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FASHION

2022.01.06

時代が変わっても色褪せないエルメスのサンダル… Oggiエディター三尋木奈保さんが愛する名品

働く女性のファッションを追い続けてきたファッションエディター 三尋木奈保が、選りすぐりの名品について語ります。今回は、「エルメス」のサンダルです!

ファッションエディター 三尋木奈保が語る! 名品の底力を感じるサンダル

三尋木奈保
1973年生まれ。メーカー勤務後、雑誌好きが高じてファッションエディターに転身。装いと気持ちのかかわりを敏感にとらえた視点に支持が集まる。おしゃれルールをまとめた著書『マイ ベーシック ノート』(小学館)は2冊累計18万部のベストセラーに。

名品を正しく選ぶことは、相手や行く先へのマナーにつながると初めて気づかされた、思い入れの深い一足です

「私の初めての海外出張は、29歳のとき。Oggiのハワイ特集の撮影で、10日ほどの滞在でした。それまでハワイへはよく遊びに行っていたけれど、仕事となると話は別。

初めての海外取材で勝手がわからずあたふたする私を何度も助けてくれたのが、同行していた大ベテランのスタイリストさんでした。トレンドに精通していて、コレクションの取材や撮影でいつも海外を飛び回っている大先輩。パワフルでありながら人情味に溢れた温かい方で、現地での段取りやふるまいのコツを、ときにはダメ出しももらいながらたくさん教えていただきました。

撮影が無事終わった最終日、彼女にふと声をかけられました。「そのサンダルを持ってきたのは正解だったわね」滞在中、私が毎日履いていたのはエルメスの「オラン」。メゾンの頭文字をかたどったシンプルなレザーサンダルです。

「若い編集者はね、ハワイだからといってブランド店にもビーサンで取材に行く人が多いけれど、あなたがこぎれいな格好でいてくれて助かったわ」

毎日緊張しっぱなしだった私には、突然のその言葉が心底うれしくて、そして褒めていただいた意味を自分なりにしっかり考えました。確かに、気取りのないフラットソールながらクリーンな品格があるこのサンダルは、若手エディターのハワイ取材という場で、どんなシーンにもしっくり映っていたのだと思います。

ブランドショップの取材からビーチでのロケ、おしゃれなレストランやホテルスパの撮影と目まぐるしいスケジュール。涼しく動きやすい服装でないと仕事にならないけれど、足元がビーサンやスニーカーでは取材先に失礼だし、仰々しいハイヒールもハワイの空気にそぐわない……。

名品を正しく選ぶことは、相手や行く先へのマナーにつながるんだと、このとき初めて気づかされたのです」(三尋木さん)

「エルメス」のサンダルが持つ魅力

▲靴/本人私物

約20年のあいだ、なんとなく履かなくなった数年もあったけれど、今は再び、私の夏に欠かせないアイテムです。最近のロングスカートやリラクシーなパンツとも相性がよくて。時代に合わせて息の長いつきあい方ができるのが名品の魅力です

「さて、あのサンダルは、約20年後の今も現役で活躍中。もちろん使い込まれた年季を感じるけれど、変化した革の色がいい味わいになっていて、くたびれた感じがいっさいないのが、エルメスのすごさ。どれだけつくりが上質なんだろう、完璧なデザインは時代が変わっても色褪せることがないんだと、名品の底力を改めて実感しています。

さあ、愛着深いこの一足を今年はどんな服に合わせようか―― 初夏を迎えた頃、うきうきと思いをめぐらせています」(三尋木さん)

2022年Oggi7月号「私とおしゃれのモノ物語」より
撮影/生田昌士(hannah) プロップスタイリスト/郡山雅代(STASH) 構成/三尋木奈保
再構成/Oggi.jp編集部

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