〈トルコの旅〉
トルコ町のどこでも見かける「GOZLEM」の看板。
トルコで採れる豊富な小麦粉を使ったピザというかパンケーキというか、そんな食べ物。
今回の「地中海沿岸600キロドライブ旅」途中でもかなり多くの看板を見かける。
ちょっとした観光地となれば、数百メートルおきに看板が出ていて観光客を誘い込む。
そんなに好きなのか?
「好きなこともありますけど、簡単にできるので簡単にお店が出せる」
という理由もあるらしい。
昔は生地から作っていたらしい。今ではスーパーなどで生地が購入出来るようになって、中に入れる具だけを作ってクルクルっと巻くだけという手軽さもあって、「てっとり早く現金収入」をと地方の観光地周辺では益々店が増えているんだと。
そんな「インスタントギョズレメ」店増殖中の中、手作りのおふくろの味にこだわるギョズレメ店に遭遇。
「どうだ、美味いか?!初めて店にきた日本人にギョズレメに作り方を見せてやる!」
と言う本人はただ見てるだけの、なにもしないお父さんがお母さんに命じてキッチンに招き入れてくれたのであります。
先ずはオリジナルの生地を伸ばしていく。
なんとなくそば打ちの要領。
これが粘っこくて棒にくっついたりして、結構な技が必要。
この道数十年、熟練の匠の技。
腰の入れ方でコシがだせるんだと思う。
次に具を作る。
お母さんの場合、予め冷蔵庫に作り置きしてある具がびっしりだ。
新鮮野菜(今回はホウレン草)を刻んで加える。
で、混ぜあわせたら伸ばした生地に具を投入。
「のせるだけなら自分にもできますです!」
とお母さんの作業を奪う・・・
「チッチッチッ。まったくわかってないよ。具は均等に盛り付け、均等の高さで生地全体に均等に伸ばなきゃダメなのよ!」
すいませんです!こんな感じでしょうか?
具を均等に入れたら半分に折って・・・
熱した大きなパンケーキを焼くような機械の上へのせ、油を生地に塗りつつ、
ひっくり返し薄焼きで仕上げていく。
具によっては具を入れた記事を折って焼いたりするものもあったり。
で、完成!
一口サイズにカットして。
へい、お待ち!パリッ、サクっとしていたアツアツでスイスイ食べられてしまうのだけど、見た目以上にお腹が膨らむギョズレメ。食べ過ぎ注意。
キッチンの奥には若い頃のお母さんの写真。
美人でした!
そんなお母さんに惚れたお父さんは、ほとんどなにもしませんでした。
いつまでも伝統のギョズレメの味、頼みます!
〈トルコの旅 おしまい〉
協力/Turkish Airlines
撮影/中島正男
初出:しごとなでしこ
山下マヌー Manoue Yamashita
雑誌編集者を経て旅行コラムニスト/作家に。渡航回数300回超、著作56冊超!!
Travel columnist&writer after a magazine editor.
Over 300 times to foreign travel, and over 50 books of the copyright so that work.