90年代には「アムラー現象」にミリオンセラーも
90年代、キレキレのダンスパフォーマンスと歌唱力で人気を博し、安室奈美恵のファッションを真似た「アムラー現象」も巻き起こした。
96年発売の「Don’t wanna cry」は、日本レコード大賞“大賞”を史上最年少で初受賞、フジテレビドラマ『バージンロード』の主題歌にもなった97年リリースの「CAN YOU CELEBRATE?」は、今も結婚式の定番曲になっている。ドラマ『ザ・シェフ』の主題歌にもなった曲「Chase the Chance」は、初のミリオンセラーを記録するなど、ヒット曲は数知れずある。
結婚、出産、離婚、そして母の死を乗り越えた復活
97年、当時TRFのダンサーだったSAMとのでき婚を発表し、男児を出産。1年間の休養に入り、99年の年頭に復帰イベントを行う予定だった。が、3月に故郷の沖縄で、実母が義父の弟に殺害されるという痛ましい事件が安室奈美恵を襲う。
現役のトップアイドルの母親が殺害されるという衝撃は大きく、新聞各社が号外を配るほどだった。その後、気丈にも、母の死から5カ月ほどで復帰ステージに登場していた。実母の衝撃の死から3年たった2002年7月にはSAMとも離婚。結婚生活は、わずか5年間だった。
安室奈美恵の母親、平良恵美子の半生は、著書『約束』の中に綴られている。たくましく生きるシングルマザーのイキイキとした姿は、どこか安室奈美恵の半生にも似ている。
アーティスト、そして母親としてのこだわりも
ステージでは完璧なまでのパフォーマンスにこだわり、いつしか周囲からもアイドルではなく、アーティストとして認められていた。しかし、仕事は「18時まで」、「子どもに持たせるお弁当は手作りで」と、プライベートでは子育てに対する自分なりのルールも決めていたようだ。
そんな愛息子も今は20歳に。
先日、ある週刊誌が、渋谷の街を若い男性を連れだって歩く安室奈美恵の姿をキャッチしている。隣を歩く男性は20歳になる愛息子の温大くんだ。「もう、心穏やかな日々を過ごしたい」、そんな安室奈美恵の心の声が聞こえてきそうな後姿だった。
ここから先は、母親、平良恵美子さんの波乱の人生とは違う道を、愛息子と過ごしてもらいたい。
初出:しごとなでしこ
ホサカヒロミ
編集プロダクション、出版社を経てフリーに。紙・Webを中心に、タレントのインタビューや女性のライフスタイルの記事を執筆。曾祖父は政治の裏側をユニークに描く作風で知られる元衆議院議員で作家の伊藤痴遊。