映画『彼らが本気で編むときは、』で優しさに満ちたトランスジェンダーの役柄を演じた生田斗真さん。
最新作となる本作では、生徒に想いを寄せられるクールで真面目な高校教師を演じています。『僕等がいた 前篇/後篇』(2012年)以来2度目のタッグとなった三木孝浩監督の現場で感じたことや、役についてなどうかがいます。
『俺物語!!』などで知られる人気漫画家・河原和音さんの大ヒット少女コミック『先生!』を、生田斗真さん&広瀬すずさん初共演で実写映画化。
『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』『心が叫びたがってるんだ。』などのヒットアニメを手がけてきた岡田麿里さんが脚本を担当し、『アオハライド』や『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』といった人気作を多く手掛けてきた三木孝浩監督がメガホンをとった今作。
ストーリーは、弓道部に所属する女子高生・島田響(広瀬すず)がボサボサ頭にメガネ姿のクールな世界史教師・伊藤貢作(生田斗真)に恋をするところから始まります。
生まれて初めて誰かを好きになった響は伊藤先生に自分の気持ちを率直にぶつけるのですが、伊藤先生は教師という立場から「俺はやめとけ」と冷たい態度。それでも諦めずにただひたすら真っすぐ自分の想いを伝え続ける響に、伊藤先生の心も動いていき……。
「お芝居とはいえ響の熱量に押されてリアルに気持ちがグラグラと揺れ動いた」
ーーこの作品のどんなところに魅力を感じてオファーを受けられたのでしょうか?
生田:「脚本を読む前は胸キュン映画だと思っていたのですが、脚本を読んでみると恋愛した時の痛みや苦しみがしっかりと描かれていたので、そこにとても惹かれました。誰かに恋をすると幸せな気持ちやあったかい気持ちにはなるけれど、実際は楽しいだけじゃなくて辛いこともたくさんありますから。もちろん原作者である河原先生がきちんとそういったことを盛り込んで書いてくださっているので、その思いを受け継いで丁寧に演じさせて頂こうと思いました」
ーー響の真っすぐな思いを受け止めつつも、突き放さなければいけない伊藤先生の辛さを表現するのは難しかったのではありませんか?
生田:「撮影が始まる前は、響の想いをきちんと受け止められる伊藤先生でいなければと気合いを入れたりしましたけど、撮影が始まってみるとすずちゃんのお芝居に対する真っすぐで純粋な思いと響が伊藤先生に想いをぶつける真っすぐさがリンクする部分がたくさんあったんです。お芝居とはいえ響の熱量に押されてリアルに気持ちがグラグラと揺れ動いたりしたので、すずちゃんのお芝居の一挙手一投足に耳や目を傾けることで自然と伊藤先生の心の揺れは表現できたように思います。おかげで難しいと感じたことはほとんどなかったです」
「『世の中に好きになっちゃいけない人なんていない』と台詞は胸にくるものがあった」
ーー三木監督とは映画『僕等がいた 前篇/後篇』以来2度目のタッグになりますが、再びご一緒された感想をお聞かせ頂けますか。
生田:「映画『僕等がいた』の時に三木監督が『生田くんが30歳になったら大人の生田斗真と仕事がしたい』とおっしゃってくださって、ありがたいことに今作で呼んで頂いたことで三木監督との約束を果たせたという思いと、久しぶりにラブストーリーに挑戦できるというワクワクした気持ちの両方を感じることができて嬉しかったです。それに今作は三木監督にとって10本目というメモリアルな作品でもありますし。僕もこの数年間で色んな現場を経験して、監督も色んな方々と様々な作品を撮られてきた中で『お互いにスキルアップしたよね』と、成長を見せ合うような思いが心のどこかにあったんじゃないかなと思います」
ーー久々の三木組の現場の雰囲気はいかがでしたか?
生田:「以前も感じたことですが、三木組は本当に仲が良いんです。まだ入りたての新人スタッフの方も含めて全員一緒に食事をしたり、かなりアットホームな現場なので居心地が良いなと改めて感じました。泊まり込みでロケ撮影をするときはどこか合宿のような気分も味わえましたし、ロケが早く終わったらみんなで食事に行ったりして絆を深めていくことができました」
ーーアニメ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』や『心が叫びたがってるんだ。』を手掛けた岡田麿里さんが脚本を手掛けているので印象的な台詞が多かったですが、生田さんのお気に入りの台詞はありますか?
生田:「『あの花』も『ここさけ』も観ていたので、岡田さんに対して独特の美しい言葉を書かれる方だなと思っていました。今作ではどんな台詞が飛び出すのか撮影前からとても楽しみにしていて、脚本を読んだらそれぞれのキャラクターで印象に残る台詞がたくさんありました。中でも森川葵さん演じる千草が『世の中に好きになっちゃいけない人なんていない』と言うシーンは胸にくるものがありましたし、響の『好きになってもいい?』というシーンもグッときました。あんなキラキラした瞳で言われたら誰だって『好きになってもいいですよ』と返事したくなりますよね(笑)。この屋上のシーンは台詞だけじゃなく、三木監督独特の淡い絵が映えるようなロケーションだったので美しいなと感じました」
ーーでは最後に、今後ふたたび広瀬さんと共演するとしたらどんなジャンルの作品がいいですか?
生田:「つい先ほどすずちゃんと取材を受けていたら『わたし “レオン”がすごく好きなんです』とおっしゃったので、『じゃあ俺が守ろうか?』と思わず言ってしまったんです(笑)。なので『レオン』のようなハードボイルドな作品がいいかもしれないですね」
©河原和音/集英社 ©2017 映画「先生!」製作委員会
文/奥村百恵
映画『先生! 、、、好きになってもいいですか?』は10月28日公開
■出演:生田斗真 広瀬すず 竜星涼 森川葵 健太郎 中村倫也 比嘉愛未 八木亜希子 森本レオ
■監督:三木孝浩 脚本:岡田麿里
■原作:河原和音『先生!』(集英社文庫コミック版(※1996年~2003年)
■監督:三木孝浩
■脚本:岡田麿里
■主題歌:スピッツ「歌ウサギ」(ユニバーサルJ)
■製作:映画「先生!」製作委員会
■配給:ワーナー・ブラザース映画
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初出:しごとなでしこ