【目次】
・スミレ(菫)の特徴
・スミレ(菫)の花言葉
・色ごとのスミレ(菫)の花言葉
・スミレ(菫)の花言葉に怖い意味はある?
・スミレ(菫)の名前の由来は?
・スミレ(菫)の種類
・最後に
スミレ(菫)の特徴
「スミレ」は北半球の温帯地域を原産とする、スミレ科の植物です。日当たりの良い野原や土手などに生え、世界では約500種、日本では約50種あるとされています。開花時期は4〜5月頃で、直径2〜2.5cmほどの小さな花を横向きに咲かせるのが特徴。
日本では「芍薬」、「牡丹」、「百合」が美人を象徴する花とされていますが、西洋では「バラのような美しさ」、「ユリのような威厳」に加え、「スミレのような謙虚さ・誠実さ」を持った女性が理想的像とされています。ちなみに、鮮やかな花を咲かせるパンジーとビオラもスミレ科スミレ属なので、「スミレ」の仲間なんですよ。
スミレ(菫)の花言葉
「スミレ」全般の花言葉は、「小さな幸せ」、「誠実」、「謙虚」。この花言葉は、慎ましやかに咲く「スミレ」の姿からつけられたそうです。道端などでひっそりと咲き誇る「スミレ」にぴったりの花言葉ですね。英語の花言葉は、日本語の花言葉と同じく、「modesty(謙虚)」と「faithfulness(誠実)」。「スミレ」の奥ゆかしいイメージは各国共通のようですね。
色ごとのスミレ(菫)の花言葉
「スミレ」と聞いて思い浮かべるのは、紫色ではないでしょうか? しかし、「スミレ」には、白や黄、ピンクなどさまざまな色のものがあります。ここでは、色別の「スミレ」の花言葉を見ていきましょう。
紫のスミレの花言葉
「スミレ」のイメージといえば、紫色。その花言葉は「愛」と「貞節」です。大人っぽい印象の紫なので、「恋」ではなく「愛」というのは納得ですね。
白のスミレの花言葉
白い「スミレ」の花言葉は、「無邪気な恋」や「あどけない恋」、「純潔」です。一般的に白という色へのイメージは純粋無垢なもの。そう考えると、「無邪気」や「純潔」という花言葉はぴったりです。
黄のスミレの花言葉
黄色の「スミレ」の花言葉は、「慎ましい喜び」と「田園の幸福」です。「謙虚」という花言葉を持つ「スミレ」なので、黄色の「スミレ」にも「慎ましい喜び」という花言葉がつけられたのでしょう。「田園の幸福」とは意外な花言葉ですが、その明るい色味からは、「幸福」を想起させますよね。
ピンクのスミレの花言葉
「希望」がピンクの「スミレ」の花言葉です。一般的にピンクの花には「恋」などの可愛らしい花言葉がつきますが、「スミレ」は明るい未来をイメージさせる「希望」という花言葉。ポジティブな花言葉なので、贈りものにすると喜ばれそうです。
スミレ(菫)の花言葉に怖い意味はある?
