インタビュー後編|1stフォトエッセイ『履きなれない靴を履き潰すまで』発売を記念して特別インタビュー♡ “寄り添い続ける”エッセイ誕生の秘密とは?
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女優・Oggi美容専属モデルとして活躍中の“若さま”こと若月佑美の1stフォトエッセイ『履きなれない靴を履き潰すまで』が発売! 今回の書籍化に込めた思いやみどころなどなど、たっぷり取材してきました。前編では、若さまのおすすめのエッセイや詩を書くプロセスなどをインタビュー。この後編では働くわたしたちに響くエッセイの誕生秘話を深掘りしました。
▶前編はこちら
エッセイ執筆のきっかけは、『可』でありつづけた人生に悩んだ経験
――ご自身のエッセイに大きく起因しているなと思う体験はありますか?
「自分へのコンプレックス、です。以前から、“たしかにまぁすごくいいわけじゃないけど、すごく悪くもない”という印象を自分は持たれがちだなぁと思っていて、それがすごく悩みでもコンプレックスでもあったんですよね。女優でもモデルでも、それまでの私も、これといって大きな武器もないけど、やれないわけでもない、みたいな。
それは幼いときからずっと感じてきたことだったんです。体育の授業でもリレーでいちばんではないけれど、でもリレー選手に選ばれる3番目にはいるみたいな。そういうのがすごく続いていて。それから大人になって、いろんな人の悩みや話を聞いていると、ふと私と同じ不安を抱えている人がいかに多いかを実感したんです。だから私がエッセイを書くなら、そんな自分+同じ悩みを抱えているひとを救いたい、ってやりたいことの方向性が見えた瞬間でした」
「その経験がいちばん素直に活きているのが、『可』っていう詩。
『太鼓の達人』って、だめな“不可”と、“良”と“可”っていう判定があるじゃないですか。“可”でも失敗じゃないけど、でも“良”じゃないと高得点にはならなくって。正直“不可”と“良”だけでもいいのに、なんで“可”を作ったんだろう、って思い始めたら疑問がとまらなくなっちゃって。気が付いたら自分自身に立ち返ってしまっていました。
実はそのエッセイの最後にはさらっと本音を書いてあるんです、『良になりたかった』っていう。その本音に『分かるよ』ってだれかが応えてくれたらいいなという気持ちもありましたし、たとえ答えが出ないようなことも話すだけで少し気持ちが晴れることもありますよね。そういう気持ちになってくれたらと。そんな自分のコンプレックスを抱いていた経験から出発しているエッセイが、振り返ってみると多いですね」
――感情を文字にするにあたって、影響を受けた作品はありますか?
「いっぱいあります! ひとつに絞るとしたら…初音ミクさんが歌っている『アイロニ』ですかね…その歌詞がすごく好きなんです。なんかすごく寄り添ってくれるんですよね。具体的な提案や明るい励ましの言葉をかけてくれるわけではなく、人の心の葛藤や中途半端に揺れ動く感情を歌ってくれるような嘘偽りのないところが心地よくって私はとっても好き。その『アイロニ』の歌詞が同じように突き刺さる人に向けて、私もだれかにとって“ありのままの言葉”を紡ぎ出せたらいいなって思うに至る影響を受けました」
――女優やモデルと、エッセイストとの表現の相違や類似などありますか?
「お芝居やモデル業と違うなと思うのは、エッセイは“ただの若月佑美”として言葉を発しているところです。お芝居の面では自分がツールとして脚本家の言葉や監督の意図・意思を伝えていく役割。Oggiでモデルとしてやらせていただいているときは特集の内容やメイクのポイントを分かりやすく伝える役割。どちらも“ありのままの自分ですべてやりきるわけではない”っていうところはエッセイを書くときと違う点だと思います。
似ているところは、“正解を出しすぎない”ところかなって思っています。お芝居も詩も、とらえ方は受け手の自由だったりするので、そういう面で“わかりやすくしすぎず、あいまいな部分を残しておく”っていうところはちょっとお芝居の仕事と似てるかなと思っています」
衣装や写真も若さまが総合プロデュース!
――衣装や写真はご自身で決められたのですか?
「そうです、全部叶えてもらいました! 途中から私が毎回、こういうスタジオで、こういう衣装でこういうメイクでやりたいですっていうのを全部写真など参考資料やイメージ図を送って、やらせていただいていました。やりたい放題やらせていただいて、なので楽しかったですね、とっても!」
▲書籍アザーカットより
――写真を撮る際に気をつけたことはありますか?
「プライベート感、です。より近く感じて欲しいので、あえていつものただただ歩いているときの自分みたいな、自然体を撮っていただくようにしていました。普段、どうしてもカメラの向こうに人を想像すると求められている表情をしようとしてしまうけど、今回はそれをあえてしないことにして。カメラマンさんからの『何も思わないで』という言葉をきっかけに、すごく表情も変わったと思います」
――写真の構想は、エッセイを書いているときにイメージをしているのですか?
「そうですね、そういうエッセイもありますが、途中からあえて詩に沿っていない写真も増やしているんです。詩は読むのが得意じゃないという人にも、写真で楽しんでもらえているっていう可能性を増やしていきたいなって。
よくアイドルのミュージックビデオも、歌詞と映像の内容が合ってないことも多いんです。でも、歌詞は歌詞で、映像は映像で楽しむってこともあってもいいんだって気づいたことから、詩と写真をあえて分けることも考えるようになりました」
さいごにOggi美容専属モデルの若さまに、撮影前にやっていた美容法を聞いてみました
――撮影に備えて行っていた美容法はありますか?
「ありのままの自分をさらけ出したいと思い、肌を出したカットも多くいれていたので、ボディケアを結構念入りにやっていました。全身にスクラブをしたり、“TAKAMI”のボディクリームを念入りに塗ったりしていました。裸足で撮っても自信を持てるように、足の指の間まで(笑)きっちりやりました」
撮影こぼれ話|若さまが“文豪”になりきり挑戦!?
撮影中、メインカットを撮る際にスタッフが「今回は“エッセイスト・若月佑美”がテーマなので、文豪のプロフィール写真のように撮ってみたいんです!」と伝えたところ、快く承諾してくれた若さま。
まるで某・文豪のようなアンニュイでクールな若さまを撮影することができたので、特別に解禁! スタッフのどんな要望にも笑顔で応えてくれる若さまに日々助けられています…♡
若月佑美1stフォトエッセイ『履きなれない靴を履き潰すまで』
著者:若月佑美
出版:扶桑社
価格:¥1,980(税込み)
発売:6月27日
撮影/深山徳幸 ヘアメイク/永田紫織(Nous) スタイリスト/蔵之下由衣(commune ltd.,) 構成/篠﨑 舞