敷地面積3.6万坪! 伝統とモダンの融合が見事な「東府やResort&Spa-Izu」
本格的な冬の到来を迎え寒さが骨身に応えるこの時期は、体の芯から温まる温泉と極上のお料理で心も体も癒されたいもの。今回は、そんな方にお誂え向きの旅館を見つけました!
それは、静岡県伊豆市にある「東府やResort&Spa-Izu」。修善寺から車で20分ほどの山あいの静かな温泉地・吉奈温泉に構える旅館です。
その歴史は深く創業400年の老舗旅館を、当時の風情や川と木々に囲まれた自然環境をより一層活かしてリノベーション。徳川家康の側室「阿万の方」など歴史上の人物とも縁があります。
一方、旅館とひと口に言っても閉鎖的なものではなく、老若男女が楽しめるようなリゾート感あふれるところも魅力。
またその広大さは別格で、敷地面積はなんと3.6万坪。東京ドームおよそ2.5個分です! しばらく歩いてもなかなか全体像が掴めません。そしてその広闊な敷地内には、清流「吉奈川」が縫うように流れ、川に沿って施設が点在しています。
到着したのがお昼時だったため、まず伺ったのは今年4月、敷地内に新たにオープンしたというとうふ工房「とうふ 伊豆庵」。
明るく清々しく、目の前に広がる景観にうまく溶け込んでいる建屋。店内も清潔感があり、吹き抜けだから開放感があります。
晴れた日は、立派な竹林を望むガーデンテラスで。思わず時の流れを忘れてしまいそうな、居心地のいい空間です。今回オーダーしたのは、「伊豆庵とうふのおぼろそばと天ぷら御膳」。
こだわりの独自製法で作られた豆腐が随所に使われています。小鉢に入った料理は優しく上品な味わいで、天ぷらはさくさくふわふわ。どれもおいしかったのですが、特に感動したのがいなり寿司。油揚げの甘さと柔らかさが絶妙でした! お豆腐料理って空腹時に食べると少し物足りないイメージもありますが、味にもボリュームにも大満足♪
またこのとうふ工房では、ガラス越しにとうふづくりを見学できるほか、作りたてのとうふ商品も販売されています。その直売所に並ぶのは、絹や木綿、寄せといったとうふに加え、がんもどきやあぶらあげなどの加工品、豆乳プリンやシュークリームなどのスイーツまで。
豆乳を使ったサクサクのクッキー生地に豆乳カスタードを入れたシュークリームは、濃厚でなめらかだけれど主張が強すぎない優しい味わい。後味もさっぱりしているので、際限なく食べ続けられそう♡
とうふ伊豆庵のランチと温泉入浴がセットのお得な日帰りプランもありますし、おとうふが好きな方はこの工房だけでも行って損はなし! もちろん、できればお宿に泊まってほしいですが……(笑)。
そう言うのは、お部屋も格別だから。今回私が宿泊させていただいたのは、「ヴィラスイート蔵」。 メゾネット洋室タイプのお部屋です。
まず足を踏み入れて思わず呟いてしまいそうになったのが、「ここは家!? はたまた別荘!?」。72平米のお部屋内には、スタイリッシュで洗練された調度品が配されています。あたたかみのある暖炉も素敵!
窓から望む景色も、圧巻。訪れたのは、10月の中ごろでまだ葉はほとんど色づいてこそいませんでしたが、お天気にも恵まれ雄大な景色も欲しいまま。
テラスには、露天風呂も。温泉に浸かると、視界いっぱいに木々や川が広がり、聴こえてくるのは川のせせらぎや鳥の鳴き声だけ。自然と一体化した気分に!
ほかにも施設内には、2か所の露天風呂と貸切露天風呂がありそれぞれの風情あふれる温泉を楽しめます。(そのうち「行基の湯」は、2019年10月12日に発生した台風19号の被害による復旧工事のため、しばらく利用できないようです ※2019年11月5日現在)
夕食は、伊豆海の幸・山の幸・旬の食材をふんだんに使った、見た目にも麗しい懐石料理を。
結論から言うとどれも主役になり得るほどおいしかったのですが、特に秋鮭や舞茸、小芋などが入ったグラタン風の「豆乳焼き」が珍しくて美味。
それぞれの具材の旨味が豆乳の優しいコクで混ざり合って、秋らしい深みのある味わいでした!
またドリンクとしてオーダーした梅ジュースもさっぱりしていて気に入り、後ほど売店で購入してお土産に♡
ここまで上質な宿であれば宿泊費が気になるところだと思いますが、実は1泊夕朝食付きで1名あたり4万円前後と、実は意外にリーズナブル。(詳細は、ホームページで確認してくださいね!)
もちろん「ヴィラスイート」以外の客室でも、広々とした空間の中で自然を充分に満喫できます。ちなみに紅葉のシーズンを迎えると、こんな景観が広がるのだそう。
さらに施設内は、スパや足湯テラス併設のベーカリー&カフェなどの施設も充実。
「mahora Spa」では、アロマの香り漂う心が安らぐ神秘的な空間の中、アーユルヴェーディックなスキンケアブランド「スンダリ」を使用し、一人ひとりの好みや体調に応じてオールハンドのトリートメントをしてくれます。
セラピストのトリートメントはすごく丁寧で心地よく、体のすみずみまで温まり心まで洗われるようでした。
そして足湯テラスが併設されたベーカリー&カフェでは、石臼挽き小麦粉をベースに自家製酵母を使ったパンでつくるサンドイッチやグリルドッグとドリンクのセットなどがメニューに並びます。
伊豆最古の温泉・吉奈温泉が流れる足湯に浸かって、お気に入りのパンをほおばって。
翌朝の食事は、和洋が融合した「大正館 芳泉」にて、アメリカンブレックファースト。
新鮮なお野菜や自家製のスクランブルエッグなどとともに、前述のベーカリーで焼いたコクのあるパンをいただきました。
「東府やResort&Spa-Izu」では、初夏には蛍が見られるのだそう。そして春には、圧巻のしだれ桜を愛でて。みなさんはどの季節に行きますか。
取材・文/川原莉奈