上記で「スミレ」の花言葉を紹介した通り、怖い花言葉はありません。むしろ、日本でも美徳とされる「慎ましやかさ」の象徴のような花で、「謙虚」や「誠実」など、良い印象の花言葉ばかりです。
花言葉には怖いものはありませんが、ギリシャ神話とローマ神話に「スミレ」にまつわる少し怖い話があります。まずは、ギリシャ神話に登場するエピソードについて、代表的なものを2つ紹介しましょう。太陽神アポロンは、ある時、イアという美しい女性に恋をしてしまいます。しかし、イアには羊飼いの婚約者がおり、アポロンからの求愛を断りました。憤慨したアポロンは、イアを「スミレ」に変えてしまったのだそうです。
2つ目のエピソードは、ギリシャ神話で最高神とされるゼウスにまつわるエピソードです。ゼウスにはヘラという嫉妬深い妻がいましたが、紫色の美しい目を持つ巫女・イオに恋をします。二人はヘラに隠れて会っていましたが、ある日ヘラに見つかりそうになってしまったため、バレないようにと、ゼウスはイオを雌牛に変身させてしまうのです。ゼウスはイオのために、食用にと「スミレ」を植えてあげました。しかしこれをヘラに知られたっため、ゼウスはイオを星にし、「スミレ」を紫色にしたのだそうです。
次に、ローマ神話の話を紹介します。ある日、女神ヴィーナスとキューピッドが散歩していたところ、踊る乙女たちがいました。そこでヴィーナスがキューピッドに、「あの乙女たちと私では、どちらが美しい?」と聞くと、キューピッドは「乙女たち」と答えます。ヴィーナスは怒りから、乙女たちを殴ってしまいます。紫色に腫れ上がった顔の乙女たちを哀れんで、キューピッドは乙女たちを「スミレ」に変身させたのだそうです。
これらの話は、伝説なので多少話に違う部分がありますが、いずれにせよ「スミレ」はその美しさゆえか、男女の恋愛に巻き込まれたり、女性に妬まれたりするものが多いようですね。
スミレ(菫)の名前の由来は?
続いて、「スミレ」という名前の由来について解説します。「スミレ」は和名で、由来は「スミレ」の花が、墨壺という墨入れに形が似ているからだそう。
現在ではあまり使われなくなったようですが、墨壺とは、材木などに線を引くための道具。墨を付けた糸を、線を引きたい木材などの上に、ぴんとまっすぐ伸ばします。その糸を弾くことで、線の跡がつくのです。日本では昔から使われていた道具で、古くは法隆寺で使用されている木材に、墨壺でつけたとされる線が見られたそう。
「スミレ」の花の後ろには、「距(きょ)」と呼ばれる突起がついており、これは、蜜を溜めておく役割をしています。「スミレ」を横から見ると、ラッパのような形をしており、これが墨壺に似ているとされるのでしょう。
そのほか、「摘み入れ」という意味がもとになっているという説もあります。「スミレ」は万葉集にも食用されていたことの記述があり、摘草として親しまれていました。その「摘み入れ」が転じて、「スミレ」になったと考えられています。
また、「スミレ」には別名もあります。それは「相撲取草」と、「相撲取花」というもの。これは昔、子どもの遊びに、「スミレ」同士を絡ませて引っ張るものがあったため、その名がつけられたそう。ちなみに、「スミレ」の学名は、「Viola mandshurica」で、「Viola」は紫という意味のラテン語です。
スミレ(菫)の種類
世界中で多様な種類がある「スミレ」。日本の品種から、世界の品種まで、個性豊かな「スミレ」を紹介していきます。
ヒメスミレ
その名の通り、直径1cmほどの小さい花を咲かせる品種です。色は通常の「スミレ」と同じく紫色をしており、秋田県より南〜九州で見られます。
アリアケスミレ
白地に、紫色の筋が入ったような柄の花を咲かせる「アリアケスミレ」。本州から九州の、日当たりが良くてやや湿った場所に自生します。
ノジスミレ
「ノジスミレ」は、日当たりが良い本州〜九州で、青みがかった花を咲かせる品種です。葉や茎全体に、白く短い毛が生えているのが特徴。
パンダスミレ
オーストラリアに分布する品種が「パンダスミレ」。中心は紫色をしており、外側は白色と、2色からなる花びらが特徴的です。
トリアシスミレ
「トリアシスミレ」は、北アメリカが原産の品種。細い葉っぱが、鳥の足を連想させることから、その名がつけられました。
最後に
「スミレ」について、花言葉から、世界で語り継がれるギリシャ神話やローマ神話の話まで紹介しましたが、いかがでしたか? 派手ではないものの、その謙虚で慎ましやかな姿は、世界中で愛され、理想とされていることがわかりました。「スミレ」をお家に飾って、「スミレ」の持つ奥ゆかしさのエッセンスを自身に取り入れてみるのもいいですね。
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