実は「冷凍」しても栄養価は変わらない!?
冷凍野菜は便利だけれど、味や栄養成分が損なわれてしまうのではないか? と疑問に感じている人もいるはず。これについて、医学博士・管理栄養士の本多京子先生は次のように解説。
「野菜を冷凍する前の加熱処理によって失われるビタミンやミネラルは多少ありますが、食物繊維や脂溶性のビタミンなどは影響がありません。
市販されている冷凍野菜は、野菜の栄養価が高い旬の時期に収穫され、速やかに加熱処理、冷凍加工されるので、実は生鮮野菜と比べても栄養価は遜色ありません。
さらに、冷凍前に加熱処理をすることで、酵素の働きが止まり、鮮やかな色合いを長く保つことができるというメリットもあるのです。」(本多先生)
野菜はどうやって冷凍すればいいの?
■1:家庭でおいしく冷凍するための3ケ条
✔︎第1条:うすく平らにならす
袋の中でうすく平らにならします。効率よく食材を冷やせるので省エネに。解凍時間も短縮できます。
✔︎第2条:ジッパーつきの袋で空気を抜いて保存
風味が損なわれないように、ジッパー付きの袋に入れてしっかりと空気を抜きましょう。袋の上からアルミホイルで包めば、さらに空気を遮断できるうえ、冷凍効率もぐんと高まります。
✔︎第3条:1食分ごとに小分けに
1回の量を小分けに。必要な分だけサッと使えるので便利です。
■2:自家製冷凍野菜の作り方
本多先生によると「作るメニュー、野菜の水分量、含まれている栄養素などによって下ごしらえの方法も変わってきます。素材や料理方法に合わせて、簡単な下ごしらえをしてから冷凍しましょう。
切るだけの下ごしらえでいえば、数種類のきのこをカットして冷凍しておけば、炊き込みごはんや炒め物など、さまざまな料理に幅広く活用できますよ」とコメント。
✔︎初心者向け:カット(カットしてそのまま冷凍!)
【食材例】きのこ、キャベツなど
きのこ類は石づきをカットして、小房に分け、数種類ミックスさせた状態で冷凍します。※しいたけは包丁で切らずに手で割くと、しいたけの香りが残ります。
✔︎中級者向け:加熱(加熱してから冷凍! 調理の手間を省く)
【食材例】かぼちゃ、ブロッコリーなど
1. かぼちゃは種とワタを除いて一口大に切ります。
2.ふんわりラップをして電子レンジ(600W)で約4分加熱します。レンジから出し、そのまま5分蒸らしてから冷凍します。
※野菜が乾燥気味なときは水大さじ1をふってから加熱しましょう。
※皮をむき、つぶしてから冷凍すると、スープなどにも便利に使えます。
✔︎上級者向け:アク抜き(酢水につけてから冷凍! 変色を防ぐ)
【食材例】ごぼう、レンコンなど
1.ごぼうはささがきにします。
2.酢水にくぐらせたのち、キッチンペーパーなどでしっかりと水気をふき取ってから冷凍します。
※酢水につけることで、酵素のはたらきを止め、変色を防ぐことができます。つけ過ぎると風味や栄養が損なわれるため、さっとくぐらせる程度にしましょう。
※酢水:水1リットルに対し、酢大さじ1程度
✔︎玄人向け:セミドライ(水分が多い野菜は乾燥させてから!)
【食材例】トマト、大根など
1.トマトのヘタをとり、半分に切る。
2.網にのせ、室内の風通しのよいところで半日~1日干す。
3.水分が抜けたら袋に入れて冷凍する。
お肉と野菜のWビタミンで「秋バテ」おいしく解消!
栄養価も高く便利な冷凍野菜ですが、エバラ食品管理栄養士の菊岡裕子さんによると、日々の食生活に取り入れる際には注意点があるそう。
「かぼちゃやにんじん、トマトなどの緑黄色野菜に多く含まれるβ-カロテンは抗酸化作用があり、お肉と一緒に食べることで吸収率がアップします。
また、にんにくに含まれるアリシンはビタミンB1の吸収を助けてくれる働きがあります。野菜だけをとるのではなく、お肉と野菜を一緒に調理して『秋バテ』をおいしく解消しましょう。
また、調理時間がグンと短縮できる便利な冷凍野菜ですが、調理方法には注意が必要です。冷凍野菜は解凍する過程で水と一緒に栄養素が流れ出て、食感も損なわれてしまいます。
スープや煮込み料理、炒め物などを作る際には、解凍せずに凍ったまま鍋やフライパンに入れて使えば、栄養素を丸ごと摂取でき、調理時間も短縮できますよ!」(菊岡さん)
朝晩と日中の気温差が激しい秋。体調を崩さないようにするためには、日々の食生活に気を遣うことは大切。お肉と野菜をバランスよく摂取して“秋バテ”なんかに負けず、仕事に趣味にお出かけに…楽しみましょう♡
情報提供/エバラ食品
初出:しごとなでしこ
教えてくださったのは…本多京子(ほんだ きょうこ)先生
医学博士・管理栄養士。NPO日本食育協会理事
スポーツ選手の栄養指導や食育に⻑年携わる。テレビや雑誌では、健康と栄養に関するアドバイスやレシピを多数提供。主な出演番組 NHK『ごごナマ』、『きょうの料理』、『趣味どきっ』他、雑誌、新聞の出演多数。著書は60冊を超える。