海外では、日本のような納涼花火大会はありません
日本でいう納涼花火は世界で唯一のもので海外には競技会を除いて花火大会はありません。
では、どのような時に花火を打ち上げるかといえば祭りやイベントでの余興です。ですから時間も5分から30分程度で日本のように2時間近くも打ち上げることは、まずありません。
競技会では
「マカオ国際花火コンテスト(マカオ)」、「モントリオール国際花火競技会(カナダ)」、「ハノーファー国際花火競技会(ドイツ)」
が、世界三大花火競技会にかぞえられています。
この他にも、ベトナムやポルトガル・マルタ・フィリピン・フランスなどでも競技会を開催しています。いずれの競技会も音楽に合わせて演出を競うもので日本のように一発一発の芸術性を求めるものではありません。
特にハノーファーはバロック庭園で行われるため、テーマがバロックで選曲もバロックのイメージに合うもの、そして一曲は主催者指定のものもあります。
また伝統花火と呼ばれる古くから続く奉納花火もあります。目的は五穀豊穣や疫病退散、雨乞いなど様々。
イタリア・イギリス・タイ・ラオス・カンボジア・中国・インド・台湾・メキシコ・ペルーなどで行われています。昔は日本のように祭りに係る氏子達が花火を手作りしていました。
過激すぎる花火の祭り「ロケット花火祭り(台湾)」
そうそう、台湾で開催される蜂炮(フォンパオ/ロケット花火)祭りを知っていますか?
今から100年以上前に台湾でコレラが流行り、多くの人々が亡くなった際に、武廟(ウーミャオ)に祀られている関羽(カンウ)からお告げがあったとされはじめられた祭り。
街中でロケット花火を水平に打ち、観客は怪我をしないためにフルフェイスのヘルメットを被り、上下に厚手の洋服を着こみ手には軍手、首周りにも刺さらないようにバスタオルを巻き付けて参加します。
私も2度ほど取材しましたがカメラのレンズは衝撃でヒビが入り、ズボンを二枚重ねで穿いたにもかかわらず、脚は打撲だらけでした。
YouTubeにも実際に行かれた方の映像がいくつも出ています。
このような日本では想像できないような過激で刺激的な花火祭りが世界にはたくさんあります。
是非皆さんも海外の花火にも興味をもってみてください。
初出:しごとなでしこ
花火写真家・ハナビスト 冴木一馬(さえき かずま)
報道カメラマンを経て1987年から花火の撮影を始める。1997年花火師(煙火打揚従事者)の資格を取得。同時に肩書をハナビストとし、世界各地の花火を記録をしながら歴史や文化の研究をはじめる。
2002年から花火を題材にした版画の製作と同時に花火大会運営のプロデュースも手がける。
同年11月、1000大会の撮影を記録。写真の原版は2万点以上ストック。
スチールに関してはワンシャッターにこだわり多重露出をおこなわず、花火本来の姿を追い求めている。 世界各地の花火をはじめ、あらゆる種類の花火写真があり、その解説も行う。