚を超えるヒットを記録。ドラマ『勝利の女神』(フジテレビ系)主題歌。「この曲は、みなさんにいちばん知ってもらえていると思います。僕らの代表曲なので、ぜひ!」

『やぶれかぶれV』
’92年にリリースされたデビューシングル。ウルフルズらしさを堪能できる名曲で、今でもライブで歌い継がれている。「記念すべきデビュー曲! これはもう曲のよし悪しとかは関係なく、完全に僕の思い入れがある曲としておすすめしたいです!」

『それが答えだ!V』
’97年にリリースされた14枚目のシングル。「『ガッツだぜ!!』の後で苦労して書きました。それが答えだって言ってるけど答えが出てない。自分の揺れがなぜかダンサブルな曲に乗ってるのが面白いなって。今なら言えるけど答えなんてない(笑)」

『笑えればV』
’02年にリリースされた24枚目のシングル。「あまりヒットしなかったけど、結果的に多くの人に聴いてもらえている息の長い曲。派手な曲じゃないのに、自分で歌ってても飽きがこないのは不思議。勇気をもらえる、って言ってもらえる曲です」

『大丈夫V』
’05年にリリースされた27枚目のシングル。「当時学生だった30代のスタッフが『進研ゼミ』のCM曲だったことでなじみがあったみたいでリクエストしてくれた曲。みなさんにもなじみがあるかな? 人に与えている影響に気づいた曲でもあります」

【トータス松本さん】スーツ¥217,800・シャツ¥37,400・ネクタイ/参考商品(ジョルジオ アルマーニ ジャパン〈EMPORIO ARMANI〉) 靴/スタイリスト私物

【サッシャさん】“インディビジュアライズドクロージング”のジャケット/参考価格・“インディビジュアライズドシャツ”のシャツ¥26,400・“マキシマムヘンリー”のベルト¥18,150(ユーソニアングッズ ストア) その他/スタイリ スト私物

撮影/伊藤彰紀(aosora) スタイリスト/堀井香苗(トータス松本さん分)、松岡聡美(サッシャさん分) ヘア&メイク/SUGO(LUCK HAIR/トータス松本さん分)、坂口勝俊(sui/サッシャさん分) デザイン/hoop. 構成/宮田典子(HATSU)

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